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四十八話目 冒険者ギルド

ギルドが止めないと言うなら、こちらで対処するしかない。荒くれ者の多いギルドなら、それぐらい日常茶飯事、いちいち構っていられないということなのかもしれない。


でも、これじゃあ新人さん増えないんじゃなかろうか……。余計な心配をしてしまうぐらいには悪環境だ。


「この先何度も絡まれると、ちょっと面倒だよね。そこの酒臭いおっさん達、僕が相手になるから全員でかかってきなよ」


「あああん!?」

「装備だけは一丁前じゃねぇかよ。教育料として、それ没収決定な!」


レーヴァテインは、人を選ぶ。おっさん達には抜くことすら出来ないだろうに。


「はいはい、勝ったら何でも言うことを聞くから、早く来なよ」



ギルドの雰囲気が少し変わった。遠くから眺めているベテランさん達は少し面白そうに、バーカウンター周辺にいる髭のおっさん達からは怒りの感情が溢れている。


「いい度胸じゃねぇか、登録前の新人が舐めた口を聞くじゃねぇかよ。後悔するなよ……おいっ、お前ら全員でかかるぞっ!」


ちゃんと、声掛けをして全員でかかってくるの、新人に対してそれでいいのかと問いたいけど、僕的には時間短縮になるのでありがたいと思おう。


「……ウサ吉、ちょっと力貸してね。身体強化」


冒険者ギルドの屋根の上に、控えていたウサ吉からエネルギーをもらう。人が多いところでドレイン無双するわけにもいかないので、見た目にもわかりやすい身体強化魔法を使おうと思ったのだ。


「俺がその剣もらうぜー!」

「それなら俺は教育係になってやるぜぇ」

「ひやっはっー!」


棍棒をめいいっぱい振り回しながら、僕がいた場所に叩きつける。怪我をさせてしまうかもしれないとか、手加減をしようとか全く考えてないらしい。気持ちいいぐらいの悪党で助かる。


「おっ、い、いねぇー!?」

「ど、どこに行きやがった!」



「教育するっていうなら、せめて僕より強くないと話にならないんじゃないかな」


「い、いつの間に後ろに!?」

「な、何をしやがった!」


「ただの身体強化魔法ですよ」


「はは、お、おま、はははっ!!」

「お、お前ら、あ、頭、頭! ひっひゃはっ!」


しばらく忘れられないようにするため、バーカウンターにあった食事用のナイフを拝借して、おっさん達の髪の毛を中途半端にカットしてあげた。逆モヒカンや、頭頂部のみ丸くカットという、少し斬新な感じにしてみたので、これでしばらくは忘れないでいてくれることだろう。


「く、くそっ、次は許さねぇからな!」

「お、俺たちを馬鹿にしたこと、こ、後悔させてやるからな」


捨て台詞を吐きながら冒険者ギルドを出ていく髭のおっさん達。まだやる気があるとは、もう少し体でお仕置きしてあげた方がよかったのだろうか。




「も、申し訳ございません。ギルド員同士の争いは原則禁止されているのですが……」


「なるほど、つまり僕はギルド員になる前だから、何をされてもグレーということですか」


「そ、そういう訳ではないのですが……そ、その、申し訳ございません」


「いえ、あなたを責めているわけではないです。ただ、これでは新規のギルド員さんがなかなか増えないですよね?」


「おっしゃる通りなのです……。この件は、ギルド長ともよく相談しておきます。あっ、すみません、本日は登録でよろしかったでしょうか」


「はい、僕とこの子の二人の登録、それから、この四人でパーティ登録をお願いします」


うちのパーティのように女子率の高いパーティは他のパーティから声を掛けられることが多いらしいので、先に登録をしておいてほしいとシュナちゃんに言われたのだ。


「は、はい、かしこまりました。それでは、こちらにご記入をお願いします。それから、そちらの薬草は買取りでよろしいですか?」


「はい、よろしくお願いします」


「では、こちらのギルドカードと買取金額をそれぞれお渡し致します。ギルドカードは紛失された場合、一万イシスで再発行となりますのでお気をつけください」


一万イシスだと!? 僕たちは男爵家がバックについてるから、もうお金には困らないと思うけど、新人の頃に紛失したらどえらい事になりそうだ。


「首から下げてなくさないように、肌身離さず身に付けている方が多いですよ」


僕の反応を見て、察してくれたらしい。確かに周りを見渡すと、みんなヒモや金属等で縛って首から下げているっぽい。


「それから、これは有望株の新人さんにお話していることなのですが、ランクアップ試験をやってみませんか?」


「ランクアップ試験ですか」


「先程の身体強化魔法といい、今しがた頂きました薬草の保存状態といい、あきらかに新人のレベルを超えております。有望な新人さんには活躍の場を広げてもらいたいのがギルドの本懐でございます」


ちなみに先程の髭のおっさん達はEランクの冒険者だそうで、試験の結果次第ではDランクかCランクにしてもらえるとのこと。これは早くにランクを上げたかった僕たちにはありがたいお話だ。


「それは、パーティ全員で受けられますか?」


「ランクアップ試験は個々に受けて頂くことになりますが、問題ございません」


「そうですか。是非受けさせてください」

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