【原作】※ネタバレあり 読む判断などにご活用下さい
数ある小説の中から、この小説を選んでいただきありがとうございます。
この小説は以前Twitterに投稿した私自身の短編小説の長編リメイクであり途轍もない大幅な深掘り、世界観拡大を行った物となっています。今回以下に書いてある原作は世界観を共有しているだけの、本編の超要約版です。
どうぞ、お楽しみ下さい。
また、よろしければブックマークや評価、感想の程お願いします。
※以下には、物語の根幹に関わるとても大きなネタバレを含んでいます。本編未読の方はこの物語がどういったものかを判断する場合に活用することもできますが、読むことで一部つまらなくなってしまう場合がございます。それでも良いと言う方のみお読み下さい。
「神の器の追跡者」の原作にあたる短編「Tales of Tetrapia」(Twitter投稿版)のまとめです。
この物語は、以下を原作に作り上げました。以下の第二章と第四章は特別編として、それ以外は本編にリメイクしつつ取り込んでいると言う形であるため、これを読んだからといって全てが分かるわけではありませんし、本編を読まなくて良いほど理解できる、となるわけでもありません。
140字以内の5話構成が6ストーリーあります。
一応原作と書いていますが、執筆しているのは私自身です。
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【第一章:旅人の記録】
□第一話「未知の世界」
私は昨日、恐らく夢の中で謎の扉のようなものを見た。その渦巻く扉の中に入ったからか、今では自宅では無く見知らぬ場所にいる。
一見中世のような文明レベルに感じるが、魔法も高度な機械もあり、多種多様な人種や生物が入り乱れている。
この場所はテトラ……というらしい
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□第二話「4つの祭壇」
この地には4つの祭壇がある。
それぞれの祭壇は時間・空間・次元・心を示す。それぞれの下にある水路の水量により中心に開く「結びの扉」がどこに繋がるか変化するようだ。
この技術はここテトラ……でのみ発展したらしい。
一体どのような技術なのだろうか。———————————————————————————
□第三話「テトラビア」
この地、テトラビアは4つの祭壇と結びの扉を数世紀前から使い、外界と交流してきたらしい。
それ故に様々な人の経由地点となっていたと言うところから、経由と言う単語を取ってTetraviaと呼ばれるようになったらしい。
私はこの地のシンボルマークを入手した。
祭壇の形だ。
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□第四話「紋章」
このテトラビアに辿り着いた者には個々人を示す紋章が自動的に与えられる様だ。これも魔法の力だろう。
自分の境遇や性格、様々な要素から決定されるようで、とても興味深い。ある意味これも文化なのだろうか。
ただ、これはマイナンバーカード等と用途自体は大差無い様に感じる。
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□第五話「侵略」
昨日、大きな爆発音と共に謎の機械文明が結びの扉より侵入した。
彼らの…的はテトラビアの技術と思われ……たっ…今、全……の水は抜か…た
これで…う…丈夫…はず…ろう
ひと…ず息を潜めた…
???「…は……体……1号ソ…ア・…ロ……」
ーーここで記録は途切れている
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【第二章:剣と拳】
□第一話「記憶」
拙者?いや私?、今の俺は一人称すら思い出すことができない。
ただ一つ覚えていることがある。池へ転落し起きた時にはこの場所にいたということ。
辺りを見渡すと瓦礫の中に何かがあった「S…NIA」かなり古く字は読めなかった。
考えても仕方がない。目の前の渦巻く扉に入る事にした。
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□第二話「扉」
扉を通ると俺はボロい山小屋の扉から出てきていた。
水分補給をしようと近くの湖へ足を運んだ。
鏡面のように反射するその水にはまるで別人のようになった自分が映っていた。
今ではあの扉こそが俺の記憶が消えた原因だと思える。
でも今は牢獄の中。考えることしかできない。
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□第三話「少女」
