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風鈴

「おにーちゃん、できたー!!」

「おお、綺麗だな。よくできてる」

「えへへー」


 この日の俺は、アセリアと二人でガラス工房に来ていた。

 ガラス工房といえばこれだろう、と、ガラス製品の製作体験会を開いてみたのだ。


 ある程度ガラス製作をやりなれている俺は、アセリアの接待役を務めている。

 それでは仕事じゃないかと思われるかもしれないが、これもちゃんとした遊びだ。幼い子供がガラス製品の出来栄えに一喜一憂する様を見るのは、とても楽しい。

 一緒の部屋にいる、仕事でガラス瓶を作っている連中も微笑ましいものを見る目でアセリアを見ている。


 もちろん、高温のガラスを扱わせるのだから細心の注意が必要だ。

 アセリアはいい子だが、たまに思いもよらぬ行動に出る。

 監督する俺の責任は重大だ。

 怪我をさせてもゲームだし何らかのフォローは出来るだろうけど、そもそも子供が火傷するところを見たい奴なんていない。



「塩飴、美味しいね」

「そうかそうか、それは良かった。でも、今は一粒だけな」

「はーい」


 チリーンと、風に吹かれた風鈴が涼しげな音を鳴らす。

 アセリアが作ったのは風鈴。

 さっそく軒先に吊るされたそれは、描かれた絵もあって日本の夏を思わせる。


 ガラス工房を出た俺たちは、流れ出ていった汗、塩分を補給するために塩飴を食べながら休憩をしていた。


 塩飴の材料は砂糖、塩、ショウガ。あと水を使う。

 砂糖水を作り、ショウガの搾り汁と塩を加え、茶色くなるまで煮詰めたら適量を型に入れるだけだ。

 とても簡単なので、誰でも作れる。



 できた塩飴は甘めであったがスポーツドリンクのような味で、口に入れたアセリアもニコニコとしている。


 美味しいのに一粒だけ、そう制限されたが、アセリアは気にしていない。

 笑顔なのはもう一つの塩分の取り方、それを楽しみにしているからだ。


「スイカ、切ってきたわ」

「わぁーーい!!」


 レーラが、お盆の上に切ったスイカを乗せてやって来た。

 それを見付けたアセリアが、レーラのところに突撃をしていく。


「ちょっと、危ないわよ!?」

「ごめんなさいー!」


 慌てたレーラがアセリアを窘める。

 言われたアセリアは反省の言葉を口にするが、目をキラキラとさせてスイカを見ている。あまり反省していなさそうだ。スイカに意識が行っている。



 この日は、あとで合流したラルーニャも加え、風鈴の音が聞こえる中、4人でスイカに塩を振って食べた。

 そんなに甘くないスイカだったけど、シチュエーション補正もあり、とても美味しく感じられたよ。

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