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二十四話目 竜王戦

「なっ、獣王だと! 何故、お前もステータスが落ちていないのだ!? お前がそこまで魔王様に忠誠を誓っていたとは予想外だ。しかし、そうであるならば、話は早い、魔王様の元へ戻ろうではないか」


 レムちゃんの豪快な魔法をかわしながらも、落ち着きながらアイミーに話し掛ける竜王リュカス。


というか、城の中でそんな豪快な魔法撃ったら……。当たり前だけど、お城の天井を突き抜けて綺麗な青空が見えている。後で直せるからって豪快過ぎる。でも、それだけしなければならない程に相手が強いということなのだろう。


「二度と戻るかにゃ! これは、ラビ子の分にゃ」


 力任せの右ストレートと思いきや、リュカスの防御体制を誘導しての左ボディブローがわき腹を豪快に抉った。


「っぐ、おっふっ! 獣王、魔王様への忠誠心はどうしたのだ!?」


「あんなクソ野郎に忠誠心が残っているとでも思っているにゃ?」


「し、しかし、それでは、そのステータスに説明がつかぬ!」


「次はウサ吉の分にゃ! これで最後にゃ」


 右腕をブンブンと振り回しながら身体強化魔法で盛大にパワーをため込んでいく。あれは、防御しようともそのままぶん殴るやつだ。これが魔王軍四天王の本気の戦いか……。


「ちょ、ちょっと待て、獣王、それはまずい!」


「シャドウバインド!」


 タイミングよくレムちゃんの拘束魔法がリュカスの足を捉える。いくら竜王といえども、完璧に決まった拘束魔法の脱出には数秒はかかってしまう。もちろん、その数秒があればアイミーの超攻撃パンチは避けられない。


「獣王激烈掌!!!!」


「や、やめろぉー! ぬぅぅおおおおおおおおおおお!!」


 避けられないのを知ってか、アイミーのパンチは見事にリュカスの左頬を捻るようにしながら吹っ飛ばした……かに見えた。しかしながら、リュカスは上半身をギリギリまで倒して、最小限のダメージで耐えてみせた。


「ちっ、殺しそこねたにゃ……」


「アイミー、もう一度だ。ここで仕留めるぞ」


「さすがに、一度に四天王二人を相手するのは厳しいようですね。それなら、獣王には少し寝ていてもらいましょうか」


既に準備をしていたのか、リュカスは宙に浮かぶ魔法陣を何重にも展開し始める。



「あっ、あれは!? アイミー、避けるんだっ!」


「な、何の魔法にゃ!?」


「ドラゴカーズ」


「いいから、避けろ! それは、麻痺魔法なんだよ……」


 時すでに遅し、アイミーを捕らえたその魔法は竜人族に伝わる強力な麻痺魔法だった。


まとに受けてしまったアイミーはしばらくは動くことが出来ないようだ。口をパクパクと動かそうとしているが、声を発することも手や足も動かすことが出来ない。


絶体絶命だ。レムちゃんだけでは、リュカスの相手にはならない。


「少しだけ危なかったですね。四天王が二人いたこともですが、アイミーのステータスが落ちていなかったことは驚きでした。さてレムリア、お前だけでも先に魔王城へと連れていくか」


「……わ、わかった。その代わり、お、俺、以外の四天王に声を掛けるのはやめてもらえないか」


「何故ですか? お友達を守りたいとか思ってるんですか? どちらにしろ、これは魔王様がお求めになっていることですので、貴女の意見など関係ないのですけどね」


 うなだれるように頭を下げてしまうレムちゃん。このままだと、レムちゃんが連れていかれてしまう。アイミーの目はリュカスを睨みつけるようにして動かない。


まだ、麻痺が解ける気配は無い。


僕に出来ることは何かないのか。リュカスは僕を戦力としては見ていない。ならば、何か隙をつくことができるのではないだろうか。


考えろ、考えるんだ。


「さあ、レムリア、こちらに来るのです」


 ゆっくりと、リュカスの元へと歩き始めるレムちゃん。


陽の光でレムちゃんの影が僕方へと伸びているのを見た時に、条件反射のようにドレインをその陰に忍び込ませた。一瞬レムちゃんがビクッと反応したが、リュカスには気づかれていない。


もう少し、魔力を込める。少しでも奴の力を削げるように少しでも魔力を高める。


バレないように、レムちゃんの魔力に隠れるように、研ぎ澄まされた魔力を潜める。


僕の魔力を全部注ぎ込む!



「それでは、獣王、いつでも魔王城でお待ちしています。気が変わったらいつでも来てくださいね。来なければ、レムリアとシュナイダーも悲しむでしょう。そうですね、レムリアとシュナイダーに貴女を迎えに行かせるのもいいかもしれませんね」



 影から、少しづつレムちゃんの背中に移動した僕のドレインは、いつでも襲い掛かる準備は出来ている。それでも、普通に攻撃するだけでは避けられてしまう可能性がある。リュカスの隙をつくには奴が一番油断した時、狙いはレムちゃんを連れ去ろうと飛び上がる瞬間だ。



「それでは、獣王またお会いしましょう」



 リュカスが背中の翼を大きく広げ、レムちゃんを抱えたまま飛び上がろうとした瞬間、ドレインを一気に襲い掛からせた。


「行かせるかっ!」


「な、何だ!? こ、これは!? ぬおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 リュカスはレムちゃんを離すと、迫りくるドレインから左腕を犠牲にするようにして自身の体を守った。


その左腕はドレインに包まれるとあっさりと消滅し、尚もその先の身体を取り込もうと動きをみせたが、リュカスが自身の腕を切断したことでようやくその勢いは止まった。


「こ、この、魔法は!? あ、暗黒魔法だとっ! お、お前が、お前が、ま、まさか獣王のステータスは……一体、どういうことなのだ!」

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