教育
「んじゃ、あとの教育は任せた」
「うっす!!」
使いこなせれば便利だけど、使いこなすまでに時間のかかる図面。
俺はこれを一人のモブ村民に教え込み、あとの教育を教えた奴に全部任せることにした。
「ああ、お前は作業から外れていい。教わっている奴も同じだ。
学ぶことを優先してくれ」
「いいんすか?」
「当然」
あと、学習に労力を惜しまないようにも言い含めておく。
中途半端な戦力は要らん。ちゃんとした知識で動ける奴が欲しいからだ。
長期的に見た場合、その方が絶対に効率がいいのである。
しかし、この効率追求のスタイルは、現実ではなかなかできない。
実際には熟さねばならない仕事っていうのがあるし、仕事が自社だけで完結しておらず、顧客の事まで考えると納期などを死守しないといけない。
残念ながら、リアルの会社って奴は効率よりも目の前の仕事、常に即戦力を求めてしまう傾向にある。
自社の都合で仕事を遅らせれば顧客から次の仕事が入ってくるか分からないし、そもそも仕事を受けなければいい、なんて話も通用しない。
やってほしい仕事をやってほしい時にやってくれる会社が大事なのだ、顧客の方も。
しかし俺がやっているのはゲームなわけで、取引相手はたまに来る商人で、村の外。
村というか島の外はあまりきちんと設定されておらず、こちらの仕事が遅れたからといって何かペナルティがあるわけでもない。
こちらが欲しい物は欲しいだけ買えるし、売れるものなど全く無いと言ってしまっても問題にならない。
在庫管理の概念があるゲームというのも存在するが、このゲームにそれは無い。
あるとすれば相場関連ぐらいで、売り過ぎれば安く買い叩かれるようになるし、量が少ないものは貴重で希少で高くなる。
リアリティ薄めのゲームというのは、気楽でいい。
船のコピーはこれでいいとして、俺たちは魚ではない海の幸を堪能する事にした。
「潮干狩り~、潮干狩り~」
「バターで炒めましょうか?」
「貝……貝なら、ええ、大丈夫ですよ…………」
海に出れずとも、海岸で貝を漁るぐらいはできる。
初めての潮干狩りにアセリアは楽しそうで、ラルーニャは獲れた貝で何を作るか考えている。
レーラは、うん。海そのものが駄目なのか、テンションが低い。
「ここに来るとき……船が揺れて……」
「大丈夫だって。船にも乗らないし、海にも入らない」
「そうなんですけど……」
レーラは船酔いがトラウマになっているようだ。それと紐づけされて海まで駄目になっている、と。
潮の臭いが駄目って事か。
テンションの低いレーラにみんなでフォローを入れつつ、潮干狩りを決行。
この日は大量のアサリを手に入れ、酒蒸しにして食べた。
俺は魚や貝が好きだ。
そんな俺には改善点がいくつも思いつくような味であったが、それでも酒蒸しは美味かった。
そのうち、酒の改良もしたくなるな、これ。




