このゲームはファンタジーです
何もしていなくても、時間は過ぎる。
俺が遊んでいてもモブ村民が頑張るため、土地はどんどん広がる。
俺のパラメータは増減しないけど、ゲームにログインしているだけで村の土地や資材、その他財産は増えるという寸法だ。
不労所得、美味しいです。
あんまりやり過ぎると面白くなくなるけど。
俺が海から戻ると、モブ村民の一人が俺の方に駆け寄ってきた。
「村長! 大変だ、畑にモンスターが!!」
どうやら突発イベントのお時間のようだ。
呼ばれて畑の方に行ってみると、畑の敷地内にモンスター、スライムがうようよいた。
うようよと、だ。
スライムがたくさんいるのである。
デフォルメされた水玉に目と口を付けたようなかわいい外見のスライムだけど、10や20と集まると、さすがに不気味だ。
このゲームにバトル要素は無い。
あるのはミニゲーム的なものであり、おまけ程度のシロモノ。
このスライム退治は、ただのボーナスゲームである。
「村長! 早くスライムを退治してけろ!」
モブ村民はそう言うと、俺に棒を渡した。
これでスライムを叩けという事らしい。
スライムはこっちを無視して畑を荒らしている。
「ああっ! まいた種が食われちまう!」
ボーナスゲームではあるが、何もしないと被害が出る。
俺は慌ててスライムを叩きはじめる。
スライムはとても弱い様で、一発叩くだけで簡単に潰れて消えた。
たくさんいるので大変だが、作業そのものは難しくない。
ポカポカと叩いてはスライムを潰す。
3分ほど頑張っただろうか?
50匹もいたスライムはすべて駆除された。
リアルなら筋肉痛になりかねない素振りのごときスライム退治は、波乱の一つもなく終わった。
「ああ、畑が荒らされちまっただ……」
スライム退治のためとはいえ、スライムに種を食われ俺が踏み固めてしまった畑を見て村民が嘆く。
思いっきり被害が出ている。
だからまぁ、俺も嘆いた方がいいのかもしれないが。
それよりも、だ。
「あ。『スライムの核』が、こんなにたくさん!
これ、高く売れるんですよねー」
「こっちには『スライムの粘液』が溜まってます! これがあれば、ちょっとしたポーションが作れますよ!」
いわゆるモンスター素材って奴が美味しいので何の問題も無かったり。
これはあくまでボーナスイベント。
少しの損害が出ようが、クリアできればトータルでは大幅な黒字が確定しているのだ。
なので、悲しむ要素が無い。
モブ村民だって畑担当以外は気にしていない。
悲しんでいるのは、畑担当の、畑に思い入れのある奴だけだ。
基本、現金な連中である。
クヨクヨ・メソメソされると鬱陶しいからね。
ゲームはちょっと能天気で明るいぐらいがちょうどいい。




