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知識の受け皿

「タイヤが木でできていても猫車は便利だな」

「小回りが利くって評判ですよ。でも、すぐに壊れるからもっと頑丈にして欲しいって意見が上がっています」

「製鉄関連、もっと力を入れるべきかね?」

「人手が足りませんよ?」

「だよなぁ」


 俺は携行保存食とは別で、探検に使えそうなものを開発中。

 正直、保存食についてはレシピを提供し味見をする以上の事をしていない。

 料理は門外漢なのだ、俺は。人任せの方が上手くいく。


 で、新しい物を作ろうと色々と「作れそうな物」を考え、実行させてはいるけれど。

 如何せん、人手が足りないという現実に直面していた。





 ネット情報の知識チートは、さわりの情報だけならほぼ無限と言えるレベルで情報が手に入る。

 しかしそれを実用レベルに持っていくには「情報」ではなく「経験」が要求された。

 頭の中の情報ではなく、職人の血肉となった経験こそが大事だという話。


 マニュアルを読んだだけの新人がベテランに敵わないのと同じ理屈である。



 俺が用意した情報をもとに色々と作ってはみるけれど、形だけ再現しても細かいノウハウが足りていない。

 そこは何度も試行錯誤して、経験を積むことでどうにかしていく。


 全く未知の状態からではなく、事前情報がある分だけ開発速度は普通よりも早い。

 でも、ゼロにはならない。



 で、そうやって実用レベルの道具を作っていこうとすると、そこそこ人手が取られる。

 実用レベルになった後も、製作とメンテナンスに人手が必要。

 何かを作るたびに、他の人員が圧迫される。


 もちろん、その新しい道具がある事で他の効率が上がるのは確かなんだ。

 作った方が、作らないよりも、絶対に良い。



 ただ、新しいものが増えると「これ以上人を削れないライン」「特定部署の負荷が高すぎる件」といった問題が発生する。


 人が欲しい。

 とにかく人を増やさない事には、知識の受け皿が足りない。


 これが俺の知識チートの最大の問題点だった。

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