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五十一話目 邪神の力

「ま、魔王様、ゴブリンキングのガジュマズルが勇者に討たれたとプリサイファより報告が入りました」


「チッ、スキルを生かしきれなかったか……」


「しかしながら、プリサイファが王都の男爵家に潜り込むことに成功しました。イシス教にも伝手があるらしく、かなりの精度の高い情報を手に入れることが出来るとのことでございます」


「プリサイファに、そこまでの戦闘を求めてはおらぬ。引き続き、情報収集にあたらせろ」


「かしこまりました。そ、それから、例の件はどのようにお考えなのでしょうか?」


リュカスがこの件を聞いてくるのは、これで二回目になる。それだけ、危機意識があるということなのだろう。いや、期待をしているのだろう。今までにない強大な力を手に入れるチャンスを逃したくないのだ。


リュカスはプライドの高い竜人族。瀕死の状態まで追い込まれたまま、引き下がるような者ではない。いつかやり返す、その時を虎視眈々と狙っているのだろう。


「お前のステータスも既に戻ってしまっているのだったな。やはり、このままでは厳しいか……」


「魔王様が躊躇われるのであれば、先にこのリュカスが……」


「黙れ。わしも覚悟は決まっておる。オーク軍が砦を守って時間を稼いでいるうちに向かうぞ」


「ま、誠でございますか!」


「あの者の言うことを、どこまで信用していいものやら図り兼ねる。とはいえ、我らにも他に手段もない。致し方あるまい……」


あの者というのは、自らを邪神と名乗っており、この地の神を屠るために力を貸せと言ってきた者だ。もちろん、代わりに今まで以上の力を渡そうと言ってきたのだが、信用していいものか悩んでいた。邪なるものとはいえ、神と言うだけあって、畏れを感じさせられた。




※※※




「力が欲しいか?」


それは、突然やって来た。最初は心に小さく響くような声だったのだが、少しづつ力を蓄えてきたのか、ある日、わしの目の前に姿を現した。


見た目には小さな少年。黒髪に漆黒の眼、褐色の肌はどこか強気な印象を思わせる。


「力が欲しいのだろう。だったら俺に協力しろ。そうすれば、お前に強力な力を与えよう。もちろん、そこの竜人も一緒に力を与えるぞ」


「あなた様は一体……。協力とは? わしらは一体何を協力すればよいのでしょう」


「俺は、はぐれの神なので管理する場所を持てないんだ。より強い影響力を持つ為にも、この世界の神に成り代わって、この地を奪いたい」


「神……この地を奪う……」


「その為には、この地を納めている神の力を削がなければならない。つまり勇者、そして、お前から職業を奪った魔王。これらを倒さねばならないんだ。それは、お前らの悲願でもあるはずだろ。違うか?」


「待ってください。勇者とあのレックスとかいう者が神の味方だというのですか?」


「本人たちは知らねぇだろうが、神の代行者みたいなものだ。元々は、魔王、お前も神が創ったモノなのだが、どうやら見捨てられたようだな。いや、俺の動きを見て切り離されたという方が正しいのか。くっくっく、どちらにしろ、俺とお前は同じ敵を持つ同士だと思うのだが」


「見捨てられた!? 神がわしを創った?」


「簡単なことだ。この地の均衡を保つために敵役は必要なんだよ。人族の増えすぎた地は、遠からず滅亡する。この地は少々バランスを崩し始めているから俺としても狙いやすかったんだけどさ」


何を言っているのかは理解出来ぬが、勇者とレックスという者は倒さなければならない。しかしながら、その為の手段が全く思いつかなかった。これは、ひょっとしたら最後のチャンスなのかもしれない。


ただ、この話を鵜呑みにしてよいものかどうか。リュカスの奴は、前のめりで話に食いついている。


「邪神様、自らは、戦われないのですか?」


「神というのは面倒な制約が多いんだ。この地に関することは、この地に生きる者でしか干渉することが出来ない。しかし、この地に生きる者に干渉することは出来なくもない」


「つまり、我々に力を与えて、神の代行者である、勇者とレックスを倒すということですか」


「この地にいる神も、俺が近づいていることを知っている。だからこそ、お前から力を奪ったんだろう」


「な、なぜ、そんなことを……」


「どうだ、見捨てられたままでいいのか? 奴に仕返しをしようぜ。願え、力が欲しいと。復讐をするんだ、お前から力を奪った神に!」




正直に言えば、神同士の戦いに巻き込まれるなんて、まっぴら御免であるのだが、このままでは、ただ負ける戦を待つだけ。次にまた復活しても、スキルが戻っている可能性はどうなのだろう……。いや、復活などしないかもしれない。この邪神の話が本当であるなら厳しそうだ。


「少しだけ、考える時間をください」

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