町への昇格
飛行船と言えば、ヘリウムだろう。
水素だと、本当にヒンデンブルグ号になりかねない。
あれの爆発した原因は水素を使った事ではなく、飛行船に使われた塗料が原因だと言われているが、それでも怖いものは怖い。
水素なら簡単に調達できるとは言え、あまりやりたくない。
そうやって頭を悩ませていると、ラルーニャが全く別の案件を持ってきた。
「旦那様。そう言えば、なんですけど。
村も規模が大きくなってきたので、『町』に格上げするという話がきましたよ」
「え?」
「熱気球の件で、ずいぶん人が増えましたし? そういう事らしいです」
これまで「村」だったのが「町」に変わるらしい。
そして、別の問題が発生する。
「で。村に名前を付けろと、そう言われてるけど~。考えてあります?」
名付けの問題だ。
これまでの規模、村であれば「名前は要らない」。
言い方は悪いが、村と言うのは一つ一つに大した価値がなく、付け加えるなら他と区別がつけばいい、その程度の扱いを受ける。
今の村も、女神の島にあるから女神の島の村で話が通り、いちいち名前を付けなくとも問題にならなかった。
ただ、町ともなれば正式名称が必要で、他と被らない、そんな名前が求められる。
……この、他の名前と被らない、と言う部分は放送禁止用語や差別用語、商標を使わせない建前だったりするのだが、そこは横に置く。
俺はあまり得意ではない名付けに頭を悩ませることになった。
で、話はそれだけで終わらなかった。
人口増加を、ただ今までの何割り増しだからそれにあわせて食料、住居、仕事などを増やせばいい、そんな簡単な話ではなかったのだ。
「排水の処理が必要ですねー」
例えば生活汚水。
人数が増えれば自然の処理能力が限界を迎え、破綻する。
「町長、喧嘩がまた起きました」
軽犯罪、喧嘩などの問題が加速度的に増え。
「あの人、だぁれ?」
みんな顔見知りという村レベルの人間関係が維持できなくなる。
それらを無視して、NPCに任せることもできるけど。
俺はそれらの問題に、正面から挑むことにした。




