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先行製作分

 桑の木や綿花の木は、レーラに一任することになる。

 増えた予算と人員を見て満足そうにするレーラだが、自身の仕事が増えた事に関して特に思うことは無いようだ。

 堅物とまでは言わないが、生真面目な彼女は仕事がたくさんある方が嬉しいようだ。


 ……会社のOL、裏でお局様と言われるような婚期を逃した上司を思い出したが、言わない方が良いだろう。

 会社や仕事は大事だが、プライベートも大事にしてください。いや本当に。





 布の話はすぐに終わる事でもないので、俺はその間に他のパーツを作っておいた。


 麻でできた太い紐、しなる木を編んで作った人が乗ってもまず壊れない籠、錬金術で作る空気を温める装置。

 これらを順に用意しておく。



 紐の方は元から作っていたものを使うだけなので、こちらは指示を出して終わり。

 太さを今まで以上にしただけだ。


 籠の方も、もともと木工職人が木を編んで作る椅子などを作っていたので、籠を編むぐらいは楽勝だ。

 こちらも指示を出すだけなのだ。


 錬金術の装置、熱気球で言うとバーナー(加熱部)とシリンダー(燃料)に相当する部分は、魔法『ライター』の上位版である『フォージ』で対応する。

 他にも『サイクロン』で温めた空気を行き渡らせたり、『サーマル』で気球部分が延焼しないように注意する。


 この事前準備の段階でマジックペーターが尽きて追加生産が必要になったりと、そこそこ忙しくなったが、納期は特になく、強制されてのお仕事ではないので気楽に進める。


 仕事が楽しいかどうかは、モチベーションもそうだけど、心の余裕が大事だと思う。

 必死に頑張ってみるのはやり遂げれば爽快感や達成感があるけどさ、途中で力尽きることもあるわけで。

 俺としては、無理のない範囲でやっていきたい訳なんだ。


「おにーちゃん、お空はまだ?」


 あとは可愛らしいおねだりをするアセリアの期待に応えようと、ちょっと良いところを見せようとするだけ。


 ……ミニ熱気球でも作って、ほんの少し時間を稼いだ方がいいかもしれない。

 子供にずっと「待て」は可哀想だからな。

 俺と違い、半年や一年といった長期に渡る製作期間の間に心が別のところを向きかねない。



 別にアセリアの気持ちが離れても仕事の効率に影響はないはずなんだけどな?


 でも、良いところを見せるためにも、熱気球の完成を心待ちにして欲しかったりする。

 それぐらいのワガママを通すため、俺は「余計な作業」を追加するのだった。

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