死ねないんですけど・・・なんで!?
初投稿になります。
試行錯誤しながらの投稿になりますので、温かい目で見てください。
今、俺は23階建ての古びたマンションの屋上に立っている。
真冬の曇り空の早朝で、死ぬほど寒い。
なんで俺はこんな場所に立っているのだろうか。
答えは簡単!
ほんとに簡単!!
「「自殺するためさ」」
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俺の名は、高杉豪真。
20歳の大学生。
万年帰宅部の俺だが、趣味は筋トレなので
いつも初対面からは「何か格闘技をやられているのですか?」と聞かれるほど筋骨隆々なのが自慢だ。
それ以外の自分のことは・・・
なんかもう、説明するのが面倒臭い。
もう死ぬんだからいいだろ?
古びて至る所がボコボコにへこんでいる屋上の給水塔に上るため、
俺は金属製のハシゴに足をかけた。
ギギギ・・・ギ・・・
今にも壊れそうなぐらい錆びているポンコツハシゴで、慎重に一歩一歩登り始めた。
ハシゴを上るごとに手に錆びがついて汚れていく。
血の匂いに似た鉄の匂いが鼻をくすぐる。
この匂いは苦手だ。
「すー・・・はー・・・」
俺は屋上の給水塔によじ登り、深呼吸をする。
恐怖で足元が竦まないように、
下を見ないように、
遠くの空を見る。
自殺するって決めたと言っても怖いものは怖い。
もう錆びた鉄の匂いなど気にしている余裕はない。
寒さではなく恐怖によって手足が、口がカタカタと震えている。
給水塔の端に移動しようと一歩踏み出すが、恐怖のあまり半歩しか進めない。
「いつ見てもやな光景だな。」
「咲夜ちゃん天国で俺のこと待っててくれてるかなぁ。」
咲夜ちゃんは俺の彼女だった。
引きこもりの俺を外に連れて行ってくれた命の恩人。
死にそうになっていた俺の心を優しく包み込んでくれて、
真人間にしてくれた命の恩人。
まぁ、今、
その命を投げ捨てようとしてるんだけどね。
もう半歩前に進むと足先が給水塔の端に到達した。
あの子のいないこの世界にはもう用はない。
元々死んだも同然の生活で誰一人信用できる人などいなかった。
むしろ自殺するのが遅すぎたぐらいだ。
こんな世界からは早く去りたい。
「あー
異世界に転生とか無いのかよ、、、
どっかの女神が恩恵くれてチートスキルで人生謳歌とか、スローライフとか、」
「無いのかよ!」
「神様がいるならこの状況をどうにかしろってんだ!」
薄暗くて、雲一つ無い虚空に向かって俺は吠えた。
耳を澄ませたって、返事なんて帰ってこない。
「わかってる。
わかってんだよ。
希望の無いこの世界で俺はビルから飛び降りることしかできない」
「さようなら、孤独で残酷なこの世界」
(あき・・・らめな・・・・い・・で)
あれ!?
一瞬だが、咲夜ちゃんの声が聞こえたような気がする。
ははっ!!
恐怖で幻聴でも聞こえたのかな。
不思議とココロが温かくなる感覚があったが、
目の前に広がる曇り空のように直ぐに冷めてしまった。
意を決して飛び降りようとするが
恐怖で足が竦んでいるためジャンプなど到底できない。
このまま突っ立っていても時間の無駄なので、
俺は足を支点にして頭から地球の表面に向かって落ちていった。
初めに視界に入ってきたのは地面だ。
Google Mapの衛星写真のような、全体を俯瞰した画像が視界一面を覆う。
身を投げ出せたことによる安堵感と
これから地面に叩きつけられる恐怖感とが綯い交ぜになる。
ジェットコースターで急勾配を下るときの腹部を虫が這うような感覚が俺を襲う。
ジェットコースターって苦手なんだよなぁ。
中学生の時に初めて乗ったら、怖くて気絶し、ションベンまき散らすわで散々な目にあったことを思い出す。
あ・・・
ヤバイ・・・
意識が・・・
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ゴー・・・・
どれだけ気を失っていたのだろうか。
考えてもわからない。
随分時間が経った気がするが、確認する術は無い。
ゴー・・・・
分かるのは耳から聞こえる風切り音だけである。
まだ地面に到達していなかったのか。
気を失ったのはほんの一瞬だったようだ。
ビルから飛び降りたことを思い出した瞬間に頭の頂点が熱くなる。
頭が一番最初に地面に到達するので、無意識的に神経を頭部に集中しているのだろう。お節介な機能だな。そんなことしなくてもいいのに。
あー早く地面に到達しな・・・
ゴシャ!
頭蓋骨が陥没し、粉々に砕けた感覚が俺に伝わってくる。
脳しょうが辺り一面に飛散する。
体の節々が粉砕し、血液が道路を朱に染める。
痛みは無い・・・ような気がする。
でもおかしい。
脳みそが完全に破壊されたはずなのに意識がまだある。
死ねないんですけど・・・なんで!?
この度は読んでくださり誠にありがとうございました。
初めての投稿で至らない点は多々あると思いますので、ご教授頂ければ幸いです。
他の小説では書いていない内容を表現できたらいいなと思いながら書きました。
自殺後の世界ということで、誰もまだ表現していない題材を書いていきます。