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三十九話目 アンデッド

「結構な数が浮いてるな。レムリア、昼からゴーストが出るのは珍しいのか?」


「夜の方が活動しやすいんだよ。人が寝ている時がやつらの時間なんだ。そもそも、昼に活動しても弱すぎて冒険者の餌食になるだけだしな」


ゴーストという種族は、人を驚かす程度のモンスターと思われがちだが、本領は寝ている者や、弱っている者に取り憑くことにある。単体では弱いが、対象に取り憑くことで混乱させたり、同士討ちを画策するそうだ。


「意外と頭がいいモンスターなのだな」


「俺のように結界を張った棺桶に寝ていれば問題ない」


「あー、あれ、結界も張っていたのか……」


「あの川は王都に向かっている。奴らがもしもゴブリン達の誘導係を請け負っていたとしたら……」


「水路から王都へ侵入するつもりだったということか」


内側からゴーストが取り憑いて混乱させている内に、水路から誘導したゴブリンの群れが一気に雪崩込むという作戦とみていい。


「それも主様がゴブリンを殲滅したから、もう大丈夫にゃ」


シュナイダーのお腹に頭を突っ込んでいたアイミーが、耳をピクピクさせながら、恐る恐る顔を上げてゴースト達のいる方向を見ていた。


「アイミー、もう大丈夫なのか?」


「もうピカドンは終わったにゃ。それよりも、あのゴースト達をどうにかするにゃ」


ゴースト達も、ゴブリンがいなくなったことを感じたのだろう。王都へ向かって移動を開始している。おそらく、報告に向かっているとみて間違いない。


「止めねばならぬな。ゴブリンが来ないことをわざわざ知らせる訳には行かぬ」



「あれぐらいの数ならアイミーが一人で倒してくるにゃ!」


シュタっと立ち上がると、すぐに狩りをする目に変わる。すぐに身体強化魔法を掛けながら、駆けて行った。



「雷は苦手なくせに、ゴーストは平気なのか」


川に浮かぶ岩をぴょんぴょんと飛び跳ねるようにして、ジャンプしてはその爪でゴーストを斬り裂いていく。


「レムリア、ゴーストって物理攻撃効くのか?」


「いや、効くのは魔法攻撃のみのはずだ。アイミーのは身体強化で手の周りに魔力を集めているんだよ。シュナイダーの魔剣でも問題なく倒せるはずだ」


「なるほど。ありがとう理解したよ」



「うにゃー! これで、最後にゃああああ」


どうやら、最後のゴーストも問題なく倒せたようだ。これで、ゴブリン殲滅の報せは届かないはず。問題は、ゴーストを使って王都内部から扇動をしようと画策している奴がいるということだ。


「どうせ我々も普通には王都に入れないのだ。水路から中に潜り込むか」


「そうだな、他のゴーストもいるかも知れぬ。その方がいいだろう」




僕がみんなと合流したのは、アイミーがゴーストを倒し終えた後だったようだ。


「アイミーがシュババってやっつけたにゃ!」


「さすがアイミー。っていうか、ゴーストって物理攻撃効くんだ?」


褒めて褒めてと頭を近づけてくる。耳の裏辺りを押しつけてくるので、そこが撫でポイントなのだろう。


「ふみゃあー、アイミーが特別なのにゃ」


「そ、そう、凄いなアイミー」


「一応言っておくが、ゴーストには魔法攻撃しか効かんからな。アイミーのは魔力をまとった攻撃を与えたからだ」


「や、やっぱりそうだよね……」


お昼ごはんのサンドイッチを食べながら、今後の話をしていたのだけど、どうやら王都にゴーストを使ってゴブリンの手引きをしようとしている者がいるとのこと。


「ゴーストをまとめるとなると、高位のアンデッドモンスターになるか。レムリアはどう思う」


「レイスやネクロマンサーあたりが怪しいかもな。レックス、スリーザーから情報入ってないんだろ」


「うん、スリーザーの部隊も王都はなかなか近づけないらしいからね」


「一応確認なんだけど、アンデッド系のモンスターにドレインって効くのかな?」


「死んでるんだから無理だろ。生命エネルギーないからな」


いきなり、攻撃の要を奪われてしまった。ドレインなかったら身体強化すらままならないというのに。


「心配しなくても、身体強化はそこらの木や植物からでもエネルギーとれるだろ? もしくはお前のウサ吉軍団もかなり増えてきてるんだから、少しぐらい吸わせてもらえよ」


実は、ウサ吉の知り合いウサギが尋ねてきたり、生き別れた兄弟が出てきたりして、いつの間にか軍団とも呼べる数になっていた。現在のところ二羽がレムちゃんの城の警備で、十羽がエルフの里の警備に。残り十羽は僕から着かず離れずをキープしながら自由に行動してもらっている。ちなみに、ついさっきまでは、ゴブリン討伐を元気に行っていた。


「そうだね。植物からエネルギーとるとシュナちゃんが悲しい顔をするからね」


「植物だって生きているのだ。だからといってウサ吉達を犠牲にしていいと言ってる訳では無いからな」


「もちろん、わかっているよ。ちなみに、ウサ吉軍団からは自由にエネルギーをとって構わないと承諾はもらっているんだ。みんなから少しづつだったら、そこまで影響もないしね」


ということで、街の中にムキムキのウサギを連れて歩く訳にもいかないので、水路に待機アンドゴースト駆除にあたってもらおうと思う。


ということで、王都へ出発だ。

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