そのあたりをうろついていたら敵国の兵士と間違われ囚われの身となってしまった。
金品やこの世界とは異なる自分の服はすべて奪われてしまった。それから1週間は経つ。
洋服というらしい、これはどうしても着慣れない。
……同じ部屋に少女も囚われていることに気づいた。
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□第四話「捕虜」
投獄され早一か月、俺と少女はそれなりに仲良くなっていた。
そして自分は敵国の兵士と間違われ投獄されていたため、釈放が決まった。
そのタイミングを利用し、俺は少女を開放することに決めた。
詳しく話を聞くと彼女は捕虜として捕まっており、実はかなりの腕力持ちらしい。
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□第五話「居場所」
上手く逃走した俺と少女は彼女の故郷にたどり着いた。
話を聞く限り彼女は10歳と若いが、その腕力を認められ相当な圧がかかっていたらしい。
そんな彼女を「つらい時は逃げても良い」そう言って見送った。
あの時何故そう言ったのかは覚えてない。
さて、山小屋に戻ろう。
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【第三章:希望の説話】
□第一話「伝承」
この聖と魔が戦争を繰り返す世界には、とある伝承がありました。
「人々の…い…力集まりし所楽園への門開かれる」
ある魔王は昔から虐げられてきた魔族の為にこの伝承を信じていました。
然し魔王の考えは歪んでおり、聖なる敵を滅ぼしてこそ楽園の門が開かれると信じていました。
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□第二話「聖魔の出会い」
ある日、魔族の進軍が終わった時、魔王は瓦礫の中にある女性がいる事に気がつきました。
その女性は白髪青目の聖女であり、あまりに可憐な彼女に魔王は一目惚れをしてしまいました。
魔王は魔族の掟を破り、魔法で魔族の衣装・黒髪赤目にさせ彼女を人知れず匿う事にしました。
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□第三話「聖女」
聖女は故郷を破壊した魔王を恨んでいました。
毎日の様に魔王を討とうと試みましたが、毎回返り討ちにあっていました。
そんなある日彼女は魔族の劣悪な環境を知ります。
そして魔族の境遇へ共感するようになり、いつしか彼女は魔族の為に何かできる事が無いか考えるようになりました。
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□第四話「恋」
聖女は魔王の事は恨んでましたが、魔族を救う為に魔王の妃になろうと思い始めます。
匿うという形から変わり、彼女は人前に魔王の妃として姿を表すようになりました。
初めは何も知らない魔王を利用していた彼女ですが、いつしか魔王の事が好きになり本当の意味で妃になりました。
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□第五話「ハーフの少女」
ある日聖女と魔王は子を授かりました。
魔王は魔王の立場を失う事を恐れ黒髪赤目を懇願しました。
然し産まれた子は白髪青目であり聖女との子だとバレてしまいました。
ハーフである産まれた子は幼い頃から凄まじい魔力を発揮し、遂には結びの扉を見つけてしまいました……
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【第四章:建国記】
□第一話「楽園」
楽園とはなんでしょう。虐められている人が相手を打ちまかし、自分がその立場を手に入れたらそれは楽園なのでしょうか。
いいえ、私はそう思いません。魔王は力で楽園を作ろうとしていましたが、誰かの犠牲がある楽園は楽園とは言えません。ーー「王位継承式 テトラピアの創始者」より
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□第二話「瓦礫」
今のテトラピア、それはかつて文明が存在した場所に新たに作られた王国。
この国は魔法の力で瓦礫から元の文明の姿をデータとして蘇らせ、それを元に建物などは建てられている。
また、瓦礫調査より超高度機械文明に攻め込まれ滅んだとわかった。ーー「瓦礫調査と建築」より
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□第三話「文化」
この紋章、綺麗な形ですよね?
