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【完結】神の器の追跡者  作者: Ryha
第九章 来たる「執園」
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第088話 創造者

「……ここはどこ、ですか。」

「……どうしたんだ?ソニア0号。エラーか?」


 私は、ソニア・ラキ・クロノシィード……天才だったニケの意思を継ぐ、ロストリアの若き天才。

 インガニウムの共鳴反応が起こった後、私の記憶は無い。


 でも、意識が戻った今、なぜか私はソニア0号、と呼ばれている……


「まあ良い、何かあれば連絡してくれ。私は先に戦場へと行く……」

「……」


 その肩に1と付いたソニア・タロース……つまりソニア1号機は争いが見える方向へと飛んで行く。


 私は、自分の状況を知ろうとする。


「……これが、私の体……?」


 手を見ても、足を見ても……それは自分のものではなかった。私が前に捨てた初号機の、その体だということに気がついた。


「……顔は??」


 私はその顔を戦場となっているこの街のガラスの反射で知る……


「誰です……これ。」


 そして、私の脳内には何故か犯罪の記憶……裁判にかけられ、死刑になるそんな記憶があった……

 一体、何の記憶だろう。


「……つまり、私の体はソニア初号機……私が廃棄したあの体に、脳だけ移植されて……顔と足りない部分は死刑囚から穴埋め、されました……?」


 もちろん誰も答えるわけがない。

 アルマードの事だ……私の事を人形のように扱う為……という事だろうか。


 しかも、ここは戦場だった。

 最悪な場所で、私の意識は戻ってしまった。


「……どこかもわからないこの場所で……私はどう、動きましょうか……」


 逃げてしまうという方法もあるけど、帰らないと流石にバレるだろうしそれにこの体は位置情報が特定されている可能性だってある……下手に逃げてもだめ……。


 その時だった、私の前を複数人が逃げて行く。


 ちょうど私のいた場所は逃げ道になっていた。


「……他のソニアが、私の研究が……この人々を、苦しめちゃっているんです……よね。」


 それを思うと私は悲しくなった。

 泣きたい……でも、この体、この顔からは涙なんて出なかった。


 所詮機械だから。神器だから。


 泣きたいのに、私は泣けなかった……



 そんな私の目の前で、ある一人の女性がつまづき、転んだ……

 その顔には、見覚えがあった。その服は和服で、上品な姿をしていた。


「カーラ……。」

「……え?私の、名前??」


 私はその少女……私の世界だと王家だった、カーラの姿を見つけそう呟く。


「……え?本当に、カーラです、か?」

「……誰……ですか。」


 カーラは足を怪我してその場から起き上がれなくなっていた……

 だからこそ、私の今の姿に怯えつつもそう話をしてくれる。


「……私は別の世界の、貴方の友人……ソニアって、言うの……」


 信じてくれるわけ、ないよね。

 だってロボットが、意味わからないことを急に言い始めたんだ。


 ……しかもそのロボットは、街を襲っているロボットと同じ何だ……信用なんてされるはずがない。


「……あのロボットの仲間が……そんな友好的……なの?」


 カーラは困惑しながらそう聞く。


「私はあのロボットの敵……元は人間で、このロボットに意識を入れられてしまったんです……」


 私は受け入れられないことなんて承知で道端で立つことができなくなっているカーラの元へと行く。


「……信じます。貴方は、こんな私を見ても襲わなかった……きっといい人ですよね。別世界の私と友人ならば……尚更。」


 そう言ってカーラは徐々に距離を近づけていった私を抱きしめる。

 余りにもあっさりと受け止める。それ程に信じるのは経験からだろうか。この世界のカーラは色々と知識があるのかもしれない。


「……どんな姿でも、どんな世界でも私が選んだ友達ならば友達です。」


 カーラは私の鋼鉄の体を抱きしめながらそう言う。


「……ごめんなさい。私、別の世界では貴方を守れませんでした。」

「そう。それは辛かったですね……」


「……ごめんなさい。泣きたくても、泣けないんです……」


 私はカーラの前で二度も惨めな姿を見せる。


 私はカーラにとって、何者なのだろうか。

 神器になることを拒まれ、一生の友達だからこそ、守るために神器になろうとして暴走して迷惑をかけてしまった過去……そして今のこの状況。


「……心の中で、いっぱい泣いてください。私はそれを受け止めます。最後まで、ここにいても良いです。私たちは友達なのでしょう?悲しみと時間を共有するのも友達の役目でしょう。」

