まじヤバくない?平凡な中学生のシンジが異世界へ召喚されたらしいけど、超死にそうなぐらい大変な件どう思う?えっ、捨てる神あれば拾う神あり・・・それってヤバくない?
この小説をお手に取って頂きありがとうございます。どうぞごゆりとお楽しみください。
王様:「おおシンジ!
勇者の血をひきし者よ!そなたが来るのを待っておった
(おぉ~おぉ~おぉ~これはまた人の良さそうな少年じゃ。今回はあたりかな?)」
シンジ:「貴方は!?
それにここは何処ですか?
あっ頭が・・・痛った・た・た・たぁ~・・・」
どうやらシンジは異世界へ召喚されたばかりで記憶が混乱しているようです。
王様:「大丈夫か?
(おいおい、役立たずてことはなかろうな?)」
シンジ:「・・・はい、大丈夫です。
大分治まって来ました・・・多分もう、だから大丈夫・・・です。
・・・てっ・・・えぇーー!!」
頭痛が治まり周囲を見渡すと、そこは見た事も無い場所だった。
そうシンジは異世界へ召喚を果たし、今は【人の国】のお城に居るのである。
そしてこの場所は召喚が行われた魔法陣がある、とある地下室のようだ。
王様:「ホホホホォ~驚かせてしまったようじゃな。
其方、異世界に召喚されたのじゃぞ。
ほれ思い出してみよ」
シンジ:「・・・あぁ~あぁ~あ、そう言えば寝ている時・・・僕を呼ぶ声が聞こえてきて・・・。
と言うことは??
・・・・・・ヤッター!!
これってお約束の異世界へ召喚された、てことですよね!?
そうですよね!!??
すると僕!勇者なの!?
ねぇ~ねぇ~!?
そうなんでしょ!?」
【人の国】の王様の野望などつゆ知らず、喜び叫ぶシンジ。
若者とは軽薄である。
まっしょうがない、少年の心には愚かさが繋がれているのだから。
王様:「ホホホホォ~話しが早くって助かるの」
シンジ:「と言うことは僕が勇者でいいんですよね!?
ねぇ~ねぇ~ねぇ~!?」
王様:「ホホホホ、勇者シンジよ【人の国】へようこそ。
どうか我らの国を助けてはくれぬか?
(今度こそ上手くやってもらわねばな)」
シンジ:「はい!勿論ですとも!
だって僕、勇者だし!
いやぁ~異世界へ召喚かぁ~・・・最高ぉ~♪」
シンジよゲームのし過ぎ。
現実とゲームの世界は別物だよ。
現実を見て!
王様:「実を言うとな、【人の国】の西側に広がる広大な森の奥に魔王がおるのじゃよ」
シンジ:「えっ魔王!?
くっうぅ~来たぁー!
魔王討伐クエスト頂きましたぁー!」
ノリノリのシンジ。
でも、何をもって魔王と定義するのか?
善と悪、誰が決めたのか?
少し立ち止まり考えてみよ。
王様:「魔王は森に魔物を放ち、【人の国】を攻める準備を着々と進めておる。
そこでじゃ・・・」
シンジ:「僕が魔王を倒せばいいんでしょ!
勿論、勇者特典とか有るんだよね!?
あぁ~そう・そう・そう、パーティとか組むの!?
あと、お姫様とか・・・どうなっているのかなぁ~・・・僕・・・でへへへへ~♪」
王様:「ホホホホ、そう焦るでない!
(こ奴バカか?)
何処から答えるかのう?」
一人盛り上がるシンジを腕をかざして制する王様。
一様それなりの風貌をしているので、少年シンジはただただ臆するのであった。
王様:「まず勇者特典はあるぞ。
この後、司祭に【勇者の刻印】を発動してもうからのう。
身体強化、魔法の使用等、勇者に相応しい力を授けよう。
(死ぬ事さえ許されぬ呪いの刻印じゃ)」
シンジ:「来ったぁーー!!」
王様:「これこれ、落ち着いて聞くのじゃ・・・!
