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竜騎士②



《竜騎士 LEVEL49》


「……おいおいマジか」

『グラァ!!』



正直、商人という職業でこういう反応をされるとは思っていなかった。

しかも相手は竜騎士。俺でも知っている強職だ。


武器は槍。

防具は防御が高めの鎧装備。

そしてかつ、横に居るドラゴン。


パーティー枠を一人消費してしまうが、それぐらいその竜は強いって訳で。



「……君は一人か?」


「あ、ああ~そうかも」



目の前の彼はそう恍けた。


間違いない、後衛がいる。

未だ居場所が掴めないが……警戒を続けなくては。



「……あんたは?」


「はは、一人かもしれないな――」


「! 行くぞバイオレット!」



答えながら、俺は斧を構えた。

同時にドラゴンに騎乗する竜騎士。


そのまま待つ訳には行かない。



「――『パワースロー』」


「っ!? 飛べ!」

「グラ――」



俺の投げたスチールアックスは、間一髪で上昇した彼らに避けられた。

機動力も中々あるな、アレは!



「――『ドラゴンスラスト』」



俺の投擲後の隙を突いて、ドラゴンごと突進してくる竜騎士。

カウンターだ。



「『高速戦闘』――『スラッシュ』!」


「んな!? ぐあっ!!」

「グラ――」



高速戦闘により、全ての動きを高速化。

インベントリから斧を取り出し――突進攻撃を回避、武技発動まで間に合わせた。


突進中のカウンターを食らい、ドラゴンから転げ落ちる竜騎士。

ドラゴンの方はそのまま遠くの方へ。


……こんな序盤で高速戦闘を使ったのは訳がある。

後ろに居る、後衛を炙り出す為だ。



「『パワースウィング』」


「ぐうっ――『ドラゴニックコール』!!」


「!」


「はあ、はあ……あっと言う間に20パー削られたな」



追い打ちが一発入る――だが直後彼と俺の元に急速で飛来するドラゴン。


堪らず避ければ、そのままドラゴンに騎乗され空中まで逃げられた。

……この状況でも後衛は出てこないか。



「接近戦は敵わない……分かってた、分かってたさ……でも悔しいもんだな」


「?」


「あ~ごめんこっちの話。ココからは――『俺達』のターンだ。行くぞバイオレット」

「グラァ!」



そう言った後、また此方へ飛んでくる。

何かが来る――そんな気配。



「食らいやがれ――『ドラゴニックファイア』!」

「グラアアア!!」

 

「っ――」



此方へ近付いたドラゴンは、そのスキルが発動された瞬間紫色の火炎を放射した。


ミニドラゴのブレスとは少し質が違い、広範囲にばら撒かれるそれ。

反撃の暇なんて無い、効果時間が終わるまで逃げ――






「――!?」



瞬間。

『異なる方向』からの殺気。

そしてそれに気付いた時には。



「――……『ライトニングアロー』」


「なっ――」



微かに聞こえた詠唱。

同時に、既に輝く矢が雷の様に襲ってきた。


……避けられない!



「――『ドラゴンスラスト』!」


「ぐっ……」



強い衝撃。

体勢は大きく崩れ――その隙を逃さんとばかりにやってきた彼への対応に遅れた。


直撃はしなかったものの、HPは一気に3割削れた。

火炎放射と同時に襲い掛かる遠方からの狙撃。

恐らく後衛はハルと同じ『魔弓術士』。魔法職の火力と弓職の命中率、射出速度を合わせ持つその職業。


はは、まんまとやられたよ。

だが――俺にも信頼できる『後衛』が居る。



『に、ニシキさんまだ大丈夫なんですか!?』


『ああ。まだ待機だ』


『……分かりました』



口元を斧で隠しながら彼女にメッセージ。

機会が現れるその瞬間まで――レンには我慢してもらわないといけない。

そしてその機会を作るのは俺だ。



「気のせいか……」


呟く。

分からないが――あの後衛の声、どこかで聞いたことのあるものだったような。


駄目だな、こんな迷いがあっては。

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