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呪われた屋敷に、住み込みで働きます!  作者: 工藤 でん


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21/27

【21】呪いは解ける

解釈違いって、あるある!


王立呪術研究所から屋敷へ戻り、マーメリズはキュービを膝に抱えたまま何事か考え込んでいた。キュービは白いもふもふの体を丸くしてマーメリズの膝でまどろんでいる。ついでに霊力も食っているのだろう。

マーメリズは半分眠っているキュービを覗き込んだ。


「ねえ、キュービ? この屋敷って、呪いの他に何か感じませんか?」

「……んんー? 何かって何よ?

気色悪い呪いだけで、わし完全思考停止よ?」

「もうちょっと根性入れて確認してみません? ものすごく微弱な何かなんですけど」

「わしね、聖獣なの。人より呪いに敏感なわけよ。繊細なのね。

もうさ、呪いの臭い嗅ぐだけで食欲なくなるから」

「その割に、そのちっさい体で、私の二倍くらい食べますよね……」

「マーミィのメシは罪深い」


コーキがクラッカーをつまみながらケタケタ笑った。夕食までの腹持たせらしい。


「犬も鼻よすぎて強い臭いだめじゃん。それと同じじゃね?」

「犬といっしょにするでないわ!

……あ、いいな。コーキ、それよこせ」


コーキが投げて寄越したクラッカーを、キュービは口でジャンピングキャッチした。かわいい子犬の芸のようである。


もっしゃもっしゃとクラッカーを噛み砕きながら、キュービは再びマーメリズの膝に戻りかけた。

ふと、白い耳を立てて止まった。じっと聞き耳を立てている。黒いつぶらな瞳がきらりと輝いた。

マーメリズは最近悟った。

これは、キュービに神のお告げが降りている状況である。キュービの聖獣っぷりが現れている、貴重な時である。



「来ました、今日の神のお告げ、来ました!」

「うん。見ればわかる。そんで、あんまり期待してない」


コーキがばりんとクラッカーを噛んだ。

最近のキュービの神のお告げは、今日のメシはハンバーグとか、ラクトの学校午後から休校とか、レオポルト精肉店のひき肉売り切れなど、知っても知らなくてもどうにでもなる内容が多い。期待値も下がるというものだ。



キュービは胡乱な目付きでコーキを見やった。


「あんまり馬鹿にすると、お前にもバチ当てるぞ。

牛乳飲んだら三回に一回必ず腹下すバチ当ててやるからな」

「やれるもんならやってみな。返り討ちにしてくれるわ」

「やだ、もう、マーミィ!

この呪いの専門家、ちゃんとバチ返せそう! 口だけじゃなさそう!」

「そうですね。バチは当てないことをおすすめします」



マーメリズの至極真面目な顔を見て、キュービはコーキにバチを当てることは諦めたようだ。しおしおとマーメリズの膝に顎を乗せた。

マーメリズはそんなキュービを見下ろした。


「どうしました? 神のお告げじゃなかったですか?」

「なんかさ、やる気なくなっちゃって。

せっかくわしが、ありがたい神のお告げ下してんのに、誰も聞いてないじゃん?

もうやめちゃおっかな、って思うじゃん?」

「まあまあ、そこは落ち着いて。

神様のお告げを下ろす、キュービはすごいですよー。かっこいいですよー」

「そ、そう?

わし、カッコイイ? やっぱモテ期到来してる?」

「きゃー、きゃー!

キュービって、素敵!

もふもふキュート! モテ聖獣!」

「あは、あははははは。

じゃあ、お告げいっちゃおうかな? 期待に応えていっちゃおうかな?」

「いっちゃえいっちゃえ」

「いっちゃお、いっちゃお!」

「……チョロい」



ぼそっと呟いたコーキの声は、キュービには届かなかったようだ。

えへんおほんと偉そうに咳払いして、キュービが二本足で立ち上がった。



「えー、では。ご期待に応えまして。わたくし、キュービが神のお告げを下ろさせていただきます」

「わー、ぱちぱちぱち」

「本日のぉ、神のお告げぇ!

