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レイラとオーウェン

モブ男A視点のデビュタント

作者: 菖蒲

あの、どうしてか後半半分くらいがモブ男A中心になってしまってます。グダグダですのでご注意ください。






「なあっ、やばくね…!?」


「うわ…まじか…」


「俺たちとはレベルが違う…」


うら若き令嬢達が社交界デビューを果たすデビュタントの会場の隅で、しがない男爵家の次男の俺は同じくパッとしない友人達と一点を見ながら話していた。


俺たちの、いや会場中の視線が集まる先にいるのは、輝かしい美貌の二人の男女だった。


女性の美しさはさながらの事、女性と共に入場してきたパートナーに皆が目を見張っていたのだ。


「どうして()()宰相と…」


「どんな関係なんだ?」


我が国の行政界のトップである宰相職に齡二十八歳で就任した秀才で、名門公爵家の嫡男。


ただでさえ誰も敵いそうにない肩書きに加え、眼鏡越しでも伝わる華々しい美貌なのでそれはそれはモテて、宰相が出るパーティーには未婚の令嬢がこぞって参加するそうだ。


ところがいつまで経っても宰相には女の影が全く見られず、見兼ねた国王に苦言を呈されたという噂も聞く。


それでも当人は恋愛にうつつを抜かしたくないの一点張りで、恋人のような関係でなくてもいいからと言われれば結婚などせず養子を迎えればいいと言ったそうだ。


そんな今まで女性をエスコートした事がない宰相が女性と連れ添っているだけでなく、女性の胸に着いている白い花は彼女が本日の主役(社交界デビュー)の一人であることを示していた。


「おい、あのドレス…」


「ちょっと薄いけど、紫だよな…」


そして女性のドレスの色は白ではなく薄紫。


目に紫の色を持つ宰相は、紫を色んな場面で自分の色として使ってきた。


多少の色は違いはあれど、紫の色を纏った女性と宰相が一緒にいる。


社交界デビューする女性が白ではなく彼の色を纏っているなんて、もう予約済みだとでも言っているようではないか。


「うぁ……なんかあそこの空気甘くね?」


「宰相って、笑えるんだな」


これだけ注目が集まる中、なんということか二人はイチャつきだした。


主に宰相が女性にキスしているだけで女性はあまり乗り気では無さそうだが、あれがイチャイチャで無ければこの世にイチャイチャは存在しなくなってしまう。


ずっと女性のどこかしらにキスを続ける宰相に段々と周りが慣れてきた時、パーティーの始まりを告げる合図が入る。


それを皮切りに男女のドロドロとした奪い合いが始まるのだが、二人の周りには花が舞っていてやっぱり目立っていた。


「まただ…」


「ま、まぁ…令嬢の好みじゃなかったんだろう」


友人が早速令嬢に声を掛けに行って撃沈してきたのを励ます。




この国のデビュタントは婚約者が居る令嬢は婚約者と、居なければ親族と入場して男性から声をかけられるのを待ち、ファーストダンスを踊るのだ。


だから未婚の男はまだ婚約者の居ない令嬢が沢山集まるデビュタントで婚約者をなんとか捕まえようとするし、令嬢にとっても今日の言動で社交界での自分の印象がおおよそ決まる重要な行事だった。


「あれ、あの二人は踊らないのか?」


周りを見回すと白のドレスを着た令嬢は皆相手が見つかったようだ。


丁度曲が流れ始め、男性のリードで令嬢達が踊っている。


そこで注目されていたのが二人がどうするのかだが、未だに先程と状況が変わっていない二人は周りの変化に気付いていないようだ。


お互いだけを見つめ何かを話している二人はお似合いで、彼女が何かに破顔した様子はとても可愛らしく宰相が惚れるのも分かったような気がした。


生憎踊る相手も居ない俺たちが二人を観察していると、ファーストダンスが終わった瞬間大勢の人々に囲まれていた。


我こそはと二人の元へ急ぐ貴族達を見て、やっぱり気になるんだなと思う。


自分も二人の事が気になっていたが、どうせ自分の身分では会話する順番も回ってこなさそうだったので傍観者に回る。


何かを質問される度宰相は笑顔で答えていて、ただでさえ笑う事の無い宰相が何度も笑顔を見せることには驚愕するしか無かった。


更には度々甘ったるい視線を彼女に寄越していて、宰相がどれだけ彼女に心酔しているのかが伝わってくるが、状況に照れているのか赤い顔で俯いている彼女はそんな事気付いてもいなさそうだった。


「やばっ、めちゃ可愛くね…!」


興奮した友人に体を揺さぶられながら心の中で物凄く同意する。


プラチナブロンドの滑らかな髪に日に当たらないので元々肌が白い令嬢の中でも際立つほど真っ白な肌、薄い青色の瞳にはどこか強い意志のようなものが垣間見え、心を揺さぶられる。


