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十話目 獣王バリュオニウス

「主様が魔王様なのは、会った時にピカピカ光っていたからすぐにわかったにゃ。それはスキルのカリスマ性ってやつにゃ」


「それじゃあ、アイミーは本当に獣王バリュオニウス!? 魔王軍の四天王だというの……」


「そうにゃ」


 ヤバい、ヤバい、ヤバい。人は見かけによらないとは言うけれど、目の前の猫人族の少女が魔王軍の幹部だったなんて……。つまり、獣人の国は魔王軍の味方ということなのか。


「アイミー様、幹部全員揃いました。急用でこざいましょうか?」


どうしよう……魔王様のスキルを奪いやがって! とか言われて焼かれてしまうのではなかろうか。


「うむ。突然呼び出して申し訳ないにゃ。猫人族は今後、そこにいる主様、レックス様を陰の支配者として敬い、従い、命をかけてお守りすることを決めたにゃ」


「ふぁ!? ちょっ、ちょっと、何を言ってるのかなアイミー」



「つまり、そのお方が新しい魔王様ということなのでしょうか?」

「なるほど、今回は大丈夫ということなのですね」

「今度の魔王様は人族の少年でしたか……」


「主様は、今までの魔王様とは雰囲気が全く違うにゃ。アイミーを縛りつけることもなく、また命令するでもなく、何なら相談をしてくるぐらいにゃ」


「人の良さが滲み出ていると。つまり、あのクソ野郎とは別者であるということですね」


「そうにゃ。あのクソは見つけ次第、ぶっ殺すにゃ。そして、あのクソに味方する者も殺すにゃ。といっても、一人だけだろうけどにゃ」


 どうやら、アイミーは僕が魔王だけど魔王ではないことを知っているようだ。しかも、本当に魔王軍の四天王だったっぽい。前の魔王をドゥマーニ様が倒したのは二十年以上前……。その時から四天王だったというアイミーは、見た目には少女にしか見えないけど実際には……。


「主様、余計な詮索はしない方がいいにゃ」


「ご、ごめんなさい。あ、あの、アイミーはこのスキルのことを知っているみたいだけど、どういうスキルなのかな?」


「使ってみると分かりやすいにゃ。心の中で願うにゃ。カリスマ性のスキルをまるっと丸めてアイミーにぶつけてみるといいにゃ」


 よくわからないけど、言われた通りにやってみる。


心の中で願う……集中してカリスマ性のスキルを放出するイメージ。すると、何故だか僕の体は輝き始めている。これが、アイミーの言っていたピカピカか……。


 その光を両手にまとめるようにすると、そのままアイミーに向かって放った。何というか、普通の魔法とは違って、害の無いものであることは理解できていた。これは、おそらく魔王の力の一部を部下に与えるような魔法なんだと思われる。


「んにゃぁぁぁぁぁぁ!!」


 あ、あれっ? 本当に大丈夫だったのかな。集まった幹部のみなさんの視線が痛い。


「ア、アイミー、大丈夫なの?」


「うにゃ。パ、パワーアップしたにゃ。ステータスが全て倍以上になってるはずにゃ。これでまたアイミーは、獣王バリュオニウスとしての力を取り戻したのにゃ!」


 あれっ、どうしよう……。魔王軍四天王、獣王バリュオニウスを強化してしまった。で、でも味方なんだっけ?


「おおー!」

「さすがカリスマ性のスキルでございます!」

「アイミー様、おめでとうございます。これで獣人の国の王に再び返り咲きますな」


「うむ。主様を発見したことはアイミーにとっても運命だったに違いないにゃ。これで、アイミーは主様の正式な部下になったのにゃ」


「えっ!? 正式な部下?」


「そうにゃ。そのスキルは主様に従順な部下を生み出すスキル、別称、強制魔王軍四天王ビームにゃ!」


「いやいや、アイミーは魔王をとても嫌っているように見えたんだけど、また四天王になっちゃっていいの?」


「アイミーはあのクソ野郎が復活したのを知っているにゃ。前に四天王にされたからわかるにゃ。あいつに再び四天王にさせられるくらいなら、主様の四天王になって奴をぶっ倒すにゃ」


 魔王様、かつての部下にここまで嫌われるって、一体どんなことをしたのだろうか……。


「主様は、どうしたいにゃ?」


「僕は……、僕の力がどこまで通用するのかわからないけど、なるべく早く魔王を倒したい。だって、魔王を倒したらこの職業も消えるかもしれないしね!」


 それに、エリオだけに辛い思いをさせるわけにはいかない。僕も強くなって陰ながらエリオの勇者パーティをフォローしたい。


「職業が消えるかはわからにゃいけど、アイミーとしては、獣人の国をまとめて、それからクソ魔王をぶっ飛ばせれば何の問題もないにゃ」


「よし、じゃあ決まりだね。アイミー、僕はスキルの使い方や魔法の使い方がよくわからないんだ。教えてくれるかな?」


「わかったにゃ。でも、アイミーは魔法関連は苦手なので、知り合いのスペシャリストにお願いしようと思うにゃ」


「知り合い?」


「古くからの仲間にゃ。魔法の指導が上手なので主様の成長も早くなると思うにゃ」


「うん、わかった。じゃあ、その友人の方へお願いをしに行こう」


「主様、了解にゃ。お前たちは、各族長に報せを流すにゃ。獣王バリュオニウスが復活したとにゃ」


「はっ、かしこまりました!」


 こうして、何故だか僕は魔王として、一人目の四天王を配下にすることに成功してしまい、猫人族の支援のもと力を蓄えることが出来るみたいだ。


 全く人生何がどう転ぶかわからないものである。

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