……てかさあ、お前聖獣だよな。なんで気づかないの? 鈍いにも程があるっての」

「………………神の、お告げ?」

「まだ続きあるから。

……ここんちの呪いの大元にさ、霊力あんじゃん。それも巨大なやつ。これに気づかない聖獣って、最早聖獣とは呼べねえからな。そこの聖女の方がよっぽど気づいてんじゃんかよ。お前、反省しろよ? 聖獣の名前、今後も名乗りたいなら、ちったあ努力しろよ?

……て言われた。

マーミィ、このお告げ、なんだか涙が出るんだけど」



意気揚々と神のお告げを下ろしていたキュービが、めそめそとマーメリズの膝に顔をうずめた。

ちょっと心に負担が掛かったらしい。

マーメリズはキュービの背中をよしよししてあげた。



コーキがマーメリズに視線を送ってきた。どういう事だ? と瞳が尋ねている。

マーメリズは少し考え込んだ。



「……微弱に感じている力がどの程度のもので、そもそも霊力かどうかすらわからないのですが、確かに呪いと違う力があるんですよ。コーキには分かりませんか?」

「わかんない。でも、おれがわからなくてマーミィがわかるってことは、霊力の可能性があるな」

「……そこで。ちょっと、思いついたことがありまして。ご相談なんですが」



マーメリズがコーキに問いかける。少し躊躇う様子も見えた。


「この国の呪いの考え方と、私の故郷の呪いの考え方が、まるで違うんですね」

「ほーう」

「この国では、呪いという得体が知れないけれど強力な力を、何かに転用しようとしてますよね」

「まあ、そんな感じだな」

「私の故郷ではですね、この世に存在しないはずの強い呪いの力は、解いてしまおうと考えるんです」

「……どういうことだ?」

「呪いとは解けるんです。解けた呪いの力は、天に帰ります」

「……この国でも、解呪という考えはあるが、呪いの力を元に戻すだけだな」

「私はこの屋敷の呪いは、解けると思っています」



コーキが鋭い目を上げた。

マーメリズは少し慄いたが、毅然とコーキを見返した。


「この屋敷の呪いの力で、この敷地が呪詛から守られているって話を聞いたばかりなのに、すみません。

でも、それは他の力でも転用できるのでは? キュービの神のお告げにあった、巨大な霊力。これを引き出すことができたら、この敷地を守ることはできませんか?」

「……その霊力とやらが、確実にあると証明できるか?」

「呪いに向き合ってみなくてはわかりません。でも、可能性はあると思います」



コーキはマーメリズを見つめていた目を閉じた。

しばらく思案して、うなずいた。


「……おれが作った呪詛返しのシステムも、完全ではない。この屋敷の呪いは安定しない。時々暴走しておれを喰らおうとする。

もし安定した力が手に入るなら、それに越したことはないんだ」

「……コーキ」

「試してみよう。あくまでも、無理のない範囲で」



□ □ □



マーメリズはコーキの研究室の前に立っていた。

確かに呪いの気配がしている。

そして、それ以外の力もうっすらと感じる。


マーメリズはコーキを振り返った。

コーキの後ろにはラクトと、ラクトにへばり付いて離れないキュービの姿があった。キュービには、この呪いの気配は嫌なのだろう。九本の尻尾が、丸まっていた。


「では、入らせていただきますね」

「いいよ」

「コーキ、本当に危なくないのか?」


ラクトが心配そうにコーキを質す。

コーキは肩をすくめた。


「マーミィが大丈夫、ってのを信じるしかないな。

呪いの形質としても、奪う素振りを見せなければおとなしいもんだし」

「……その辺が、全然わかんねえ」

「そりゃそうだ、ど素人。

マーミィは異国の呪いの専門家みたいなもんだ。お手並みを拝見するとしようぜ」

「……コーキが言うと凄いプレッシャーなんですけど」

「あは。気のせいじゃない?」


マーメリズがじとっとコーキを見るが、あどけない表情の少年に可愛く手を振られただけだった。ラクトがマーメリズの代わりに、コーキの頭に手刀を落とした。



マーメリズは深呼吸して、ドアノブに手をかけた。

ゆっくりとコーキの研究室に踏み入った。



屋敷の中で、ここだけは掃除にも入らせてもらえなかった部屋だ。家具は何も無い。床に杭が四本打たれ、ロープが張られている。長方形に囲われ中心をバツ印になるように結ばれていた。そのど真ん中に何やら紋の彫られた金属の棒が刺さっていた。王宮の地下にある、柱の紋に似ていた。


