魔法と焼き魚
スライムを倒して大もうけ。
あれだけ弱いと、「スライムを繁殖させてスライムファームだー」って思いたくなるけど、そうはいかないのがゲームの仕様。
「モンスターを育てるとー、強くなりすぎて困っちゃうから、まだ駄目よー」
そんなわけで、モンスター農場って案は「今はまだ」できない。
何かフラグが立てばそのうち出来るようになると思う。
とりあえず、チュートリアルにそれらしいものは無いけどね。
モンスターで思い出したけど、このゲームには『魔法』がある。
ファンタジー要素の代名詞とも言える『魔法』。
ヨソのゲームで散々使っているから、全く新鮮味とかありがたみは無いんだけどね。
それでもわりと重要な要素である事は間違いない。
それに、初期の魔法はしょぼい。
火の魔法――『ライター』
水の魔法――『ウェット』
風の魔法――『ウィンド』
土の魔法――『モールド』
ライターは可燃物に火を付けるだけ、ウェットはコップ一杯分の水を出すどころか布をしけらせる程度、ウィンドはそよ風、モールドは粘土を成形するだけ。
ぶっちゃけ、何の意味があるのか全く分からない。
あと、魔法に関してはシステム的な救済が全く無い。
こういったキャラクター準拠の能力は、自分で頑張らないと育たない。時間経過で増える村の資材とかとは別なんだ。
経験値稼ぎ、わりと面倒。
それを言い出すと各種生産もやればやった分だけプレイヤーのスキルが上がるんだけどね。
プレイヤーは何か一つに特化できるし、そのためのモブ村民って話でもあるんだけどさ。
魔法に関しては、その救済が一切無いんだよね。嫁さん含めて、魔法が使えるキャラは一人もいない。魔法はプレイヤーが特別扱いされる為の特権という設定だ。
だから、魔法だけはプレイヤーが頑張れ。
そんな仕様なんだよ。
意味も無く落ち葉を集めてたき火をしたり、火の周りの土をウェットで粘土にしてからモールドで囲いを作ったり。火に向けてウィンドで送風、火勢を強くしてみたりする。
……本当に意味が無いな。
「お魚でも焼きますか?」
俺がそんな意味の無い事をしていると、ラルーニャが串を刺した魚を持ってきた。
ワタはちゃんと取ってある。
「ん。頼んでいい?」
「まーかせて」
ラルーニャは手際よく魔法で作った簡易竈の上に魚を並べていく。
「魚は塩水に浸けておいたから、そのまま食べれますよー」
燃料の落ち葉と魔法で火の勢いを調整しつつ、魚が焼けるのを待つ。
途中で串が燃えてしまいそうになったけど、そこはすぐに串を濡らしてガードする。
「こんがり上手に焼けましたー」
そうしてしばらくすれば、焼き魚がたくさん。
塩っ気のきいたお魚は、美味しかったです。
こういった食事ってゲーム的には意味が無いけどさ、なんか良いよね。
リアルだと、いっつも一人飯だからなぁ。




