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鍛冶士の闘い①

またまたランキングを登っており、VR日間十三位……!ありがとうございます。嬉しいです。



「闘う……?」


「うん、簡単だろ」



『闘おう』。


目の前の巨体は、確かに俺にそう言った。

彼のいう協力者が――それを求めていると。


……正直、対峙していた時から分かっていた。

確実に、『強い』。

それは彼のこれまで積み上げてきた勝利からか。


さっきまでのネフ太とかいう鍛冶士と同じ職業なのが、伺わしい程のモノ。彼は詐欺師だったが。


――まあつまり、俺が勝てるかなんて分からないんだ。



「……はは」


「?」



同じ生産職、ここまでの強者。


形はどうあれ――こんな俺に、挑んでくれる事に感謝しよう。




「喜んで受けるよ、ベアー」





《決闘専用フィールドに移動します》



ラロシアアイス、非戦闘エリア。

時刻にして午後九時。テレビ的に言えばゴールデンタイム。


……要するに人が多い。

このラロシアアイスは特に、第一、第二の町よりも多くなっている気がする。


で、当たり前だがそんな人がいる中で闘うなんて出来るわけがない。

そんな訳で、街中の決闘は専用フィールドに飛ぶことになるんだ。



「……初めて来たけど、本当に『闘技場(コロッセオ)』なんだな」


「ほっほ、そうだろ~?雰囲気あってスキだよボクは」



ファンタジーによくある、中世の闘技場そのものだ。


楕円状のドームで、中央の地面に俺達が、見上げた周りは客席で覆われている。……もちろん客はいないが。



「――さて。準備はいいかい?」


「ああ」


「じゃ、決闘ルールは……うん、これにしよう」



《ベアーから決闘申請を受けました》



「制限時間三十分に……『全てのアイテム使用可』か」


「うん、実戦に近い方が楽しいしね――それにコレじゃないと、僕が有利すぎるかな」


「……そうなのか。まあ、俺もそっちの方が助かるよ」



含みのある言い方をする彼。


……この決闘には――俺の武器がかかってるんだ。

手段は多い方がありがたい。時間も多い方が考える時間も増える。


まあ、相手も同じ条件なんだが。



《決闘申請を受理されました》


《決闘は三十秒後に開始されます》



目の前、距離にして二十メートル。

同じ決闘をしたダストとは、距離感がおかしくなるほど大きい彼。



《決闘は十秒後に開始されます》



大事な勝負だ。

拳を握り込み、メニューを開く。


そこから、スキル――黄金の一撃の設定額を確認。

斧を持つ手を振り、左腕の感覚も加えて確かめた。


そんな様子を静かに笑って、それでいて野生の獣の様な眼差しを向けてくる彼。

手に持つ武器はハンマーの様な見た目の片手武器。彼の巨体で誤魔化されているが……片手武器の割にかなり大きい。

防具はガチガチの鎧ではなく、革と金属が合わさった様な軽鎧。



《決闘はまもなく開始されます》



「……やるか」



《決闘を開始します》



「――らあ!」



先手必勝、俺は持っていたスチールアックスを投げ、同時にスタートダッシュ。

最中にインベントリからもう一本――弱攻の片手斧を取り出し、装備。


ダストがやっていた戦法だ。

これを行えば、投擲攻撃を防御した、あるいは避けた敵に追加で攻撃ができる。

敵の攻撃も、参考になるのが多いモノ。



「……おっと」



その巨体に見合わず、早い最小限の動きで避ける彼。

そこへたどり着いた俺は――斧を振り上げる。



「――『スラッシュ』!」


「――!」



ベアーはまるで予想していた様に、手に持つハンマーで俺の武技を防御。

迫り合いになる――前に、素早く片手斧を引っ込めた。



「――『クラッシュ』」


「ッ――」



隙を逃さない、反撃のベアーの武技。

これも予想はしていたが――思っていたよりも速い。

突っ込まずに正解だったな。


迫るそれを何とか避け、俺は一度距離を取った。



「……対人戦闘、慣れてるな」


「ほっほ、キミもね」



余裕そうに笑うベアー。

――今のうちに考えるんだ。彼の隙を。


まず、スピードは早いが俺が一歩上回る。

そしてパワーは彼の方が上。

防御に関しても彼が――――ん?



彼の軽鎧の中の『違和感』。

見れば――脚だけ、防具の質が違う。

他職の防具も見てきたから分かった。

脚以外はスチール等級。脚防具だけアイアン等級だ。



「……来ないのかい?」


「いや――今行く!」



再度斧を投擲――そして走る。

彼の防具の中、狙うなら『脚』だ。



「――らあ!」


「っと――」



悟られない様、胸部に攻撃。

それを避け――ハンマーを振り上げるベアー。



「――『クラッシュ』!」



彼の反撃の武技。


使い所は……今だ。



「――『高速戦闘』」


「おおっ!?」



ハンマーの一撃を避けながら、俺はそれを発動する。


三秒間、世界はスローに。

ここが――最大の機会(チャンス)、失敗は許されない!



「っ――『黄金の一撃』!!」



防御の隙を与えない、高速の一撃を彼の脚部へと。


悪いが、俺の武器が掛かってるんだ。

使える手段は、全部使う!



「――ううッ!?――――なんてね。キミなら、ココを狙うと思ってたよ」



彼の脚部へと吸い込まれていった一撃。

間もなく衝突……それなのに――彼は、笑っていた。



――まるで、それが『狙い通り』だったかのように。


ガラスが割れるような、そんな音と共に。



《100000Gを消費しました》



「――え?」



響くアナウンス。

今、確かに手ごたえはあったはず。


……それなのに、どうしてHPが一も減っていない?



「隙アリだねえ――『素材戻し』!」



黄金の一撃の衝撃も全く受けず、俺の隙にハンマーを振るう。

通常の武技よりも、ゆっくりと迫るそれ。


青色じゃない、()()のエフェクト。

ネフ太の武器を素材に戻した、そのスキル。


まずい。

これは――

この攻撃は、絶対に食らってはいけない!!



「――ッ!!」



《状態異常:装備使用不可となりました》


《一定時間対象の装備が使用不可となります》



鈍い音が、俺の手に持つ()()へ響く。

そして――その感触が消えたのだった。


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罠士の大罪人~不人気職、『落とし穴』で最前線を駆け巡る~



小説家になろう 勝手にランキング

作者ツイッター 322106000445.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] こーいう奴って正直ジャンプの漫画で間に合ってるんだよな。熱い展開からのご都合展開みたいな。てかいや、今行くって言う必要あった?
[一言] それにしても安易に主人公と同じ生産職戦闘狂出してきたよななぁ。必要だったか? てか出てくるキャラ全てに言えるけど言動が痛すぎる。 厨二病拗らせすぎてるor精神病患者のような性格の人しか出てこ…
2021/08/07 11:54 退会済み
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