町の区画整理②
資材と元となる、森や石山はあるんだ。
そこから木材や石材を採る人材が足りないだけで。
問題となる資材不足の理由のいくつかは、壊した建物の、そこに住む住人の扱いだ。
家を壊せば住むところがなくなる。
新しい家はすぐにできない。
仮設住宅が必要なのだ。
一時的に家無しにしてしまえば建材を節約できるけど、それはやりたくない。
一回作ってしまえば使い回せると思うかもしれないが、建物を壊すのは一度にやらないと、周辺への影響が大きいのでできるだけ一度にやりたいという思惑もある。
想像して欲しい。仮設住宅から戻ってきた新居の周りで、毎日取り壊しや住宅建設の煩い音がする生活を。
かなりのストレスになるだろう。
それがなくとも、建物の取り壊しをすると周辺の建物にダメージが入る事があるので、できるだけまとめて壊した方が高効率という話でもある。
移転するのが住居だけではないというのも問題だ。
道路なんかも見直したいし、チマチマやってられないというのが俺の事情。
「妥協、しなきゃダメだと思うよ?」
「理想は理想です。現実を見て判断すべきでは?」
ラルーニャやレーラは、問題解決に時間がかかりすぎる、人手や資材を瞬間的に使いすぎる事を強く問題視していた。
俺の考えに賛成していない。
周囲から不満が出ようと、チマチマやっていくべきだと。
……準備に時間をかければ、それはそれで人に負担を強いるのだから、早く動きたいという事も理由として挙げられた。
こういった問題を手早く解決するには、「派遣労働者」を使うやり方がある。
島の外から一時的に人を借り入れ、労働力を大幅に強化するやり方だ。
ただ、俺個人がこのやり方を好んでいない。
リアルの方では派遣労働者の厳しい立場なんかが報じられ、非常に嫌な方法というイメージがあるからだ。
実際、派遣労働者を大量に雇おうと思うと、扱いはけっこう悪くせざるを得ない。
経営努力とか適正な扱いを、と言われるだろうが、経営者としてみた場合、派遣は「クビにする事が前提の労働力」なので、手厚く報いられないのだ。
これが「終身雇用を前提とした町民」であれば話が変わるんだけど。
経営サイドに回ると、きれい事が言えないのがよく分かる。
派遣労働力を大事に扱う事はできない。やった場合は町の運営が破綻する。
派遣労働者を安く使う事はしたくない。
派遣労働者が少なければ、そもそも呼ぶ意味が薄い。
この三つの問題を解決するには「町が運営できる範囲でたくさんの派遣を大事に扱う」現実的な方法が必要だ。
つまり、不可能という事だ。
もしかしたら俺の頭ではそういった方法をひねり出せないだけで、上手くやる方法があるかもしれない。
ただ、その方法が手元に無いのであれば何の意味も無い。
遷都のごとく新しい町を作るだとか。
まず新しい居住エリアを用意し、そこに住人を移し、建て替えを行い、終わったらそこに新しい住人を入れるだとか。
“それが出来るなら悩んでいない”解決策しか思い付かない俺に問題がある。
俺は一人、頭を抱えていた。
するとそうやって悩む俺に、一つの解決策が舞い込んできた。
俺が一人で悩む必要など無かった事を、教えてもらった。
完璧な解決策はなくとも、次善の策というのが世の中にはあったのである。




