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悪役令嬢への未来を阻止〜〜人は彼女を女神と呼ぶ〜〜  作者: まさかの
第一章 魔法祭で負けてたまるものですか

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乗り切りました

 パラストカーティの者たちが全員退出してくれたので、わたしはやっと気を抜ける。

 本来であれば、わたしに代わってクロートに話させようとしたのだが、お父様から連絡がきてしまったのだ。

 至急事の顛末を説明するように命令が出たので、わたしを除いて説明できるのがクロートしかおらず、わたしは武器もないまま戦場へ赴くしかなかった。



 何か突っ込まれる前に今回の話を終わらせようとしたが、ここでわたしはさらに頭を悩ますことになった。

 セルランがわたしに異を唱えるなんて考えておらず、わたしの胃はもう悲鳴をあげた。

 わたしは恨めしくセルランの方を見る。

 そこで少し暗い顔をしているセルランと目が合った。

 気まずそうに視線を上げ下げして、決意を込めた顔でわたしの横へ来て跪いた。



「マリアさま、先ほどは大変申し訳ございません。わたしの考えが足りないばかりに場を搔きまわす結果となりました」

「そ、そんなに気にしなくても大丈夫です。おかげでわたくしも側近たちとの意思疎通が足りなかったことに気が付きましたから」



 ……ごめんなさい、セルラン!

 時間稼ぎででまかせを言っただけなの!



 あの時わたしは時間稼ぎをどうするかしか考えていなかった。

 優秀なわたしの側近であれば、誰か一人くらいなら答えると甘く見ていた。

 まさかの全員謝罪。

 リムミントもまさかあれほど顔を青くして、断罪を待つように震えるとは思わなかった。

 あまりにも可哀想だったので、てきとうに下僕に振ったが予想以上の答えを用意しててくれた。




 ……下僕が考えててくれて本当に助かりました。

 あまり周りに頼りすぎてもだめね。



 下僕がいなければ、ここまで議論も活発にならなかった。

 あとで褒めておかないといけないと思い、まだ最期の締めをしていないため全員が立ってこちらを見ている。

 セルランに元の位置に戻るよう命令した。


 ……まだ気を抜いている場合じゃないわね。




「さてみなさん、わたしのワガママのせいでかなり気を揉ませました。わたくしが側近たちなら理解していると思い、先走ったことを許してください」

「いいえ、姫さま。今回はわたくしどもも利己的であったことをお許しください。国が未だ揺れているこの時勢では知恵なき者は破滅へと向かうものです。今後は今以上に国のためとなるよう誓いを改めさせていただきます」



 ステラが代表して謝り、全員が真剣に頷く。

 自分の嘘でここまで良心が痛むとは思ってもいなかった。

 早くこの場を終わらせないといけないと話を進めさせる。



「あなたたちの誓いにこれ以上疑いを持ちません。これから互いに成長していけばいいのです。では話を始めましょう。パラストカーティを追い出したのは他でもありません、シュトラレーセの話をするためです。わたしを攻撃した事実を公表する気がない以上、側近までで話を止めてください。これから議論をしたいと思っておりますので、発言したい者は挙手してください」




 全員が同意のため頷く。

 わたしは話を続ける。



「今回シュトラレーセに対しては表立って非難するつもりがありません。ただ協力を要請しようと思ってはいます」

「季節祭の一つ、魔法祭のために共同研究を依頼するのですね」



 ラケシスがわたしの考えを先読みして答えてくれた。

 側近全員がなるほどと相槌を打つので、これは好感触のようだ。

 わたしはとりあえず自分が考えていることを伝えた。



 一つ、シュトラレーセの領主候補生のアリアに、前回の件を免責にする代わりに技術の提供をしてもらう。

 二つ、魔法や錬金術の研究が盛んな領土はシュティレンツのため、そこを中心に成果をあげる。

 三つ、側近として各領土から召しあげるが、普通の側近ではなくこの学校内でのみの優遇措置とする。

 四つ、優遇内容はジョセフィーヌの領土で行なった魔法研究の一部公開。

 五つ、側近たちは季節祭に向けて、出場する生徒の育成を行うこと。


「在学時に優遇ということは、卒業後は側近にしないのですか? 」

「それが悩みどころなのよヴェルダンディ。優秀に育てば城で働くことを勧めるくらいならできるかもしれないけど、お金についての準備をどうしてもらおうかしら」

「それでしたら、あまり使われていない離宮を執務室に変えるのはどうでしょう。内向きの仕事を任せれば、マナーや衣服のお金は減らせると思います。今後、領土を発展させるなら人手も集めていたほうがいいと思います」



 下僕の考えにわたしは大いに賛同する。

 使ってない離宮を維持するのは無駄だと思っていたし、五大貴族の一つスヴァルトアルフは全領地の発展に成功している。

 それならできないことはない。

 そこで扉をノックする音が聞こえたので、わたしは許可を出してレイナに開けさせる。


「大変賑やかな時に水を差してしまい申し訳ございません。シルヴィ・ジョセフィーヌに説明を終えましたので、このクロートただいま戻りました」



 ……遅い!

 あなたがいないだけでどれほどみんな辛かったか!



 少し八つ当たりな気がしないでもないが、それほど大変だったのだ。

 こうなったらクロートにも意見を出してもらって、一緒に考えてもらおう。

 リムミントに今までの経緯を説明させる。



「なるほど、わたしがいない間にそのようなことになっていたのですね。ところでシルヴィ・ジョセフィーヌにはまだ伝えていない大事な案件を勝手に決めてるようですが、そこは大丈夫でしょうか?」

「あっ」



 忘れていた。

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