【21】呪いは解ける
解釈違いって、あるある!
王立呪術研究所から屋敷へ戻り、マーメリズはキュービを膝に抱えたまま何事か考え込んでいた。キュービは白いもふもふの体を丸くしてマーメリズの膝でまどろんでいる。ついでに霊力も食っているのだろう。
マーメリズは半分眠っているキュービを覗き込んだ。
「ねえ、キュービ? この屋敷って、呪いの他に何か感じませんか?」
「……んんー? 何かって何よ?
気色悪い呪いだけで、わし完全思考停止よ?」
「もうちょっと根性入れて確認してみません? ものすごく微弱な何かなんですけど」
「わしね、聖獣なの。人より呪いに敏感なわけよ。繊細なのね。
もうさ、呪いの臭い嗅ぐだけで食欲なくなるから」
「その割に、そのちっさい体で、私の二倍くらい食べますよね……」
「マーミィのメシは罪深い」
コーキがクラッカーをつまみながらケタケタ笑った。夕食までの腹持たせらしい。
「犬も鼻よすぎて強い臭いだめじゃん。それと同じじゃね?」
「犬といっしょにするでないわ!
……あ、いいな。コーキ、それよこせ」
コーキが投げて寄越したクラッカーを、キュービは口でジャンピングキャッチした。かわいい子犬の芸のようである。
もっしゃもっしゃとクラッカーを噛み砕きながら、キュービは再びマーメリズの膝に戻りかけた。
ふと、白い耳を立てて止まった。じっと聞き耳を立てている。黒いつぶらな瞳がきらりと輝いた。
マーメリズは最近悟った。
これは、キュービに神のお告げが降りている状況である。キュービの聖獣っぷりが現れている、貴重な時である。
「来ました、今日の神のお告げ、来ました!」
「うん。見ればわかる。そんで、あんまり期待してない」
コーキがばりんとクラッカーを噛んだ。
最近のキュービの神のお告げは、今日のメシはハンバーグとか、ラクトの学校午後から休校とか、レオポルト精肉店のひき肉売り切れなど、知っても知らなくてもどうにでもなる内容が多い。期待値も下がるというものだ。
キュービは胡乱な目付きでコーキを見やった。
「あんまり馬鹿にすると、お前にもバチ当てるぞ。
牛乳飲んだら三回に一回必ず腹下すバチ当ててやるからな」
「やれるもんならやってみな。返り討ちにしてくれるわ」
「やだ、もう、マーミィ!
この呪いの専門家、ちゃんとバチ返せそう! 口だけじゃなさそう!」
「そうですね。バチは当てないことをおすすめします」
マーメリズの至極真面目な顔を見て、キュービはコーキにバチを当てることは諦めたようだ。しおしおとマーメリズの膝に顎を乗せた。
マーメリズはそんなキュービを見下ろした。
「どうしました? 神のお告げじゃなかったですか?」
「なんかさ、やる気なくなっちゃって。
せっかくわしが、ありがたい神のお告げ下してんのに、誰も聞いてないじゃん?
もうやめちゃおっかな、って思うじゃん?」
「まあまあ、そこは落ち着いて。
神様のお告げを下ろす、キュービはすごいですよー。かっこいいですよー」
「そ、そう?
わし、カッコイイ? やっぱモテ期到来してる?」
「きゃー、きゃー!
キュービって、素敵!
もふもふキュート! モテ聖獣!」
「あは、あははははは。
じゃあ、お告げいっちゃおうかな? 期待に応えていっちゃおうかな?」
「いっちゃえいっちゃえ」
「いっちゃお、いっちゃお!」
「……チョロい」
ぼそっと呟いたコーキの声は、キュービには届かなかったようだ。
えへんおほんと偉そうに咳払いして、キュービが二本足で立ち上がった。
「えー、では。ご期待に応えまして。わたくし、キュービが神のお告げを下ろさせていただきます」
「わー、ぱちぱちぱち」
「本日のぉ、神のお告げぇ!
