探検④
飯を食べ終わり、しばらくすると、日が完全に落ちる。
もともと森の中で暗かったわけだが、それでも日中は木漏れ日で「ちょっとくらい」程度の環境だった。
夕方、飯を食べている間は竈の火があり、周囲を照らしていたのでその周りだけはまだ明るかった。
だが、その火が消えてしまえば辺りは完全な闇に飲まれる。
木々が星明りを遮るため、普段よりもずっと暗い。月明りも弱々しい。
俺たち人間は目隠しをされてしまうのだ。
だから、火は絶やす事などできない。
周囲を警戒するためにも、竈から移したたき火で視界を確保する必要があった。
人間の目は、闇を見通すようにはできていない。
火を使うと、闇の中ではすごく目立つ。
「動物が火を恐れる」という迷信などここでは信じるに値せず、維持されるたき火はただの目印。野生動物の興味を引くものでしかない。
こうなると危険度の問題で、明かり無しで暗闇の中周囲を警戒させるのがいいのか、たき火で動物をおびき寄せてしまうが明かりのあるところで動物を警戒する方がいいのか。それを選ぶだけだ。
俺たちは明かりを確保して、動物を強く警戒することを選んだわけだ。
まぁ、俺は実際に寝るわけではないので、寝ている間はスキップ処理をするんだけど。
そんなリアリティは要らないし、時間の無駄だ。
翌朝。太陽の光を感じられるようになった頃。
見張り番をしていたモブ村民たちが眠そうにする中で俺は目覚めた。
「うう、たき火に虫が集まって、虫刺されっす」
「この薬を使え。かゆみ止めだ」
「ありがとうっす!」
見張りの数人は、顔に虫刺されの痕があった。
ところどころ赤く腫れあがった顔は、見ているだけで痒そうだ。
俺は用意していた塗り薬を使うように指示を出す。
一応、虫よけの香を使ってはいた。
蚊取り線香の材料にもなる、除虫菊と呼ばれる草を乾燥させたもので、これをたき火に放り込んでいれば多少はマシになるって思ったわけだ。
が、あんまり効果が無かった様子。
気休めというか、一部の虫には気にならないレベルの効果しかなかったみたいだ。
「おにぃちゃん、おはよぉ」
「おはよう。アセリア」
ただ、そのたき火が虫を引き寄せたぶん、俺やアセリアは無事だったようだ。
アセリアの肌に虫刺されの痕は無い。
「ねむいのー」
普段とは違う寝床であったため、疲れが抜けきらなかったのか。
昨日と違い、アセリアは非常に眠そうだった。
やっぱり、よく眠れるベッドは偉大だと思う。




