シークレットダンジョン④
「……死んだわよね、今」
「だな……」
《英斗様が死亡しました》
「……」
「ちょ、ちょっと……洒落にならないわよ」
この一瞬で、二人が死んだ。
俺達の知らない先で――何かが起きているんだ。
途轍もなく、不味い事が。
「は、早く彼らの元に行かないと。急がないと復活出来な――あ」
「もう遅いな。確かここは『復活不可』だ」
「……そう、だったわね」
《くじゃ様が死亡しました》
「さ、最後の一人も……残りは私達だけじゃない」
「ああ――!?」
聞こえた最後の一人。
そして『感じる』、殺気の『束』。
彼ら三人を殺した――者共が。
「――クマー、今すぐここから入口まで急いで戻れ」
「へ!?何言って――」
「『来る』、そんな気がするんだ」
この感覚は、嘘じゃない。
ゴブリンの集団に睨まれていた時のそれ。
「あ、貴方だけ置いてなんて――」
「……言葉を変えようか、クマー。一人の方が都合が良いんだ」
「へ……?」
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
《スケルトン LEVEL40》
遥か遠く、薄っすらと見えてきたそのモンスターネーム。
骨だけの身体に多種多様な武器を持ったその者共。
骸骨の頭の目の部分だけが薄っすらと光っていて――このダンジョンの中のせいか、凄く不気味だ。
恐らく一分そこらで此処へ到着するであろうその集団。数にして十体の群れが二つ。
そして。
『「『「『――――!』」』」』
今、奴らと目が合った。
「――ひっ、き、来てる!」
「……見えたか?奴らが近付いて来るのが――それも結構なスピードで」
「――っ!わ、私も闘うわよ……!」
彼女の脚が震えているのが分かる。
その骸の集団が進んでくる光景はきっと恐ろしいモノに違いない。
スピードは増し、早歩きぐらいのスピードで奴らはこっちへ迫っている。
……そりゃ怖いだろう。俺も最初はそうだったし――自分はただ、『慣れている』だけだ。
「きっとクマーが居たら、言いにくいが――『邪魔』になる。それでも来るか?」
「ううっ……」
あのスピードなら、遠距離攻撃で引きながら――なんて悠長な真似は出来ない。
万が一ヘイトが彼女に一匹でも向いたら、それこそ終わりだ。
出来たとしても、無駄に時間が掛かるだけ。
苦虫を嚙み潰したような表情。
でも――頭の良い彼女なら、きっと分かってくれるだろう。
「……良いわ、信じてあげる。でもこれだけ――」
「ん?」
「『スケルトン』、人型モンスター。弱点武器は鈍器系、弱点部位は首。それと――『経年強化』!」
《武器・防具のステータスが上昇しました》
「効果の説明は今はよしておくわ――それじゃ、私に出来る事はここまでかしら」
「ありがとう。助かるよ」
早口だが聞きやすい、そんな口調でスケルトンの情報を並べるクマー。
そしてバフも。
「……気を付けて」
「ああ。それじゃ」
最後は簡潔に。
入口方向へ戻っていくクマーを見送ってから――俺はその者共に向き直った。
《――「シナジー?」――》
《――「お互いにその効果を高め合ってるってこと。単体で発揮するよりも何倍にもそれがあるわ」――》
彼女の言葉。
もしかしたら――そのシナジーとやらは、俺自身にもかかっているかもしれない。
『人型』。それに対しては、他のモンスターよりも闘い慣れているからな。
この軍勢がスライムとかだったら、ここまで彼女に言い切っていない。
……まあ、とにかく。
ここから先は――通さない。
「それじゃ、やろうか」
☆
《経年強化》
上級鑑定士専用スキル。
自分またはパーティメンバーの一人に発動する事ができ、対象の全装備の攻撃力と防御力を一定時間上昇させる。
またクエスト、ダンジョン中に発動した場合、そこで経っている時間が長い程効果が上昇する。
再使用時間は長いため使い所が肝心。
いつも暖かい応援ありがとうございます。私情ですがここ二日程仕事が突如鬼の様に忙しくなるので文修正、感想返しも少し遅れると思います。本当に申し訳ないです。本日もう一話投稿するつもりだったんですが……落ち着いたらドバっと投稿しますね。