「……うぅ。ありがとう……ございます……カーラ。」


 私はその泣くことのできない体で、ただひたすらにカーラに感情を見てもらった。


 ーーー


「……エラー個体だな。」


 しばらくするとあいつは戻ってきた。


「……何者!?」

「……我はソニア。実験体1号だ。」


 ……私が作り出したソニアが、本当は防衛兵器なのに、戦争に……


 私の心はまた、不安定だった。


「……エラーは排除する……」


 そのソニアはビームを構える……


 その時だった。


「……させません!」


 私の前には子供が現れた。


「……誰!!?危ない!!下がって!!!」


 私はその子供……幼く、白い髪を持った純白な少女を目の前にそう叫ぶ。


「……大丈夫です。ワタシのことはいいので、逃げて下さい、創造主さん。」


 その幼い子供は、笑った。その顔は見覚えなんてない筈なのに、私の心に突き刺さった。

 ……いや、見たことはあった。


 きっとあの子は……あの子だ。私が見つけて、ソニアを作るときに参考にした、あの知能神器……

 フランだ。


「……この世界だと……生きて……精霊族のように、実体化した……」


 ワタシはそのフラン……試作品のはずの知能神器が人の姿になっている事に驚いた。

 彼女はセレスチウムの力で制御されている新たな生命……つまり、精霊族に近いのは事実。


 何らかの要因で、覚醒した結果今私とカーラの前にいるんだ。



「……終わりだ。ボスには死んだと報告しておこう、ソニア0号……」


 1号はビームを発射した。


「……っ重い!!」

「……フランさん!!!!!!!」


 フランはバリアを作り出してそのビームを受け止める……

 その髪の毛は風に靡き、バリアを作り出している小さな手はすぐ飛ばされてしまうかのように震えている。



「……フラン……さん。」


 私は彼女のバリアに守られながら小さく呟く。

 彼女はそれに気がついたのか、バリアを展開して攻撃を耐えながら顔だけ私の方を向いて笑う。


 その表情は透明感が溢れ、私にとっては理想のような表情……あの世界のカーラが見せてくれたような表情だった。


 私は生まれてからずっと研究してきた。自分の楽しみなんてない程に。

 研究が楽しくないと言ったらそれは嘘になる。だけど私自身はそんな楽しそうな表情をどこかで欲しがっていたのかもしれない。


「……!!」


 私は泣けないし、笑えなかった。

 この体じゃ、上手く表情を表現することはできなかった……




 暫くすると、ビームは止まった。


「……はぁはぁ……」


 フランが息切れしているのが分かった。

 それ程にエネルギーを使ったのだろう。


「……ちっ。倒しきれないか……まあ良い。ならもう一度チャージするだけだ……」


 ソニア1号は再チャージし始めた。


 もう、フランはフラフラ。とてももう一度防げるような状態ではない。


「……ワタシが……!!」

「もういいです!!フランさん!!」


 私は倒れそうなフランの元に駆け寄って支える。


「……そう、ぞうしゅ……さん。」


 フランは小さく、死にそうな声でそう言った。


「……ううん。私は創造主じゃないです……フランさん。」

「……いや、創造主です……貴方の中からは……ニケの……創造主の匂いと……意識を感じます……」


 フランはそう言った。


「……さらばだ。」


 もう一度、ビームが放たれた。


 私はフランを抱きしめた。


「……私はニケになれなかった……ただの子孫……です。」

「……そんなことはないです。こんな強敵を作っておいて……ニケに敵っていない訳が……ないです。」


 フランはそう言った……

 彼女は分かっているんだ。私がこのソニアを自分自身……知能神器から作り出した存在だって……

 きっと彼らからも、同じ匂いでもするのかもしれない。


「……ありがとう。」


 私はそのビームを前に、死ぬことを覚悟してその弱ったフランを抱えて最後の時を迎えようとする。


「……スキル:防御体勢、リフレクト!!」


 その男の声はその瞬間聞こえ、私たちに直撃するビームは阻止され……そしてそのビームは反射され、ソニア1号に直撃した。


「この新しいスキルっていう魔法みたいなやつは自動発動だし使いやすいが、魔法よりもエネルギーの消費を感じるな……」

「……あ、貴方は……」


 オーランだった。間違いなく、その後ろ姿はオーランだ。


「おう、俺はオーラン……助けに来た。フラン……創造主……」


 オーランもまた、私のことをそう呼んだ。


「……スキル……って??」


 私の後ろでカーラがそうオーランに対して聞いた。


「ああ。なんかこの世界、魔法以外にも新たな力が使えるように書き変わったみたいなんだ。多分、霊圧が消えた魔法統括システム……のせいだと思うけど。」


「……なるほど……魔法、じゃないんですね。」


 カーラはそう納得する。


「ああ。スキルは防御体勢の様に一瞬で他の人の所に移動する力……みたいなのもあったりと、意外と便利そうだ……」

「……オーランさん、助けてくれてありがとう。」

「おう、当たり前だフラン。防御体勢で飛んでいけるとは言え……あんまり遠くには行くなよ。」

「はい!」


 スキル……それは間違いなくこの世界のものではない力……

 私が前にあの世界で樹とエマに対して説明した力……グレートグローンの宇宙にある力……それがスキル。


 私がこの姿で意識が戻ったのもこれも全て……魔法統括システムっていうのが原因なのかもしれない。



……アルマードを、早く倒さないと。

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