……てかさあ、お前聖獣だよな。なんで気づかないの? 鈍いにも程があるっての」
「………………神の、お告げ?」
「まだ続きあるから。
……ここんちの呪いの大元にさ、霊力あんじゃん。それも巨大なやつ。これに気づかない聖獣って、最早聖獣とは呼べねえからな。そこの聖女の方がよっぽど気づいてんじゃんかよ。お前、反省しろよ? 聖獣の名前、今後も名乗りたいなら、ちったあ努力しろよ?
……て言われた。
マーミィ、このお告げ、なんだか涙が出るんだけど」
意気揚々と神のお告げを下ろしていたキュービが、めそめそとマーメリズの膝に顔をうずめた。
ちょっと心に負担が掛かったらしい。
マーメリズはキュービの背中をよしよししてあげた。
コーキがマーメリズに視線を送ってきた。どういう事だ? と瞳が尋ねている。
マーメリズは少し考え込んだ。
「……微弱に感じている力がどの程度のもので、そもそも霊力かどうかすらわからないのですが、確かに呪いと違う力があるんですよ。コーキには分かりませんか?」
「わかんない。でも、おれがわからなくてマーミィがわかるってことは、霊力の可能性があるな」
「……そこで。ちょっと、思いついたことがありまして。ご相談なんですが」
マーメリズがコーキに問いかける。少し躊躇う様子も見えた。
「この国の呪いの考え方と、私の故郷の呪いの考え方が、まるで違うんですね」
「ほーう」
「この国では、呪いという得体が知れないけれど強力な力を、何かに転用しようとしてますよね」
「まあ、そんな感じだな」
「私の故郷ではですね、この世に存在しないはずの強い呪いの力は、解いてしまおうと考えるんです」
「……どういうことだ?」
「呪いとは解けるんです。解けた呪いの力は、天に帰ります」
「……この国でも、解呪という考えはあるが、呪いの力を元に戻すだけだな」
「私はこの屋敷の呪いは、解けると思っています」
コーキが鋭い目を上げた。
マーメリズは少し慄いたが、毅然とコーキを見返した。
「この屋敷の呪いの力で、この敷地が呪詛から守られているって話を聞いたばかりなのに、すみません。
でも、それは他の力でも転用できるのでは? キュービの神のお告げにあった、巨大な霊力。これを引き出すことができたら、この敷地を守ることはできませんか?」
「……その霊力とやらが、確実にあると証明できるか?」
「呪いに向き合ってみなくてはわかりません。でも、可能性はあると思います」
コーキはマーメリズを見つめていた目を閉じた。
しばらく思案して、うなずいた。
「……おれが作った呪詛返しのシステムも、完全ではない。この屋敷の呪いは安定しない。時々暴走しておれを喰らおうとする。
もし安定した力が手に入るなら、それに越したことはないんだ」
「……コーキ」
「試してみよう。あくまでも、無理のない範囲で」
□ □ □
マーメリズはコーキの研究室の前に立っていた。
確かに呪いの気配がしている。
そして、それ以外の力もうっすらと感じる。
マーメリズはコーキを振り返った。
コーキの後ろにはラクトと、ラクトにへばり付いて離れないキュービの姿があった。キュービには、この呪いの気配は嫌なのだろう。九本の尻尾が、丸まっていた。
「では、入らせていただきますね」
「いいよ」
「コーキ、本当に危なくないのか?」
ラクトが心配そうにコーキを質す。
コーキは肩をすくめた。
「マーミィが大丈夫、ってのを信じるしかないな。
呪いの形質としても、奪う素振りを見せなければおとなしいもんだし」
「……その辺が、全然わかんねえ」
「そりゃそうだ、ど素人。
マーミィは異国の呪いの専門家みたいなもんだ。お手並みを拝見するとしようぜ」
「……コーキが言うと凄いプレッシャーなんですけど」
「あは。気のせいじゃない?」