杭の周りの床には古いものから新しいものまで、血痕らしきものがこびりついていた。瞬間的にコーキのものだと悟る。コーキはこの呪いと常に戦っていたのだ。

ラクトも研究室の中は見たことがないのか、目を見張って室内を眺めている。



マーメリズは台所から持ち出してきた塩の壺から塩をつまみ出し、杭の四隅に山を作った。

そのまま手を組み、祈る。



マーメリズの祈りに反応してか、部屋の空気に色がついたかのようだった。ザワザワとした気配が部屋の中央に向けて動き、集まっていく。青から紫のような煙が見えたかと思うと、それは人の姿になった。枯れ枝のような細さの老人だった。



コーキは見たことがあるようだったが、ラクトは瞠目していた。

具現化した呪いを見たのは初めてだった。

キュービに至っては完全に丸い毛玉になっていた。



マーメリズは手を解いて、老人に向き合った。

老人は歯をむき出しにして威嚇している。


「……はじめまして。この屋敷にお住まいの方ですね」

「……やらん……絶対に、やらんぞ……」


マーメリズに向けて、複数の風の刃のようなものが襲いかかった。マーメリズは黒いローブでそれを防いだ。色気はないが、非常に防御力に優れたローブである。


「……やらんぞ……誰にもやらん……」

「はい、いりません。

私はあなたのことを聞きたいと思って来ました」

「……奪いにきたのか……私の宝……やらんぞ……」

「はい。宝には興味ありません。

あなたのことが知りたいのです」

「……また来たんだろ……力を得たいがために……渡すものか……絶対に……」

「力などいりません。私には必要ないので。

私は、あなたの心を見つけにきました」


老人はふと威嚇をやめて、マーメリズを見た。

不思議そうな顔で目の前の黒いローブの女性を見つめた。

マーメリズは淡々と老人を見返している。


「……私の宝を奪うのではないのか」

「そんなことして、誰が喜ぶんです? 私はいらないと言っているのに」

「みな、奪いに来た……私の大切な……」

「私はいらないので、その話は結構です。

私は、欠けたあなたの心がどこにあるのか知りたいんです」

「心……」

「心が欠けていると、地上に縛られてしまうんですよ。あなたは天に行けるのに。

……だって、あなたはもう、死んでいますから」


老人はやはり不思議そうな顔でマーメリズを見ていた。マーメリズは当たり前の顔をして老人の前に佇んでいる。


「……死んでいる?」

「はい。どれほど前かは分かりませんが、亡くなっています」

「私は……死んでいるのか……」

「とっくに天に召されていいのです。その方が楽になれますよ」

「だが! だが誰にも渡すわけにはいかないのだ。

……友が、私の友が戻るまで」

「あなたの欠けた心は、お友達の元にあるのですね……」


マーメリズは悲しい顔で老人に向き合った。

老人は俯いている。


「……私は、友人の力が欲しくて、友人の宝を奪った。だが、友人は許してくれた。では、自分が戻るまで預かってくれと」

「……はい」

「友人が戻るまで、私は宝を守ることにした。宝の力を知る者が、何度も奪いに来たが、守り通した。

友人は強いから、必ず戻ってくる。ずっと、待っていたんだ……」

「すごいですね。ご友人さんも誇りに思っているでしょうね」

「そうだろうか……まだ私を友と呼んでくれるだろうか……」

「聞いてみたらいかがです?」



マーメリズは天を指さした。

老人がつられて仰ぎ見る。


「光が見えますか」

「……見える……」

「ご友人さんは、そこにいます。行って聞いてみてください」