美しく整った顔が時折、花が綻びるかのように笑った様子は到底この世のものには思えないほど浮世離れしていた。


「くぅ〜、俺もあんな妻が欲しい…!」


「だな…まあ、理想は大きく行こうぜ」


ふと彼女が宰相の腕を引っ張って会場中央へ移動する。


どうやら彼女の方からダンスに誘ったようで規則規律に厳しい宰相はどうするのだろうと表情を見れば、これでもかと優しい目で彼女だけを見つめていて、貴婦人達が二人の様子にほうっと感嘆のため息をもらす。


宰相の彼女に対する行動は見つめることや頬へのキスに留まらず、ついに口付けをした時には赤の他人の事なのに何をしているんだと呆れてしまうほどだった。


あれだけの愛情を注がれていても彼女はまだ十六歳の少女で真っ赤に恥じらっていたかと思うと、宰相が彼女を抱き抱えて会場から出ていってしまった。


出ていく直前ちらりと会場を振り返って微笑んだ時の目を見た時、目的は彼女のデビュタントに付き添う事でも彼女を見せびらかす事でもなく、宰相ほどの男がいても諦めきれないような魅力を持った彼女に惹かれる男達への牽制だったのだと理解する。


「───ぇ、ねえってば!」


「ど、どなたで……ってお前か。何でここにいるんだ?」


「何よ!失礼ねッ、私はデビュタントなのよ」


「いや、それは知ってるけど…」


気付けば真横にいた自分とは四歳差幼馴染。


同じ子爵家の三女で年々生意気になっていって、物心着いた時には家同士での付き合いくらいしか会わなくなっていた。


「……男性は、やっぱりレイラ様みたいな綺麗な人が好きなの?ふん、あの方があんたなんかに靡くわけないじゃない。宰相に敵うわけないんだから夢は見ない方がいいわよ!」


まさか、綺麗だとは思ったけど彼女にそんな感情は抱いていない。


彼女の名前はレイラだったのかと考えていると胸ぐらを掴まれる。


「──は?」


「だから私と踊りなさいって言ったのよ!」


幼馴染の態度は相変わらず傲慢だったが、褒めるのは悔しいがなかなかに可愛かった。


何人かに秋波を送られていたのだって知っているし、『イケメンのお金持ちと運命の出会いをして結婚するの!貴方とは比べ物にならないくらいのね!!』と言った昔の言葉も覚えている。


デビュタントでは気がある人としか踊らないものなのにどういう風の吹き回しだ。


「おい、行ってこいよ」


「うわーお前がルルナちゃんと?ずり〜」


こんな態度なのに顔が良いと可愛く見えるらしく、不平不満を口にする周りに冷やかされながら移動した先で質問する。


「なんで俺なんかを誘ったんだ?」


「ッ別にいいじゃない!何よ、文句でもあるの?!」


「いやそういう訳では……」


いつも通りの強気な言葉に特に変わりは無いなと思って視線を合わせると、幼馴染が顔を勢いよく逸らす。


ふ〜ん、顔赤いじゃん。まだ幼馴染にも可愛い面は残って………


…………………………ん?


待てよ、なんで俺と目が合っただけなのに照れてるみたいに顔を赤らめるんだ?


「なら踊るわよ!ほら、これなら要領悪いあんたも踊れるでしょう?!」


そんなまるで、この曲なら俺と踊れるから誘ったみたいな言い方…


鈍感でも鋭くもない俺は、もしやと思い当たった。


「ふ〜ん」


「な、なによ…?」


「可愛くなったなと思って」


ぼぼぼっと真っ赤に染まった顔でモゴモゴ言いながら、俺の顔をちらちら見てくる幼馴染に若干の確信が芽ばえる。


これ、脈アリ?


「あ、あああんただってちょっとはカッコよくなったんじゃないのっ…!」


「………ぅあ、」


幼馴染とはいえ異性にそんなことを言われる日が来るとは思わなくて不甲斐ないにも動揺してしまった。


「ダ、ダンス上手くなったな」


「当たり前よ。何年経ったと思ってるの?五年よ、五年!会えなくて、寂しかったんだから…!」


「…………それ、ほんとか?」


夜はまだ長い。


毎年数々の男女が出会って話して踊って、しばしの時間を要しながらお互いの相性を確かめて結婚まで辿り着く。


お互いを知り尽くしていながらも色恋とは無縁だった幼馴染という関係が今変わるかもしれない。


五年ぶりの再会を運命とするかしないかは二人の問題だ。







お分かりいただけましたでしょうか。モブ男Aと幼馴染の話は書くつもりがありませんが、何故かこんなにも場所を取ってしまいました。すみません(;_;)


12.31 誤字報告ありがとうございます

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