気球づくり――の前の布事業
最初に作るのは熱気球だ。
最終的には飛行船まで作れればいいと思っている。
飛行船。
ものすごくロマンのある言葉だけど、技術的な足りない部分を補うためにも、一歩一歩計画を進めていく必要があった。
「そんな訳で、最初にやるのは村の『布作り』の特産品化だ!」
まず、俺が必要とする、始めなければならない事を考える。
飛行船や熱気球を作るのに必要な物。
浮力を得る気球と、人が乗る籠と、それらを繋ぐロープ、あとは気球の中の空気を温める装置だ。
これらのうち、問題になるのは気球部分だけだ。
人が乗る籠自体はそこまで難しくない。普通に作ることが可能だ。ロープも以下同文。
必要とされる分量自体が少ないので、ここで躓くことは無い。
気球の中の空気を温める装置も、錬金術で製作可能なのでこれも気にしなくていい。
マジックスクロールはとても便利だ。空気を温める事も延焼を防ぐことも簡単に出来るようになる。
で、問題となる気球部分。
これを作るのだけが大変だ。
まず、大量の布が必要になる。
そしてそれらをしっかりと縫い合わせることが大切だ。
調べてみると、人がほんの数人乗る気球であっても数百平方メートルもの布が必要になり、それらを簡単に「用意しろ」と言っても怒られるだけで終わる。
布は結構高いので、赤字も赤字、大赤字になる事は間違いない。
ラルーニャに怒られて終わりである。
だから、事前に布作りを産業として安定させ、布を大量生産できる環境を整えることにした。
こうすれば布の単価が下がり、気球を作る下地ができる。
また、布を売り物として商人に売ることが出来れば、黒字産業として気球のマイナス分の補填ができる。
将来的な収入も込みではあるが、これなら反論されにくいだろうと踏んだわけだ。
こうやって俺はラルーニャを説得したのである。
作る布だが、材料はあまり考えていない。
だけど、売り物になる布と言えば綿か絹だろう。
どちらが上手くいくかはあまり考えていないので、両方採用し、経過を観察していくことにした。
レーラに綿花栽培を依頼する。
養蚕については桑の木を育てるところからだ。
……なんか、最初の想定よりもずっと時間がかかりそうな気配はするけど。
でも、やらないと先に進まないなら、俺はやるだけだ。
自重など、する必要は無かった。