マーメリズがじとっとコーキを見るが、あどけない表情の少年に可愛く手を振られただけだった。ラクトがマーメリズの代わりに、コーキの頭に手刀を落とした。
マーメリズは深呼吸して、ドアノブに手をかけた。
ゆっくりとコーキの研究室に踏み入った。
屋敷の中で、ここだけは掃除にも入らせてもらえなかった部屋だ。家具は何も無い。床に杭が四本打たれ、ロープが張られている。長方形に囲われ中心をバツ印になるように結ばれていた。そのど真ん中に何やら紋の彫られた金属の棒が刺さっていた。王宮の地下にある、柱の紋に似ていた。
杭の周りの床には古いものから新しいものまで、血痕らしきものがこびりついていた。瞬間的にコーキのものだと悟る。コーキはこの呪いと常に戦っていたのだ。
ラクトも研究室の中は見たことがないのか、目を見張って室内を眺めている。
マーメリズは台所から持ち出してきた塩の壺から塩をつまみ出し、杭の四隅に山を作った。
そのまま手を組み、祈る。
マーメリズの祈りに反応してか、部屋の空気に色がついたかのようだった。ザワザワとした気配が部屋の中央に向けて動き、集まっていく。青から紫のような煙が見えたかと思うと、それは人の姿になった。枯れ枝のような細さの老人だった。
コーキは見たことがあるようだったが、ラクトは瞠目していた。
具現化した呪いを見たのは初めてだった。
キュービに至っては完全に丸い毛玉になっていた。
マーメリズは手を解いて、老人に向き合った。
老人は歯をむき出しにして威嚇している。
「……はじめまして。この屋敷にお住まいの方ですね」
「……やらん……絶対に、やらんぞ……」
マーメリズに向けて、複数の風の刃のようなものが襲いかかった。マーメリズは黒いローブでそれを防いだ。色気はないが、非常に防御力に優れたローブである。
「……やらんぞ……誰にもやらん……」
「はい、いりません。
私はあなたのことを聞きたいと思って来ました」
「……奪いにきたのか……私の宝……やらんぞ……」
「はい。宝には興味ありません。
あなたのことが知りたいのです」
「……また来たんだろ……力を得たいがために……渡すものか……絶対に……」
「力などいりません。私には必要ないので。
私は、あなたの心を見つけにきました」
老人はふと威嚇をやめて、マーメリズを見た。
不思議そうな顔で目の前の黒いローブの女性を見つめた。
マーメリズは淡々と老人を見返している。
「……私の宝を奪うのではないのか」
「そんなことして、誰が喜ぶんです? 私はいらないと言っているのに」
「みな、奪いに来た……私の大切な……」
「私はいらないので、その話は結構です。
私は、欠けたあなたの心がどこにあるのか知りたいんです」
「心……」
「心が欠けていると、地上に縛られてしまうんですよ。あなたは天に行けるのに。
……だって、あなたはもう、死んでいますから」
老人はやはり不思議そうな顔でマーメリズを見ていた。マーメリズは当たり前の顔をして老人の前に佇んでいる。
「……死んでいる?」
「はい。どれほど前かは分かりませんが、亡くなっています」
「私は……死んでいるのか……」
「とっくに天に召されていいのです。その方が楽になれますよ」
「だが! だが誰にも渡すわけにはいかないのだ。
……友が、私の友が戻るまで」
「あなたの欠けた心は、お友達の元にあるのですね……」
マーメリズは悲しい顔で老人に向き合った。
老人は俯いている。
「……私は、友人の力が欲しくて、友人の宝を奪った。だが、友人は許してくれた。では、自分が戻るまで預かってくれと」
「……はい」
「友人が戻るまで、私は宝を守ることにした。宝の力を知る者が、何度も奪いに来たが、守り通した。
友人は強いから、必ず戻ってくる。ずっと、待っていたんだ……」
「すごいですね。ご友人さんも誇りに思っているでしょうね」
「そうだろうか……まだ私を友と呼んでくれるだろうか……」