「……私を拒絶したりしないだろうか……もう友ではないと、切り捨てられたりしないだろうか……」

「大丈夫です」


マーメリズは老人に笑いかけた。


「宝を守りきった優しいあなたを、拒絶する友人さんではないでしょう?」

「ああ……そうだ。あいつはいいやつなんだ」

「光の向こうで、あなたを待っていますよ」

「そうか……では、行かねばな」



老人は天を見上げたまま、浮上して行った。

紫色の煙が揺らいで消えた。

消えた瞬間に、マーメリズはチャリンと金属が落ちる音を聞いた。


老人が立っていた場所に、金色の鍵が落ちていた。



□ □ □



「結局、どういう事なんだ?」


コーキがマーメリズに尋ねた。



マーメリズたちは庭に出ていた。

老人が消えた後、マーメリズとキュービはあからさまな霊力を感じていた。それは金色の鍵からではなく、庭の一角からだったのだ。庭の一角に以前から妙に窪んだ場所があったのだが、キュービがその真ん中でここだここだと騒ぎ立てた。ここ掘れわんわんである。

この家にスコップという道具は1つしかなく、今はラクトが窪みをさらに掘り下げていた。



コーキの問いに、マーメリズは曖昧な笑みを浮かべた。


「あのご老人のわだかまりを解いただけです。詳しいことは分かりません」

「……わからなくても、いいんだな」

「この世にしがみつく理由がなくなれば、天に召されるだけですし。天に一度召されてしまえば、戻ってくることは無い。天の理に組み込まれるだけですから」

「ふん」

「人の理にそぐわない存在は呪いと呼ばれてしまうのでしょう。あのご老人だって、そう呼ばれたかったわけではないわけで」

「……ほんとに違うんだな、解釈が」



ガツンと硬い音がした。

ラクトが何かを掘り当てたようだ。

ちょうど日が暮れて暗くなってきた所で、コーキが火魔法の応用で辺りを照らした。熱のない丸い炎が宙に浮かんでいる。

掘り出した物は木箱であった。半分腐りかけている。その木箱の中にさらに金属の箱が入っていた。だいぶくすんではいるが、装飾の入った手の込んたものだ。


泥だらけになったラクトが、金属の箱を地面に置いた。箱には鍵穴が空いていた。


「お疲れ様です、ラクト。大仕事でしたね」

「うん? 大したことない。

なんだろな、これ」

「マーミィ、鍵は?」

「ありますよ。やはり、この箱の鍵、ですよね」


マーメリズが老人が残した金色の鍵を取り出した。

鍵穴に差し込むと、多少引っかかりを覚えながらも奥まで届き、カチャリと解錠された音がした。

ゆっくりと蓋を開けてみる。



中には白く光る、丸い玉が入っていた。



「うわー、うわー、うわー!」



キュービが雄叫びを上げながら箱に飛びついた。

両前脚で玉を掴んで目の高さに掲げた。

きらきらの黒い目が白い玉を見つめている。


「宝玉じゃん! じーさんの宝って、これのことかよ!」

「……?

キュービ、もうちょっと詳しく」


キュービは白い玉を抱え込んだまま、三人を見上げた。


「ドラゴンてさ、生まれながらに宝玉ってものを持ってるの。ドラゴンの力の源でもあって、それはそれは大切なものなのね」

「キュービ、持ってないじゃん」

「そーれーはー。

ちょっと酒飲みすぎたまま飛翔して、気付いたら無くなってた、みたいな?」

「……本当にダメなホワイトドラゴンだな、お前」

「あ、そういうこと言わない。わし反省したもん。祠で三百年」

「……それって、神様からのお仕置じゃ」

「キュービ、選ばれたとか言ってたけど、閉じ込められてたな!」

「あー、これ、君たちには内緒にしてたんだった! 宝玉みつけて浮かれちゃった!

