錬金術師の道のりは長い
マジックペーパー自体は、ただの経験値稼ぎで作ろうと思っていたものだ。
まずは練習。
そして経験値を稼ぐ。
それ以外を求めるのは雑念だ。当初の目的を見失ってはいけない。
何かが手に入ると、そこから「あれもこれも」と欲を出すのが俺の悪い癖だな。
で、マジックペーパーを全力で作ってみた。
もちろん、並行してスライム退治やその発生原因などの検証もやった。
スライムの発生原因はまだはっきりと断言できないけど、俺の魔法でスライムの発生を防げることが分かった。
俺が魔法を頻繁に使った場所では発生しないが、一定期間、ゲーム内の時間で1ヶ月以上の間を開けると、再び発生するようになる。
他にもそれが畑である事、作物が収穫前まで育っている事なども条件として設定されているのではないかと思っている。
色々と条件は分かってきたので、育てるものを調整しつつ、頻繁に錬金素材を回収できる環境を作り出している。
ただ、そうやってスライム退治に挑戦していても何ともならない事がいくつかある。
「倒せません~」
スライム退治を他の誰かに任せるという部分が、まだ駄目だ。
モブ村民はともかく、NPCならワンちゃんあるかもしれないと、ラルーニャに長柄のハンマーを持たせて頑張ってもらったけど、傷一つ付けられずに泣き言を言われるだけで終わっている。
ハンマーが当たらないならまだ分かるんだけどね。
当たっても傷がつかないんだ。
俺がやれば一発で倒せるんだけど、他の誰かでは無理っぽい。
もしかしたら、そう思ってハンマーの先端をマジックペーパーで包んでみたけど、それも駄目。
何を見落としているのかは分からないけど、いまスライムを倒せるのは俺だけだった。
そして。
「にげられちゃった……」
スライムを捕獲して繁殖させる作戦も、上手くいっていない。
スライムの核の安定供給と言うなら、スライムの繁殖こそ最短・最善のルートだと思う。
そう思ってスライムを捕獲してみたんだけど。
最初は石の箱に入れてみた。
隙間の無い、完全密封が可能な箱だ。
だが、スライムは逃げてしまった。
箱に穴が無いなら開ければいいとばかりに、穴を作って下に逃げた。そしてそのまま二度と姿を見せることは無かった。
次に柵で囲ってみてから、中に餌をやり続けたらどうなるのかを試してみた。
餌がなくなったら、そのまますぐに消える、という事は無かったけど。蒸発するように消えた。
ある程度時間が経つと消えるらしい。
スライム牧場計画は見通しが立たず、何らかのフラグが必要のようだ。
俺のやりたい事はまだまだいっぱいある。
先は長いな。




