ガラス⑤
ガラス成形は、いくつか方法がある。
一つは、砂の型に流し込む方法。
形は歪になるし、型は使い捨てになってしまうので、このやり方はあんまり好きじゃない。村でもやっていない。
ただし、砂の型を使うやり方の歴史はそうとう古い。
吹き竿に巻き付け、息を送り込んで膨らませ、瓶の形にする方法。
俺が最初に思い付くのはこっちのやり方だった。
形が一定にならないんじゃないかという懸念はあったが、これには「型吹き」というやり方があり、形を一定にする方法があった。量産にはこのやり方で良さそうだ。
……形は一定になるけど、瓶の厚みが一定になる訳じゃないので、注意が必要。
あとは、銅を使った型を使う方法、キャスティング法というのがある。
銅の板(型)の上に溶けたガラスを乗せ、ローラーで引き延ばすというやり方だ。
窓ガラスを作るのに適していて、村の窓にはこの方法で作ったガラスを採用している。
銅の型を使えばわりあい気軽にできると思ったら、銅の融点は、1100℃弱。
ガラス炉の1300℃よりも低かった。
実際に炉の中が1300℃でも、ガラスそのものの温度は1300℃に満たない。
だから大丈夫、とはいかない。
熱せられれば歪んでいくし、融点は溶ける温度であって、形を維持できる温度では無い。1000℃もあれば、ぐにゃりと曲がる事もある。
そのため、銅の型そのものに力が加わらないように成形をやらないといけない。
いきなり温度を下げればガラスが割れるから、型を冷やすこともできないのだ。
作業は慎重にしないといけない。
付け加えると、ローラーでガラス板を作ると、ローラーの跡が付くので、研磨作業が必要になった。
目の細かいヤスリで丁寧に磨く。
目が細かいから大きく削れないし、研磨が甘いとそれだけで透明度が下がる。
窓ガラスは採光が一番の目的なので、透明度が大事だ。
本命のガラス瓶は、型吹きで瓶の形にするだけだから、こちらはそこまで苦労していない。
せいぜい、ガラスの厚みで不良品をはね除けるぐらいだ。
技術者の求められる技量は、巻き取ったガラスの重さを手の感覚でどこまで正確に測れるかという点ぐらいになる。資質の方は、熱い部屋に耐えられる体力と気力だけど。
あとは、なぁ。
俺が手を出せる範囲はあまり残っていない。
そのうち、ガラス担当の管理NPCを配備するかどうかを決めるぐらいであった。




