木工系:すでに完了
俺のリアルは会社員である。
会社経営の知識があるし、工場の運営だって小規模であればやってやれないことは無い。
つまりシステム的な面に関しては何の問題も無いのだ。
……システム的な面だけは。
「……それで、何を作ればいいかと言う相談なんですね?」
「すまん」
残念ながら、俺には「何を作ればいいか見極める目」が無い。
ほとんどの一般人がそうだと思うけど、軽い気持ちで「あれなら売れそう」「こんなの売れるんじゃないかな?」という雑談ができるだけで、本気で仕事にしようというレベルのアイディアなど全くない。
会社経営の、根幹となる部分が俺には無い。
こうなってしまえば身動きが取れず、何から始めればいいかもわからない。
指標が必要だという事で、このゲームに出てくるNPCの中でも一番立場が上のラルーニャに相談を投げかけてみた。
自由が売りのVRゲームだけど、何をすれば分からないというプレイヤーのため相談に乗ってくれるぐらいの救済措置はある。
そのラルーニャは、本気の困った顔で俺の方を見ていた。
もしかして、理由はいくつか思いつくけど、何もできる事がないとか、か?
「違いますけどねー?
ただ、もうやっているので、ここから新規にですか? そう思っただけですよ?」
「そうじゃない。外向きの販売がやりたいんだ」
「ですから、もうやっていますよ」
「え?」
ラルーニャに話を確認してみたけど、ここで採れた木材を使い、木工関連の商品をすでに売っていたらしい。
だから、外向けの二次産業は始まっているという。
試しに物を見てみたけど、半透明な塗料でコーティングされた家具がいくつもあった。
完全受注生産らしく、依頼があれば作っている。
依頼が無ければ暇になるが、その時は村で使う家具を作ればいい。
商業規模は小さいが、そこそこいいお金になっているという。
つまり俺の計画は、ちょっとずれているというか、遅れているというか。ラルーニャにしてみれば残念な感じであった。
なにせ、村でやっている事を村長の俺が把握していなかったという事だから。
俺はてっきり、売り物はほぼ農作物だけだと思っていた。
あまり売却物に興味を持っていなかった。
もうちょっと村の事を把握しよう。
俺はそのように反省するのだった。




