探検①
「では、出発!」
「おー!」
準備が終わったのならすぐに出かける、という事で。
翌朝、まだ日が昇って間もない頃に俺たちは出発した。
寝るのが仕事のお子様、アセリア。
この子だけは寝たまま連れて行けばいいかと考えていたけど、アセリアもちゃんと起きていた。
俺が子供のころは、イベント前日になかなか寝付けず翌朝が辛かったんだけど。
俺よりしっかりしているな、この子は。
最初こそ海岸沿いに進んでいた俺たちだが、昼を回ったあたりで森の中を進むことになった。
そうなると方角は太陽が見える場所を探して、そこで確認するしかなくなる。
あとはこれまで進んできた道を振り返りつつ、方角を確認するぐらいか。草を刈り木の枝を払っていれば獣道ぐらいはできるのだ。
方角を確認するアイテムで最初に思いつくだろう磁石はまだ無い。
作りたいけど、それを作る前提条件が足りていないのだ。金属加工技術が未熟すぎる。
コイルというのは、かなり加工が難しかった。
あの巨木は木々の上からは目立つけど、木々の下にいる俺たちから見えるものでもない。
あの巨木なみとまでは言えないけど、数10m級の木々が生えている中では空の先など見通せない。
木を登って、などと言い出す気にもならないほど、緑の天蓋は遠い。
もっとも、それは悪い事ばかりではない。
日の光が差し込まないから周囲はそこまで暑くならないし、木々が調整しているのだろうか湿度も低めだ。
フィトンチット、だっただろうか? 木々が出す森の匂いが精神に良い作用をもたらしている。
森林浴をするには良い環境だ。
だがしかし、それは荷物が少ない時の話。
一人10㎏もの荷物を抱えながら歩く今は、疲れにくい環境に感謝はするけど、そこまでお気楽ではいられない。
足場の悪さなども影響して肉体が疲弊し、徐々に休憩も長くなる。
そうして森に入り、3時間ほど。
当初の予定と違い目的地にたどり着いていないが、やや開けた場所で俺たちはキャンプをすることにした。




