探検③
草のベッドは湿気っているので、あんまり寝心地は良くない。
それでも地面に直接寝るよりはマシで、薄いけど地面との間に空気の層が出来ていて、体温低下をわずかに防いでくれる。
大事なのはクッション性ではなく、断熱効果なのだ。
この断熱効果の有無で、翌朝の体力の回復度合いが変わる。
何時間も寝るんだ。ちょっとぐらい苦労してでもより良い寝床を求める。
寝床に手を抜くべきではないのだ。
俺たちが寝床を用意していると、いつの間にか飯の準備が終わっていた。
時間が経つのが早いなと思いつつ、肉の焼けるいい匂いのする方に向かう。
匂いに釣られて向かった先では、適当に組まれた竈で肉が焼かれていた。
先ほど解体した猪の肉だろう。実に美味そうだ。
「ちゃんと塩揉みしたっすよ。あと、村長に言われて持ってきた香辛料もあるっす」
「うむ、よくやった!」
今回、食料はそこそこの量を持ち込んだ。
しかし、それはいざという時のために少しは残しておくのが基本だ。保存のきくものを用意したので、保存のきかない現地調達した食料を優先して消費するのは当たり前。
あと、香辛料を持ち込んだのは半分趣味だが、もう半分は実用的な話。
香辛料と言われると料理に使う物だけど、これ、別の言い方もできるんだよね。
香辛料の別名。
それは、漢方薬。
香辛料は医薬品でもあるのだ。
中国には「医食同源」という考え方があり、飯で人の健康を維持する考え方がある。
カレーなどは分かりやすく、使われている香辛料のほとんどは漢方薬である。カレーが健康にいいというのも、あながち間違いではない。
だから香辛料を利かせた料理というのは健康にいいのだ。過剰摂取さえしなければ。
組み合わせとかも考えないと駄目なんだけど、ちょっと単独で使うぐらいであればあまり気にしなくてもいい。
適量というか、料理のアクセント程度であれば、持病でも抱えていない限り、問題にはならない。
「おにーちゃん、これ、おいしい!」
「そうかそうか」
子供に難しい話など関係ない。
ただ、美味しいか不味いかだけだ。
まぁ、香辛料を使うのは、単純に「美味しいから」ってだけでもいいか。
俺は肉に嚙り付くアセリアを見ながら、その笑顔に癒されるのだった。




