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【完結】神の器の追跡者  作者: Ryha
第六章 ココ 宿る場所
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第067話 ある蘇生の真神器

「お帰り!!樹!!倒したんだね!アポロンを!!」


 エマは天界の杖を抱えながら、扉から出てきた俺を出迎える。


「ああ。倒してきたぞ!!」


 俺はエマに対してガッツポーズする。


「お帰りなさい。樹さん。」

「ただいま!カーラ。それにメルトに、リエさんと……俺が気絶させた人……。」

「ジャックだ!!」


 ジャックは元気よくツッコミする。


「二人とも、テトラビアに来たんだ……」

「そうです。私達は亡くなってしまったヘイルさんの意思を継ぎ……生きることを選びました。」


 リエは答える。そのリエの右腕は消え去っていた……そしてヘイルさん……亡くなったんだ。情報量の多さにちょっと困惑する。


「とりあえず……助かったよ。エマが呼んでくれたんだろ?リリーを。」

「うん。ジャックのアイデアだったんだけどね、過去未来に帰還申請出せるなら、別世界に助けを求められるんじゃ無いかってね!!それで樹がアポロンを倒したことも、さっき此処にきたリリーから聞いた!!」


 エマも元気よくそう言う。本当に助かった。リリーがいなければ確実に負けていたからな。

 てか、此処にきたなら俺も運んでいけばよかったのに……地球を見せたかったのかもしれない、か。


「……それでも、フィーネはアレスを滅ぼしちゃったけど……。」


 エマはその元気さとは正反対に……急に責任感を感じているような声で話す。


「仕方ないさ。エマは十分戦った。俺もリリーのお陰でアポロンを止められた。フィーネ以上の最悪はアレスを襲わなかった。それだけで……十分だ。」

「……そうだね!」


 もう一度過去のアレスに戻ってこの刀を使えば多分フィーネをさらに抑える事はできなくはない……けど、エマ達の行動はわからないが未来から来たリリーが刀を持って対応してこの結果だから、もう過去に戻る必要もなさそうだ。リスクを負うだけになりそう。


