錬金術とのコラボ③
タイミングが悪いと言うか、覚えるならもう少し早くに覚えたかったというか。
『爆発ポーション』は爆弾の替わりになる代物だった。
ただ、材料には相変わらず『スライムの核』が必要になるので量産向きではない。
そう考えれば、俺の心にちょっとダメージを与えただけで済んだとも言える。
今のやり方、大勢に影響はない。
あと、新しい魔法も覚えたけど、こっちも爆弾には関係のないものだった。
岩をも溶かす熱を封じ込める『ヒートプルーフ』、液体から不純物を除去する『ピュリファイ』、熱を奪う『ヴェイパー』、鉱石から金属を抽出する『リファイン』。
有用だけど、爆弾には直接使えない魔法たちである。
これらの有効活用については、また後日考えようと思う。
作ってみたマジックスクロールを使い、爆弾の威力がどう変わるのか、石切場で試してみようと思っていたのだけど。
「いや、村長。岩盤がないから、要らねぇっすわ」
需要の無さという、商業的に見て最大最悪の壁にぶち当たる事になった。
爆弾の有効活用といえば、俺が思い付くのは岩盤破壊とビル破壊ぐらいだ。他に平和的利用があるか調べてみた。
最初に出てきたのは、地形変更というか、大規模土木工事への利用だった。
これは核爆弾を利用しての話だが、貯水池を作ったりするという話からパナマ運河の拡張まで、様々な用途が検討されていた。当たり前だけど、放射能の問題から実行された計画は非常に少なかった。
自分たちに置き換えてみると、川の流れを変えるとか、どこか貯水池を作りたい時に爆弾を使えるだろうと思う訳だけど。
「……川、流れを変える必要はありますか?
貯水池は必要ありません。現状のままでも水不足はないでしょう」
「お魚さんが住めなくなったら困りますねー」
レーラ、ラルーニャ、共に否定的だ。
レーラは農業担当なので水不足には敏感だと思うのだが、そのレーラすら現状のままで良いと言う。
「いえ、村長が『ウェット』を定期的に使うおかげで、農業用水に困る事はありませんよ」
……別方向からのツッコミを頂く事になった。
作りすぎという、非常に情けない結果となってしまったのだ。
ロクに検証もしていないし、生産者としては売るにも売れない。
検証のためとはいえ、無駄打ちもしたくない。
ちょっとしたジレンマである。
このままでは出番が無い、死蔵されてしまう。そう思っていた爆弾。
だけど、ちょっとした使い方が海で見付かった。
「セット完了!」
「カウンターボム、配置完了!」
「魚影、来ます!」
「よし、発破!!」
海で、魚を獲るのに使われるようになった。
爆発で魚を気絶させる漁法だ。
……日本では禁止されていたはずだが。
爆発の影響はカウンターボム、メインの爆弾と自分たちの間に設置した、低威力の爆弾で相殺する。
船の方もダンパー、転覆防止・振動抑制に使う装置で保護すれば、わりと大丈夫だ。
……相殺に失敗して、たまには横転するけど。
爆弾で魚を獲るというのも、コスト的には大赤字である。
だけど、爆発力の検証を含めて考えれば、そこまで無駄でもない。カウンターボムのいい練習にもなる。
水中で爆破するのにはそこそこ面倒な手順が必要だったが、これはこれで良い経験になった。
人間は創意工夫で進歩する。
ちょっとした困難もまた、成長の糧となったのであった。