次はパーティの件じゃな。
残念ながらパーティは組めんのじゃよ」
シンジ:「えぇ~~!」
王様:「・・・(こらえるのじゃ、バカとハサミは使いようじゃぞ)
まぁ~仕方が無い事なのじゃ。
理由を聞いておくれ。
魔王が森に呪いを掛けおってな。我々普通の人間は森に立ち入れないのじゃ。
色々試してみたのじゃが無駄じゃった・・・。
(おのれエルフの王(魔王)、天使と契約するとは小癪なことを、えいえい、どうしてくれようか?)
シンジ:「あぁ~だから異世界召喚なんですね?」
王様:「ホホホホ、勇者シンジは賢いのう。その通りじゃ」
こうしてシンジは王様にいいように言い包められ、
魔王討伐と言う大義を担がされ、
魔王討伐の為、冒険の旅へと旅立つのでした。
これから戦うであろう敵の正体もよく知らずにです。
勇気と無謀、
思慮深さと軽薄、
シンジはなにも理解していません。
ただ祭り上げられ、調子に乗っただけです。
シンジが異世界へ召喚されて一週間後。
シンジは町の教会の祭壇の前に居た。
司祭:「おお勇者シンジ!死んでしまうとは何事ですか!
其方が次のレベルになるには、あと6千ポイントの経験が必要です。
さぁ~旅の支度を整え旅立ちなさい!
(それにしても一週間で死に戻りとは、いくら何でも早くないですか?
ほんとうに、この少年で大丈夫かな?)」
シンジ:「嫌だ・嫌だ・嫌だ・嫌だ!!
あんな痛い思いをして戦うなんて嫌だ!!
僕帰る!!」
シンジよやっと現実を理解出来たようですね。
でも黙って帰してくれるのかな?
『ふぅ~またか』といった目でシンジを見下す祭司。
シンジ以前の召喚者も同じような経験をしていたからです。
よって対策は出来ています。
祭司がさりげなく合図を送ると・・・部屋の奥の方から人影が?
その人影は美しい容貌と素晴らしいスタイルをしたシスターでした。
シスターはシンジにゆっくりと歩み寄ります。
シスター:「勇者シンジ様!どうかどうか私達にご慈悲をお掛け下さい。
どうかどうか魔王を討伐し再び【人の国】に平和を取り戻して下さい。
お願い致します。勇者シンジ様!」
泣き落としである。
日本で中学校に通っていたシンジにとって、北欧系金髪美女からの誘惑は絶大な効果である。
抱き締められ、
その大きな大きな胸をこれみよがしに擦り付けられ、
甘い吐息を掛けられては・・・もう断れないと言った処だ。
男の性であろうか、スケベ心は正常な判断を大いに鈍らせる。
またしてもシンジは相手の術中にハマってしまった、と言うことだ。
こうしてシンジは再び準備を整え、魔王討伐の為、冒険の旅へと旅立つのだった。
シンジが異世界へ召喚されて半年後。
シンジは町の教会の祭壇の前に居た。
司祭:「おお勇者シンジ!死んでしまうとは何事ですか!
其方が次のレベルになるには、あと6百万ポイントの経験が必要です。
さぁ~旅の支度を整え旅立ちなさい!」
シンジ:「あれ・・・ここは何処・・・?
あっ頭が・・・痛い痛った・た・た・た・・・。
あぁ~そうか僕また死んじゃったんだ」
おばろげな記憶を辿りながらも、現状を何とか把握することができた。
でも相当危うい状態だ。
だって、今のシンジを見れば一目瞭然です。
やせ細ってしまった頬、
くぼんだおぼろな目、
そう今のシンジに初めて召喚された時の少年特有の快活さは無くなっていた。
それもこれも【勇者の刻印】の力の一つである死に戻りの影響です。
何の代償も無く、これ程大それた事が出来るはずがないのです。
結果は見ての通りです。
司祭:(あぁ~あ、もう限界かな?
今回で死に戻り丁度10回目か?
30回で廃人だからぁ~、まぁ~こんなものか?)」
そうシンジは、もう9回も魔王討伐を掲げ戦ったのです。
王様にまるめ込まれ。
シスターの色仕掛けに唆され。
いいようにこき使われました。
歳行かない少年には残酷過ぎる話しです。
シンジ:「あの~どうしても思い出せんないんですけど?
