排熱利用と火災対策
ガラス瓶に入れた保存食は長持ちするが、事故の可能性は否めない。
ただ、初期の缶詰よりはマシなので、そっちよりも問題が起きるとは思っていない。
缶詰って、初期は半田付けで蓋をしていたから、中に半田が混入する事件がそこそこあったみたいなんだ。恐ろしい。
その点で言えば、瓶詰は蓋にしたコルクの栓、俺がやったので言えば木の栓だけど、そちらが混入する可能性が否定しきれない。
ただ、口にしたらガリっとしたり思ったよりも不味いというだけで、健康被害となるような木材は使わなかった。
落ちないでくれればベストだけど、落ちてしまう、混ざってしまう事を前提にベターとした。
これが俺の精一杯である。
そしてそれらはひと段落ついたので、俺はゆっくりすることに決めた。
「風呂はいいね」
「ええ、命の洗濯ですね~」
俺は夜空を見上げながら、浸かった湯船で大きく体を伸ばした。
空には真ん丸のお月さまが浮かんでおり、運良く雲がなかったため、その姿をはっきりと見ることが出来た。
普段よりも、月は大きく見えている。
俺と一緒に湯に浸かっているラルーニャは、湯着を着ている。
これぐらいのサービスはしてもいいという事だろう。風呂を作ったあたりでラルーニャが自分で用意していた。
……お湯がぺったりと体に張り付かない、分厚い布の湯着だったけど。
俺たちが入っている風呂は、ガラス工房の排熱利用で沸かしたお湯を使ったものだ。
ガラス炉で発生する熱を利用すると言えば、やはりこれだろうと押し通したのだ。
水路も近くを通しているので、そこから冷たい水を汲んで浴びる事も可能。
他にはサウナも用意した。
こういう事をしているから、休憩用の別館を建てれなかったという説もある。
言い訳をするなら、排熱利用は最初から計画内なので休憩所よりも優先されるというのと、排熱利用であると同時に風呂の湯が火事対策にもなるので消せなかったという話。
当たり前だが、高温の炉を扱う工房では火事が起きやすいのだ。
全力で走り抜けたからか、しばらくはゆっくりしたい気分の俺。
そんなわけで、ゲームの中でゆっくり休む。
リアルはリアルで休むけど、それはそれ、これはこれ。
俺は酒杯片手に、風呂を堪能するのだった。