遺跡から見つかった紋章ですけど、これが魔法か何かの技術で作られていたみたいです。
自分は魔法なんて知らないデザイナーですが、その文化は保存したいので。
初めて見た時そう感じたからこの仕事を続けてます。ーー「紋章デザイナーインタビュー」より
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□第四話「名称」
テトラピアという名は創始者の女王がつけた名前である。
この地に存在したとされる嘗ての文明「テトラビア」の名を踏襲しつつ、楽園(Utopia)の意味を付け加え作られた国名だ。
嘗ての文明がなぜ「テトラビア」と呼ばれていたかは未だ分からない。ーー「テトラピア史(改)」より
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□第五話「国旗」
テトラピアの国旗は嘗ての文明と同じように中心地にある結びの扉と4つの祭壇の形が大元のモチーフとなっています。
そこに支え合いと言う意味の「繋がりの線」があり、中央に見えるバツ印は楽園の象徴としてデザインされています。ーー「ドキュメンタリー映像 国旗の謎」より
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【第五章:紡ぐ旅】
□第一話「和」
扉を使う旅を始めて1年は経った。
この日本という土地に来てからも2ヶ月は経つ。
記憶がない俺だがこの地名には聞き覚えがある。然し依然として思い出すことはできない。
「今日のご飯買ってきたよー!」
元気な声と共に拠点にしている廃墟の扉を開けたのはこの世界で出会った女子校生だ。
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□第二話「名」
ここ、日本で出会った女子高生は馬越という氏を持つらしい。
長い旅の中、俺に構う人は殆ど出会わなかったが彼女は違った。
「君、名前ないなら自分がつけてあげよっか。」
そうして共に考えた名が山南リンドウだった。
「一人称も似合ってなくない?」
人の温もりを感じたのは久々だった。
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□第三話「歌」
彼女はこの田舎町で一番の美声と言われる程の歌の才能を持っている。
その影響を受け歌と言うものを始めてみたが、中々に難しい。
「自分という存在を、いつか全国に届けるの」
そんな彼女を親のように見守りながら、日々を過ごした。
今日も、自分という存在を知るためにこの歌を歌う……
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□第四話「家」
彼女は母子家庭で育った。それ故に自分に構ってくれているのだと知っていた。
彼女もまた、人の温もりを求めていたのだ。
いつもの時間、彼女を待っていたが来なかった。
数日後、久々にみた彼女の姿は変わり果てていた。
「私、もうダメみたい。」
何があったのかは聞かなかった。
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□第五話「虚」
数日後、彼女の携帯が近くの廃墟で見つかった。
その場所には扉が開いていた。
「間違いない。『あの』扉だ。」
何度も潜ったあれだ、でも扉の先は知っているあの場所ではない。
記憶を失う可能性を考えながら、扉に入った。
ーー扉の先は、テトラピアと言うらしい。
どこに行ったんだ……
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【第六章:再帰の扉】
□第一話「試作品」
「我らはロストリア解放軍」
「この腐れ切った国を壊し、自分達の理想郷を創り出す!」
この機械文明の島、ロストリアには政府に対立する解放軍がいた。
「ボス、ヤバイ物を入手しました」
軍の一員が持ってきた物は、欠陥により破棄された政府が開発中の対軍用兵器の試作品だった。
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□第二話「博士」
「お前、これをどこで手に入れた」
「政府の研究施設です」
守護兵器の精巧な造りに感銘を受けたボスは、開発者の博士を軍に取り込む事を考えた。
一方その頃、博士は守護兵器との同時進行でロストリアに古代から残る謎の扉の復元に成功していた。
その扉は様々な次元へと繋がる扉だった。
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□第三話「景色」
研究所を襲った軍は、博士の脳を試作品に移植し記憶の欠損部分を大罪人の記憶で埋め、博士を木偶人形へと作り変えた。
また、同時に完成していた守護兵器「SONIA TALOS」と扉も軍の手中に落ちた。
扉の先には軍にとってまるで楽園と言えるような景色が広がっていた。
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□第四話「島防衛」
「計画変更だ。守護兵器、扉の中を侵略しろ!」
軍は資源の無い島ロストリアの征服では無く、扉の先の豊かな世界に目的を変えた。
然し、兵器は一切命令を受け入れなかった。
兵器に島防衛プログラムという謎のプログラムが働いている事を知った軍はそれを解除させ、侵略を始めた。
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□第五話「新たな未来」
試作品の欠陥とは脳部分の破損であり、博士の脳を受け継いだ試作品には意思が残っており、分かっていた。軍が侵略した扉の先は嘗てのロストリアであると言うことを。
またそれがその時代、テトラビアと呼ばれていたことを。
試作品は軍を破壊し尽くし扉を完全に閉じ、力尽きた……