刺し網漁
刺し網漁に使う網は、そこら辺の森に生えていた蔦や背の高い草の繊維を編んで作った縄を網状にしたもの。強度の方はお察しである。
たまにデカい魚が通り抜けたと思わしき穴もある。通り抜けたのか、かかっていた魚を食べたのかは知らないが。
刺し網の固定の方法は、今のところは俺がやっている。
「『ピット』『ピット』『ピット』、網を設置して、『モールド』『モールド』『モールド』」
回収の時も俺が来るけど、俺の作った穴に網の先端、石を括りつけた部分を入れてから固めておけば、流されるという事は無い。
たまに根元から破られることがあるけど。
網の上の方にはブイ、浮きになる物が付けてあるので、網の固定は下だけでいい。
網の固定の仕方が「刺し」というより「埋め」だけど、捕れる魚が「刺さって」いるから刺し網漁である。
「それにしても、デカいよなー」
「おっきなお魚さん! おいしそう!」
ラルーニャは魚が嫌いではないが好きでもなく、そこまでこだわらないが、アセリアの方は魚が大好きだ。残るレーラは魚が駄目と、好みがはっきり分かれている。
魚を引き上げてくると、最初にやってくるのは必ずアセリアだ。
まぁ、アセリアには固定の仕事を与えていないというのも理由の一つだが。
そのアセリアは、自分より大きな魚、カンパチを見てはしゃいでいる。
カンパチはアジの仲間で、夏の出世魚。80㎝を超えている事が条件になり、大きく、重い。
抱えようとしたアセリアだが、持ち上がらず、顔を赤くしてうなっていた。
楽しそうに魚を抱えようとするあたり、本当に物怖じしない、いい子だ。目が怖い、うろこが駄目、生臭いのが駄目と言う連中は見習ってほしい。
なお、捕った魚については『サーマル』の魔法で限界まで冷やしてある。
凍るほどではないが、魚が痛むまでの時間は稼げている、はずだ。
魚が傷むのには移動時間の問題があるけど、そこも追々、改善していきたいな。
「おにーちゃ-ん! もってー!」
「おう! 任せろ!」
持ち上げようと頑張っていたアセリアだが、力尽きて諦めた。
しょうがないのでフォローに向かう。
魚の分布をまとめておきたかったけど、それは後回しだ。
今は妹分のご機嫌を取るとしよう。




