五十八話目 降臨
こいつは、また無茶苦茶な魔力の使い方をしやがって……。魔王を倒す前にあっさり死にそうで困る。お前にはもう少し頑張ってもらわないとならないんだ。
邪神が動き出した以上、お前と勇者にはしっかり働いてもらわなければならない。まあいい、丁度いい感じで気を失っているのだから、体で覚えさせてやろうじゃないか。
しかしながら、ここでも制約はある。あまり、長い時間は難しいか……。
「手っ取り早く魔法の使い方を覚え込ませるには、オークキングだと弱すぎるが今は致し方あるまい。他に強い者がいないからな」
オークキングの部屋へ向かいながらも、現れるオークにドレインを放っていく。ドレインは一撃でオークの体を消滅させ、戻ってくる魔力エネルギーはそのまま次のオークへの攻撃に変換していく。
面倒なもので、魔力というのはその者によって器が決まっている。その量を大幅に超えてしまえば、レックスのように毒にもなってしまうわけだ。逆も然りで、欠乏してしまった魔力も身体に大きな影響を与える。魔力というのは、知らず知らずのうちに身体のあらゆるところに影響を与えている。今まであったものが急に無くなってしまえば身体を動かすことも難しくなる。
「こいつの場合は、器の大きさを把握できていないところに問題がある。圧倒的に戦闘経験が足りてねぇ。強者と能力ギリギリの戦いというのを経験しなくてはならない。いずれどこかで修業させる必要もあるか……」
こいつは、まだ半分も力を出したことがないんだろう。今までの相手が弱すぎるというのもあるが、このままでは、邪神から力を得た魔王やリュカスとの戦いでは、戦闘における経験値の差で敗れかねない。いくら潜在能力が高いとはいえ、使いきれなければ意味がないのだ。
四階の奥の部屋、ここにオークキングがいるんだな。この砦の状況を知っているのかわからないが、部屋の前には大量のオークが扉を守っていた。
「おいっ、死にたい奴からかかってこい。少しはこいつの練習台になってくれるんだろうな?」
ぶひ、ぶっひぃぃぃぃ!!!!!!!!
まあ無理だろう。ドレイン一発で消え去ってしまうような雑魚に時間を掛けるのはもったいない。ドタバタと多勢で駆け寄ってくるオークにドレイン、またドレイン。消滅しては戻ってくる魔力エネルギーを更にドレインに変換して放っていく。こいつの魔力は今現在満タンといっていい。つまり、不要な魔力は変換して外へ放出していけばいい。何のために魔力変換スキルを渡してやったと思っているんだ。しっかり覚えておけよ!
「とはいえ、こいつのドレインの活用の仕方が予想外過ぎたのも、こうなった要因なんだよな……」
部屋の前にいたオークはいつの間にか全滅していた。跡形もなく消え去っており、ついさっきまでの光景が嘘のように静かになっている。そして、全てを消し去ったドレインは大量のエネルギーとなってレックスの体に戻ってくる。
「ダークフレア!」
エネルギーを全て暗黒魔法の攻撃魔法に変換すると、放出された高出力エネルギーは、扉を吹き飛ばしながらそのまま天井を突き抜けていく。一応、部屋のなかにいるオークキングを一撃で殺してしまわぬように空へぶっ放してやった。
「き、貴様! 外にいた我が同胞はどこにやった」
驚いたのは、オークキングのオズワルドピグマン。部屋の外を守っていた大量の部下が一瞬で居なくなった為、戦闘したのではなくどこかへ消し去ったとでも思ったのだろう。まったく頭の悪い豚だ。
「全部俺が殺した。次はお前の番なんだが、少しは楽しませてもらえるのだろうな?」
「こ、殺しただと……!?」
オークキングは激しく狼狽していた。聞いていた話と違い過ぎる。勇者のレベルはまだ低く、今のうちなら女勇者を痛めつけて俺様の性奴隷にして何度も何度も気が狂って発狂するまで犯しつくすはずだったのだ。
そもそも、おかしいのは今朝から戦いは始まっていたことだ。同胞からの情報では、女勇者が来るのは昼頃だと聞いていたのに……。そもそも、この得体の知れない男は誰だ?
も、もしかして……。
「お、お前の名を言ってみろ」
「我が名はイシス。この世界の神だ。いや、今はレックスの体だったか」
「イシス!? 神だと? い、いや、レックス、魔王様が恐れる第三勢力のレックス……。な、なぜ、貴様がここにいるのだ!」
と、ここで、ダークフレアによる轟音に異変を感じたシュナイダーが下の階から駆けつけてくる。魔力だけをみたら砦を全て壊しかねないほどの迫力があったはずだけに何か緊急事態が起こったと思ったのだろう。レックスの緊急事態としては割と最初の頃だったのだけどな。
「レ、レックス!? 一体何が起こっているのだ! オークキングを倒すのは勇者だと……。ん? イシス……この世界の神だと!?」
「ちっ、そこまで聞こえてやがったか」
今はまだ、面倒なことは忘れてもらった方がいい。
身体強化を最大に高めると、高速移動でシュナイダーの後ろに立ち首だけ後ろを向かせる。驚いたシュナイダーの顔を見ながら、唇を塞ぐようにして無理やり魔力をねじ込んでいく。
忘れちまえ、全部忘れちまえ。舌を絡めるようにしながら高濃度に高めた魔力で蹂躙していく。
「ん、はあ……レ、レックス……。な、なにを……ふあっ、んぐっ」
嫌がるシュナイダーの身体を強引に押さえつけ、何度も何度も繰り返し舌を絡めていく。その内に、あきらめたのか、屈服したのか、はたまたその快楽に身をゆだねたのか、徐々に力が抜けていくシュナイダー。
ゆっくりと胸を揉みしだきながら外側からも魔力で覆っていき何も考えられなくしていく。
「んあっ……だ、だめ、うぐっ、あぁん……」
何も考えられなくなるぐらいにボーっとする意識の中、心地よい快楽と暴力的な魔力に抗うことも出来ずシュナイダーは気を失っていった。
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