しかも無くしたわしの宝玉より、すげえいいやつ。ラッキー!」



てへっとかやってるキュービは、宝玉を持って幸せそうだ。

さらに異変に気づいたのはラクトだった。

掘り出した穴の辺りを気にしている。


「おい……なんか、水出てないか」

「ああ、水だな。もしかしてこの窪み、元々池か?」

「こ、これ、ただの水ではないですよ!」


マーメリズが興奮する中、キュービが水に飛び込んだ。泥水を浴びて泥色の聖獣ができあがった。


「キュービ、何やってんだ!」

「きゃっはー! これ、聖水!」

「……聖水?」

「聖域の神殿の、地下にあったやつか」

「宝玉の力で止めてたみたいだ。じーさん、これも誰にも渡したくなかったみたいだな。がめついじーさんだ」


キュービが話しながら徐々に大きくなっていく。

体長五メートルの本来の姿になるまで、それほどかからなかった。

コーキが目を見開いた。

神殿に行かなかったコーキは、キュービの本来の姿を見るのは初めてだ。



キュービが聖水から出て、優雅な姿のまま腰を下ろした。

ホワイトドラゴンが三人を見下ろしていた。


「ドラゴンの宝玉を持っていれば、聖水から出ても本来の姿を維持できるわけ。わしの能力値、爆上がりよ」

「……できることなら、キュービ。泥が落ちついた聖水に浸かってほしかったです。薄汚れています。泥色です」

「うそん! わし、カッコよく登場したんじゃないの? 劇的なシーンだよねっ?」

「そうなんですけど、白い毛並に泥汚れは大分目立ちまして……」

「ヤバイ、浮かれすぎた!

ねえ、やり直す? もっかいやろうか?」

「……いらねーよ」


ラクトの冷静なツッコミに、項垂れるホワイトドラゴン。神聖な獣だが、キャラは変わらない。



聖水はこんこんと湧いてきている。

じっと見つめていたマーメリズに、ラクトが近寄ってきた。


「マーミィ、手見せて」

「手、ですか?」

「うん。多分、左」


マーメリズが手を出すと、左腕の肘から下にいくつかの擦過傷があった。血は止まっているが、痛々しい。


「あらま、いつの間に」

「さっき攻撃受けた時、ローブで防いでたじゃん。その時ちょっとかまいたちに触れてた気がして」

「よく見てんな、ラクト」

「うるせ、コーキ。

ヒールかける。……ちょっと待って」



穴掘りで自分の手が汚れていることに気づいたラクトが、聖水で手を洗っている。

改めてヒールをかけると、見る間に傷が塞がれ跡すら見えにくくなった。

マーメリズはしげしげと自分の腕を眺めた。


「ラクトは治癒魔法が本当に上手ですねえ。

うらやましいです。私も欲しかったなー」

「……いや、すごい調子いい。なんだこれ」


ラクトもマーメリズの腕と自分の手を見比べていた。

コーキも同じようにラクトの手を眺めている。


「ラクトのヒール、傷跡なくすなんてとこまで行ってないよな」

「ないよ。初めてだ。俺、何した?」

「ヒールかけただけですよねえ。手を洗ってから……」



三人は目を見合わせた。

足元で湧いている聖水をじっと見つめる。

泥が落ち着いて、透明感を出し始めていた聖水は、庭の窪みをきっちりと埋めていた。


「……聖水(これ)、治癒効果高まるのか?」

「たぶん、破邪効果もです」

「もしかしてあのじーさん、聖水を塞いで邪悪を退けられなくなって取り込み続けて、呪い化したのか?」

「有り得ない話じゃないな。真相はわからんけど」

「おれみたいに体の中に呪いがあると、邪悪なものが近づいてくるのわかるけどねー」

「コーキのは実体験ですね。

ドラゴンの呪い持ってるくらい……だし……」



マーメリズはコーキを見た。それから聖獣のキュービを見て、聖水を見た。

過去に得た知識を総動員して、目を見開いた。

目が乾くくらい瞠目していた。

コーキがマーメリズの顔の前で手を振った。


「マーミィ? 目が落っこちちゃうよ?」

「……すごいこと、思いついちゃったかもしれません」

「すごい?」

「でも、今ならできる気がするんです」

「どしたの、マーミィ」

「勝てる気がするんですよ!」



マーメリズはコーキの手を取った。

きょとんとしたコーキに、マーメリズは興奮気味に伝えた。



「ドラゴンの呪いに、終止符を打ちませんか?」

最終回まで毎日投稿!

やるぞ! 頑張って推敲する!

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[一言] 頑張ってください! 続きがめちゃ楽しみで!マジ。 お互いがんばろー!(`・∀・´)
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