僕って何処から来たんでしたっけ?
遠い国だったような気がするんですけど?
もう疲れたから家に帰りたいなぁ~・・・」
司祭:「何を弱気な事を?
其方は勇者なのですよ!」
シンジ:「勇者?僕が?
そもそも僕の名前てなんでしたっけ?
あぁ~貴方は・・・覚えていますよ・・・確か・・・誰でしたけ?
あれ~魔王を討伐するのは覚えているんだけど・・・あれあれ・・・」
あぁ~見るに耐え兼ねません。
とうとうシンジは壊れてしまいました。
司祭:「うぅ~ん(予想より大分早く壊れてしまったな)勇者シンジよ確りしなさい」
シンジ:「あぁ~僕、そう言えば勇者でしたっけ・・・あははは~」
司祭:「これはもう使い物にならないかもしれんな。
ふぅ~、見切りが肝心とも言うし、王様に報告するか」
こうして司祭はシンジを連れてお城へと行くのでした。
司祭:「・・・・・・というわけでございます」
お城で事の顛末を説明する祭司。
まったくの事務作業と言った処だ。
王様:「なるほどの。
(期待ていたのより大分しょぼかったの~この役立たずが!)
どれ、家を用意してやろう。
そこで十分に休むがよい。
(もう用無しじゃ、辺境の村にでも引っ込んでおれ!)」
シンジ:「僕・・・どうなるの?」
祭司:「何も心配する必要はありませんよ。
【勇者の刻印】も解除しますし、普通に生活できますから。
(多分ね?)
そうそう今まで上げてきたレベルはそのままですから、勇者の力が失われても、低位魔法ぐらいなら問題無く演唱できるでしょう。治療院など開かれてはいかがですか?
(これでド・田舎に治療の為、遣わされることも減るだろう。せいぜい人助けに励むのだよ)」
こうしてシンジは勇者の任を解かれ辺境の村で暮らすこととなった。
このことで【人の国】はどうなるのでしょうか?
正直何も変わりません。ただ振り出しに戻るだけです。
また再び異世界召喚をするだけです。
実は、シンジは4人目の召喚者だったのです。
一人目は、20代ニートの若者でした。
あれこれと色々な事に挑戦しましたが、結局口ばかりで攻略は頓挫してしまいました。挙句の果てに豪遊を始めてしまい、謎の病死でこの世を去りました。
二人目は、大学生の青年でした。
慎重だった青年は、王様との交渉の時点で決裂。【勇者の刻印】をする前でしたので、早々と退場して頂きました。
三人目は、高校生のヤンキーでした。
これが真の【人の国】の悲劇の始まりです。
ヤンキーは娘達を片っ端から強姦しました。貴族の娘達も例外ではありません。
ですから、民の不満は爆発し、最終的には【人の国】と勇者との間で戦争状態となりました。
でも、さすがに一人対国、長期戦となれば幾らでも勝機は出るもの、ヤンキーは惨殺されてしまいました。
そして四人目がシンジです。
王様達はぼろくそに評価していますが、最も戦果を残したのは彼です。
そもそも、【天使の加護】により守られた【エルフの国】を召喚者たった一人で攻め落とすなど、どう考えても不可能なことです。
もうお分かりでしょうか?
森の奥深くに居るのは魔王などではありません。エルフの賢王です。
【人の国】の王様は不老不死の伝承を盲信し、生贄にする為、エルフの生娘を生け捕りにしたいだけなのです。
では今一度問います。魔王はだれでしょうか?
【人の国】の王よ・・・おまえだ!
※※※
この話しには後日談があります。
シンジは、あの後どうなったのでしょうか?
