悪夢①
時間が経つのが早すぎてビビってます。閑話です。久しぶりのハル、じゃなくて遥回です。
よって今回は現実要素が多めになります。ご注意ください。
『玉石迷宮』。
それは始まりのダンジョンをクリア後、解放されたダンジョンだ。
石で囲まれたそこを進むと、あらゆる敵が待ち構えている。罠系ダンジョンじゃなく、ひたすらモンスターが出てくる系だな。
現れるモンスターは主に石とか岩とか関連した奴らが多い。
例えば……『ストーンスライム』、『ミニガーゴイル』。コイツらは始まりのダンジョンでも見たな。
後は俺達ぐらいのサイズの石人形……『ミニゴーレム』。
厄介だったのが『ストーン・バーバ・ヤーガ』だ。
コイツはラロシアアイスのバーバヤーガの亜種で、防御が高いのに遠距離攻撃も仕掛けてくる。そして、HPが低くなると上記のモンスターを召喚してくるのだ。
「『クラッシュ』!」
「『スラッシュ』!」
《経験値を取得しました》
《経験値を取得しました》
「……ふー。」
「ほっほっほ」
「石系ばっかだなホント」
《クマー LEVEL46 上級鑑定士》
《ベアー LEVEL41 鍛治士》
そして、組んでいるのはこの二人。
前もダンジョンはクマーと行ったっけ。
「あ、次ボスっぽいわよ」
「確か石のドラゴンだったかなぁ」
「また強そうな」
「分析しがいがあるわね」
「壊しがいがあるなぁ」
笑ってそういう二人。
本当に非戦闘職か?
実に頼りがいがあるな!
「じゃあ行こうか――」
《《!!!》》
《《異常な体温を検知しました》》
《《すぐにゲームを終了して下さい》》
「――っ……」
突然の事だった。
見ている景色が急に転がる。
自分が倒れた事に気が付いたのはすぐ後。
「え!?」
「に、ニシキ君!? どうしたの!?」
「な、んか、異常な体温、って――」
「ちょっとそれ大変じゃない! たしかアレは平熱より2度上がった場合になるから!」
「早く落ちないと!」
「でも、ダンジョン……」
《《異常な体温を検知しました》》
《《すぐにゲームを終了して下さい》》
《《安全の為10秒後RLを終了します》》
「こんなの何時でも行けるわよ!」
「……すまん、悪い……」
「安静にするんだよ~また今度。待ってるからね」
「あり、がとう――」
《《RLを終了しました》》
☆
「はあっ、はあっ……」
アレからRLを終えて、そのまま倒れて。
時刻は朝6時。
床の上。汗だくだった。
「寝てたのか……? 会社に連絡しないと……ごほっ!」
倒れそうな身体を支えながら、水とゼリー飲料を摂取。
そういえば昨日から体調はおかしかった。ここまでひどくなると思わなかったが。
体中が痛い。
そして体温計で現在39度。
咳に頭痛、倦怠感。
確実にアウトだった。
「……参った、な」
オフィスに電話を……と思ったが、恐らくこの電話番号は係長のデスク行きだ。
体調が悪化してしまう。
だから、俺はその頼れる人物にメッセージを送る。
『お疲れ様です』
『申し訳ないですが、熱があるので休むと課長に伝えてくれませんか』
「すいません、チーフ……」
そう呟いて、また布団を出さずに床に転ぶ。
限界だった。
そのまま、睡魔がやって来て。
俺は――『悪夢』に襲われた。
玉石迷宮はまた後々しっかり行きます……!