「聞いてみたらいかがです?」
マーメリズは天を指さした。
老人がつられて仰ぎ見る。
「光が見えますか」
「……見える……」
「ご友人さんは、そこにいます。行って聞いてみてください」
「……私を拒絶したりしないだろうか……もう友ではないと、切り捨てられたりしないだろうか……」
「大丈夫です」
マーメリズは老人に笑いかけた。
「宝を守りきった優しいあなたを、拒絶する友人さんではないでしょう?」
「ああ……そうだ。あいつはいいやつなんだ」
「光の向こうで、あなたを待っていますよ」
「そうか……では、行かねばな」
老人は天を見上げたまま、浮上して行った。
紫色の煙が揺らいで消えた。
消えた瞬間に、マーメリズはチャリンと金属が落ちる音を聞いた。
老人が立っていた場所に、金色の鍵が落ちていた。
□ □ □
「結局、どういう事なんだ?」
コーキがマーメリズに尋ねた。
マーメリズたちは庭に出ていた。
老人が消えた後、マーメリズとキュービはあからさまな霊力を感じていた。それは金色の鍵からではなく、庭の一角からだったのだ。庭の一角に以前から妙に窪んだ場所があったのだが、キュービがその真ん中でここだここだと騒ぎ立てた。ここ掘れわんわんである。
この家にスコップという道具は1つしかなく、今はラクトが窪みをさらに掘り下げていた。
コーキの問いに、マーメリズは曖昧な笑みを浮かべた。
「あのご老人のわだかまりを解いただけです。詳しいことは分かりません」
「……わからなくても、いいんだな」
「この世にしがみつく理由がなくなれば、天に召されるだけですし。天に一度召されてしまえば、戻ってくることは無い。天の理に組み込まれるだけですから」
「ふん」
「人の理にそぐわない存在は呪いと呼ばれてしまうのでしょう。あのご老人だって、そう呼ばれたかったわけではないわけで」
「……ほんとに違うんだな、解釈が」
ガツンと硬い音がした。
ラクトが何かを掘り当てたようだ。
ちょうど日が暮れて暗くなってきた所で、コーキが火魔法の応用で辺りを照らした。熱のない丸い炎が宙に浮かんでいる。
掘り出した物は木箱であった。半分腐りかけている。その木箱の中にさらに金属の箱が入っていた。だいぶくすんではいるが、装飾の入った手の込んたものだ。
泥だらけになったラクトが、金属の箱を地面に置いた。箱には鍵穴が空いていた。
「お疲れ様です、ラクト。大仕事でしたね」
「うん? 大したことない。
なんだろな、これ」
「マーミィ、鍵は?」
「ありますよ。やはり、この箱の鍵、ですよね」
マーメリズが老人が残した金色の鍵を取り出した。
鍵穴に差し込むと、多少引っかかりを覚えながらも奥まで届き、カチャリと解錠された音がした。
ゆっくりと蓋を開けてみる。
中には白く光る、丸い玉が入っていた。
「うわー、うわー、うわー!」
キュービが雄叫びを上げながら箱に飛びついた。
両前脚で玉を掴んで目の高さに掲げた。
きらきらの黒い目が白い玉を見つめている。
「宝玉じゃん! じーさんの宝って、これのことかよ!」
「……?
キュービ、もうちょっと詳しく」
キュービは白い玉を抱え込んだまま、三人を見上げた。
「ドラゴンてさ、生まれながらに宝玉ってものを持ってるの。ドラゴンの力の源でもあって、それはそれは大切なものなのね」
「キュービ、持ってないじゃん」
「そーれーはー。
ちょっと酒飲みすぎたまま飛翔して、気付いたら無くなってた、みたいな?」
「……本当にダメなホワイトドラゴンだな、お前」
「あ、そういうこと言わない。わし反省したもん。祠で三百年」
「……それって、神様からのお仕置じゃ」
「キュービ、選ばれたとか言ってたけど、閉じ込められてたな!」
「あー、これ、君たちには内緒にしてたんだった! 宝玉みつけて浮かれちゃった!