端的に言えば一様幸せに暮らしている、と言っておきましょう。
そうこの物語は、捨てる神あれば拾う神あり、と言う視点から語らています。
無事辺境の村に到着したシンジは、えらくあっけなく村人達に受け入れられたのです。
当然幾つか理由があります。
その一つ目の理由は、辺境の村へとシンジを送り届けた役人の存在です。
幾日も馬車に揺られての長旅の中・・・。
役人:(相変わらず王様は惨い事をなさる。こんな歳行かない少年を・・・あぁ~可哀想に)
そういくら何でも【人の国】の人間が全て悪人というわけではありません。
でも、この役人も善人ではありません。
それでも、酷い扱いを受けたシンジに同情したのです。
そして、シンジのこれからの暮らしの為、善処してくれました。
これが一つ目の理由です。
二つ目の理由は回復魔法です。
司祭の提案は決して善意からのものではありませんでしたが、現状シンジが行える最善の仕事でした。
又、シンジは治療費を取らなかったのです。
もっと正確に言うと、壊れてしまったシンジは治療費を請求できる当然の権利が自分にあることを理解できない程、おかしくなっていたのです。
村人:「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。
何てお礼を言ったらいいのか。あぁ~シンジ様こそ真の勇者様です」
これが幸いしました。辺境の村の人々は感謝の気持ちから、シンジを歓待したのです。
ある意味当然の事だったのかもしれません。
シンジは、怪我人や病人がいると聞けば、山を越え谷を越え患者のもとへと向かいます。
そして無料で治療を施すのです。
これはもうちょっとした救世主です。
よって、シンジの働きにより辺境の過疎の村々は大変大きな恩恵を受けることとなりす。
これが二つ目の理由です。
三つ目の理由はシンジが異世界人であることです。
言うまでもなく【人の国】の人々は先の勇者(異世界人)には憎悪しか持っていません。
※注記:一人目のニートと三人目のヤンキーの事です。
それでも・・・それでもです。やはり勇者は憧れの存在なのです。
これには伝説が大きく関係しています。
元々勇者とは伝説に登場する人物であり、当然の如く善人として描かれています。
そして、困窮した人々を救う救世主としての役目を果たすのです。
ですから、先の勇者達は例外中の例外と言えるでしょう。
一方のシンジと言えば、人々に代価を取らずに治療を施しました。とても立派な善行です。
村長:「勇者シンジ様、どうぞ宴を準備しました。お楽しみください。
そうそう、宴の後にでも、ここいいる女達に子種を恵んではくれませぬか?
いえいえ、勇者シンジ様の目にかなった者だけで結構ですので・・・お願いします」
村人達は本来あるべき勇者の姿をシンジに見出したのです。
これが三つ目の理由です。
以上の理由から、後日談の紹介でシンジのことを一様幸せに暮らしている、と述べたのです。
でも?
なぜ?
一様と付けられているのでしょうか?
それはシンジが壊れてしまったからです。
今のシンジには記憶がありません。
日本で暮らしていたいた頃の記憶のことです。
両親のことも、
友達のことも、
楽しかった思い出も、
みんなみんな忘れてしまいました。
今、シンジにあるものは、
遣り甲斐のある仕事から来る充実感、
皆の笑顔、
日々感謝され楽しい生活を送ることです。
じゃやっぱりシンジは幸せなのではないでしょうか?
こればっかりは本人であるシンジにしか分かりません。
ねぇ~シンジ、今、幸せかい?
お読み頂きありがとうございます。
この物語は努力すれば必ず報われる、との願いを込めて書き上げました。
上手に表現出来ませんでしたが、私のつたないメッセージが読者さんに伝わってくれたら嬉しいです。
又、ここは後書きですので、少し私が感じたことを書かせて頂きます。
私は物語の冒頭でシンジのことを『若者とは軽薄である・・・少年の心には愚かさが繋がれている』と書きましたが、これは少年シンジをバカにしたわけではありません。私の経験上、十三四の頃はこうであったということです。皆様にも経験があるのではないでしょうか?
ですから、そんな中、シンジはよく頑張ったと思います。
それもたった一人で、しかも異世界で戦ったのです。
ほんとにお疲れ様でした、と言ってあげたいです。
でも、ハッピーエンドにはしませんでした。だって現実て厳しいですよね?
シンジ、ごめんね・・・。
駄文失礼しました。
追記。
私事で恐縮ですが『Angel SOS』と言うファンタジー小説を連載しております。よろしかったらご覧下さい。