「それで……リエさんたちはこれからどうするんだ?」


 俺は当然の疑問を投げかける。


「5年前のテトラビアに行って、そこでこの出来事を一つの書に記そうかなと考えています。」


 ……なるほど。


「私たちは5年前を生きている人なので……しっかりと元の時間に戻ろうと思っています。」


 ……律儀だ。別に時間なんてそんなに重要じゃないだろうに。

 まあでもそうしたいならそうすればいいか。ここにいて、何かしら因果力的なものが働いてもよくないだろうし……


 彼らは帰って行った。きっとその時間で、俺らが読んだあの本を執筆したんだろう。




「終わったね……私達の、一つの冒険が。」

「ああ……。」


 エマはそう言いながら俺の元へと寄ってくる。


 思うところは多々ある。

 ミカのこと、アポロンのこと……テトラピアのこと……。

 でも今日は、休みたい気分だ。


「ギュルルルル……」


 俺のお腹が鳴る。数日に及ぶアポロンとの死闘……その疲れが出ていた。


「数日間ゆっくり休もうか!」

「……そうするよ。」


 俺は数日間、エマと一緒にオーセントで休むことにした。


 * * *


 私とジャックは5年前へと着きました。


「……よっと。」

「さて、どうしますかね……これから。」


 私はジャックの方を向きます。


「さあな……どうせなら、他のアレスの生き残りを探して何かするか。その人たちの支援……みたいな。」


 ジャックは偶にまともなことを言います……


「そうですね……そうしますか。」


 扉から出てきた直後私たちはそんな話をしています。


「……えーっと。あなた達は……一体??」

「ああ、扉の巫女……すみません。私たちは惑星アレスの生き残りです。」

「なるほど、そうだったのですね……大変でしたね。」


 私たちはカーラに対してそう取り繕いました。


「……ねぇ!!巫女さん!!オリンパスに帰れないってどう言うことなの!!!」


 そんな私たちの事をお構いなしにその声は聞こえてきました。


 勿論、この時間なんてアレスの件の対応に追われてますよね……わかっていました。



「……惑星アレスは滅びました……全ての生命は住めない環境になってしまったのです。」


 ……いや、よく見ると違いました。あの時、オリンパス山のところで見た、あの顔と一致します。間違いがありません。

 それにその横にはラピーとラヌーの姿がありました。


「……貴方はヘイルさんの娘さん……ミカさんですよね?」


 私はそう、ミカさんに声をかけていました。



「……私のことを知ってるの!?」


「ごめんな。オリンパスは……アレスは滅んだんだ……太陽風っていう、普遍的な運命で全ての水が蒸発しちゃって、生命は死んじゃったんだ……。」

「……ジャック!!」


 私はストレートに言い放ったジャックに対して強く当たります。

 当然、ミカさんは泣いていました。


「……いいんだ。このくらいが。」


 ジャックは小さく私に言いました。あの子にとって、その事実は重すぎました。


「……そう、ですね。」


 真実はあまりにも残酷で、変えられない運命です。そんな運命を赤裸々に話す事の方がよっぽど残酷でしょうか。

 その言葉はミカさんの為……そしてこれも、因果力……なのでしょうか。


 * * *


「……ところで、そういえばエマはあの後、何をやってたの?」


 休暇を終えた数日後、俺たちは杖をヴィクトリアに返し、博士の元に調査結果を報告した後、レストランでご飯を食べていた。


「あー、えーっと、話せば長くなるかな〜!!」


 俺はその長い話を聞いた後、自分の事も話した。


 だけど、テトラピアに行ったことは隠しておいた。エマが知れば未来にどんな影響があるのか、想像できなかったからだ。



「そういえば、リリーが言っていたんだ。『偲びの棺』……それがあれば、人を蘇生できるって……」


 俺はそれだけを話すことにした。


「あ、もしかしてそれって、ファレノプシスが『幽霊の嬢ちゃん』って言ってた、それなんじゃない?」

「言ってたっけ……」

「うん!ハガさん救おうってなった時に!!」


 あー。なんとなく思い出したかも知れない。

 そんなこと、ファレノプシス言ってたな。



「……そう。それでだ。俺は思ったんだ。ミカを……蘇生させようと思う。どういう条件で蘇生するかはわからないけど……」


 俺はエマにそう伝える。その声は弱々しかったと思う。だって、その想いは自分のエゴだからだ。


「……わかった。折角これがあるんだから、試してみればいいんじゃない?」


 そう言ってエマはあの、ミカがリンドウから貰ったペンダントをぶら下げる。


「……持ってたのか。」

「うん。何かに使うかなって思ってね。」

「そう……か。」


「私はこれを蘇生したミカちゃんに渡して、選ばせるべきだと思う。また再びアルトポリスで農家として生きるか。リンドウさんを追わせるか。私たちとまた冒険するか……エゴっていうのは確かにそうかも知れない。でも、わからないけどきっとミカちゃんはあそこで死んだことを本心で受け入れては……ないと思う。」


 ああ。きっとその結果が、リンドウと一緒にいたミカなんだ。

 因果力によって殺されたミカ。その死に方は望みではないというのがエマの考え……俺もその通りではあると思う。



 蘇生はあくまでも俺たちがさせる事。ミカ自身の願いじゃない。

 けど、それで幸せになれるのであれば、お兄として俺は蘇生してあげたい。

 それにテトラピアで見たミカは間違いなくピンピンしていた。呪いがあるとかそんな雰囲気はなかった。



「それじゃあ、決まりだな。ミカを蘇生させる……それで。」

「うん!」



 俺たちはレストランを出た。


「で、結局その棺がどこにあるかっていう……問題にぶち当たるんだけど……。」

「そうだった……忘れてた!」


 俺たちはオーセントを歩きながら考える。


「あるとしたら北のアルトポリスか、東のヨウレースト……かなぁ!!」

「……なるほど。東の街にはまだいった事なかったな、そういえば。」


 オーセントとフルーブ、レトーンには真神器があった。まあレトーンのは旧校舎の方ではあるんだけど。

 5つあるのだから、きっと残り二つはその二つの都市にある。アルトポリスは……水に関係する物でもありそう。どうなんだろう。


「じゃあ、そのヨウレースト?ってところ行こうか。」

「……え!?行くの!?」


 エマは驚いて俺の方を見る。


「え?行くでしょ。そりゃあね??」

「……やめとこうよ。先に、アルトポリスから探しにいこ??」


 エマは焦りながら俺にアルトポリスを勧める。


「……なんか、あるんだな?そこに。」


 俺はエマを問い詰めるように言う。


「……う、うん。オバケが……ちょっとね。幽霊……精霊系の街なんだよね……ヨウレーストって……」


 エマは怯えるように言う。


「なるほどな。じゃあ、なおさら確定だな!!ヨウレーストにその神器はあるな。幽霊の嬢ちゃんがハシラビトなんだろうし。」


 そういえば、エマってお化けとか嫌いだって言ってたな……確か初めて古城に来たときヴィクトリアをお化けと勘違いしてたっけ……

 幽霊なんだし棺なのも間違いなさそう。絶対そっちであってそう。


「……うう……わかった。」


 エマは嫌そうな顔をしながら……受け入れる。


「じゃあ、行くぞ!!」


 俺とエマはヨウレーストに行く前に、扉の予約時間になるまで博士の元にまた立ち寄ることにした。

 一応帰ってきてすぐ、休暇後に杖をお気に来た時には立ち寄って魔法紙で記録を全部渡したから偲びの棺のこともきっと知ってはいるはず……



「博士。ヨウレーストに行ってくることにした。」

「あら、お帰りなさい〜樹くん達〜!ヨウレーストに何かあるんですか?」


「こないだ言った偲びの棺……を使おうかなって思うんだ。」

「なるほど……ヨウレーストですか。エマちゃん、大丈夫ですか??」


 博士はそう言いながらエマに視線を送る。


「大丈夫じゃありません……!!」


 エマは椅子に座りながら、机に対して溶けたような姿を見せる。


「……あはは。そうだ。それで博士、棺の場所とか何かしら情報持ってないか?」


「そうですねぇ〜……ここ数日、この間の西の遺跡大崩落で露出したファヴァレイに関して大規模調査が行われたんですが、そこでは確か反重力の技術の研究痕跡があって……それが確かヨウレーストの街にそっくりだな〜っていうことくらいですかね……あ。思い出しました。その壁画が発見されたところだと、ヨウレーストのあった場所に巨大な施設があったらしいですね。島々を浮かせるために反重力を地上から出していたかのような、そんなシンボルが確かあったはずです〜!!」


「……古代にあった地上の施設……か。」


 何かと今までシンボル的な場所に神器ってあった。盃は例外として、扉と鏡はわかりやすい。

 真神器ではないが、ウプシロンのやつも、グレートドーンの守護神器も、大体わかりやすい位置にあった。つまり……そこか。

 そのよくわからない何かしらの施設があったと思われる場所……にありそうな予感。


「ありがとうございます。博士……って、そろそろ時間だぞエマ。行くぞ!!」

「……うぇ……は、はい。」



……相当嫌そうだ。一体どんな街なのか。気になる。

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