しかも無くしたわしの宝玉より、すげえいいやつ。ラッキー!」
てへっとかやってるキュービは、宝玉を持って幸せそうだ。
さらに異変に気づいたのはラクトだった。
掘り出した穴の辺りを気にしている。
「おい……なんか、水出てないか」
「ああ、水だな。もしかしてこの窪み、元々池か?」
「こ、これ、ただの水ではないですよ!」
マーメリズが興奮する中、キュービが水に飛び込んだ。泥水を浴びて泥色の聖獣ができあがった。
「キュービ、何やってんだ!」
「きゃっはー! これ、聖水!」
「……聖水?」
「聖域の神殿の、地下にあったやつか」
「宝玉の力で止めてたみたいだ。じーさん、これも誰にも渡したくなかったみたいだな。がめついじーさんだ」
キュービが話しながら徐々に大きくなっていく。
体長五メートルの本来の姿になるまで、それほどかからなかった。
コーキが目を見開いた。
神殿に行かなかったコーキは、キュービの本来の姿を見るのは初めてだ。
キュービが聖水から出て、優雅な姿のまま腰を下ろした。
ホワイトドラゴンが三人を見下ろしていた。
「ドラゴンの宝玉を持っていれば、聖水から出ても本来の姿を維持できるわけ。わしの能力値、爆上がりよ」
「……できることなら、キュービ。泥が落ちついた聖水に浸かってほしかったです。薄汚れています。泥色です」
「うそん! わし、カッコよく登場したんじゃないの? 劇的なシーンだよねっ?」
「そうなんですけど、白い毛並に泥汚れは大分目立ちまして……」
「ヤバイ、浮かれすぎた!
ねえ、やり直す? もっかいやろうか?」
「……いらねーよ」
ラクトの冷静なツッコミに、項垂れるホワイトドラゴン。神聖な獣だが、キャラは変わらない。
聖水はこんこんと湧いてきている。
じっと見つめていたマーメリズに、ラクトが近寄ってきた。
「マーミィ、手見せて」
「手、ですか?」
「うん。多分、左」
マーメリズが手を出すと、左腕の肘から下にいくつかの擦過傷があった。血は止まっているが、痛々しい。
「あらま、いつの間に」
「さっき攻撃受けた時、ローブで防いでたじゃん。その時ちょっとかまいたちに触れてた気がして」
「よく見てんな、ラクト」
「うるせ、コーキ。
ヒールかける。……ちょっと待って」
穴掘りで自分の手が汚れていることに気づいたラクトが、聖水で手を洗っている。
改めてヒールをかけると、見る間に傷が塞がれ跡すら見えにくくなった。
マーメリズはしげしげと自分の腕を眺めた。
「ラクトは治癒魔法が本当に上手ですねえ。
うらやましいです。私も欲しかったなー」
「……いや、すごい調子いい。なんだこれ」
ラクトもマーメリズの腕と自分の手を見比べていた。
コーキも同じようにラクトの手を眺めている。
「ラクトのヒール、傷跡なくすなんてとこまで行ってないよな」
「ないよ。初めてだ。俺、何した?」
「ヒールかけただけですよねえ。手を洗ってから……」
三人は目を見合わせた。
足元で湧いている聖水をじっと見つめる。
泥が落ち着いて、透明感を出し始めていた聖水は、庭の窪みをきっちりと埋めていた。
「……聖水、治癒効果高まるのか?」
「たぶん、破邪効果もです」
「もしかしてあのじーさん、聖水を塞いで邪悪を退けられなくなって取り込み続けて、呪い化したのか?」
「有り得ない話じゃないな。真相はわからんけど」
「おれみたいに体の中に呪いがあると、邪悪なものが近づいてくるのわかるけどねー」
「コーキのは実体験ですね。
ドラゴンの呪い持ってるくらい……だし……」
マーメリズはコーキを見た。それから聖獣のキュービを見て、聖水を見た。
過去に得た知識を総動員して、目を見開いた。
目が乾くくらい瞠目していた。
コーキがマーメリズの顔の前で手を振った。
「マーミィ? 目が落っこちちゃうよ?」
「……すごいこと、思いついちゃったかもしれません」
「すごい?」
「でも、今ならできる気がするんです」
「どしたの、マーミィ」
「勝てる気がするんですよ!」
マーメリズはコーキの手を取った。
きょとんとしたコーキに、マーメリズは興奮気味に伝えた。
「ドラゴンの呪いに、終止符を打ちませんか?」
最終回まで毎日投稿!
やるぞ! 頑張って推敲する!




