魔法応用(下)
現在、設置魔法の検証をしている。
『ピット』の魔法は落とし穴の魔法。
この魔法だけ、他と違う事に気が付いた。
使える魔法は8種類。
初期魔法『ライター』『ウェット』『ウィンド』『モールド』と新しく覚えた『サーマル』『アクア』『サイクロン』『ピット』となる。
『ライター』『ウェット』『ウィンド』『アクア』『サイクロン』はそのまま魔法効果が持続するだけ。
火を出し続ける、物を湿気らせる、風を送り続ける、水を出し続ける。
俺が「使い続けている」という感じだ。
『モールド』と『サーマル』は現状維持。
『モールド』では固めた物を壊そうとしても、壊れず固めた物が元の状態を維持する。土限定だけど、不壊属性の付与みたいな物だ。戦闘系ゲームなら公式チート案件だ。
『サーマル』は決めた温度になろうとするため、元が20℃の物を30℃に変えたとして、そこから火や氷で温度を変えようとしても30℃であり続ける。
こちらは「俺が最初に指定した状態を維持し続ける」わけだ。
「同じ条件を使い回す」「何度もかけ直す」ではなく「状態を維持する」という、強い魔法だと思う。
では、『ピット』はどうかというと、これは「一定時間ごとにかけ直し続ける」という、謎の仕様だった。
穴掘り魔法の『ピット』は、土を掘るだけの魔法。
掘った土は脇にどけられ、消えたりはしない。
で、これを応用すると、建築現場や畑で地面の水平が出せるようになる。
水平を出すのはとても大変で、地面が斜めだと、人間の感覚の大半は狂うと言われている。かなりシビアに測量をして、水平を保証してから作業を始めるわけだ。
リアルだと、本当に僅かなズレも許されない。
魔法で水平を出した後だと、建物も畑も、それだけでレベルが1つ上がる。
それぐらい、凄い。
「穴掘りじゃねーよ!?」と突っ込みたいが、便利だから、いい。
これを持続型にすると、最初こそ前者の5魔法と同じ扱いだと思っていたが、ちょっと違う事に気が付いた。どちらかといえば後者に近い魔法だった。
『ピット』は「1cmの深さで穴を掘る」ではなく、「この深さまで穴を掘る」と言う指定をする。
これは延々と穴を掘り続けさせ、10mでも20mでも穴を掘り続けると言った事が出来ないようにする制限だったと思われる。
土を掘った後、そこに土を入れる。
指定した土捨て場に土が移動する。
土以外でも、土に類する物なら効果の範囲内。
土以外の、例えばニワトリなどは効果の対象外。ミミズは一緒に移動するのにね。
当たり前のように、建造物も対象外。敷き藁なども以下同文。
じゃあ、鶏糞は?
堆肥にしてからとはいえ、鶏糞は土に混ぜ込む物だからか、「土に類する物として扱われる」ようだ。
つまり『ピット』の効果範囲内。
自動で運ぶ事が可能。
まさかの、鶏糞自動搬送が可能だった。
ここまでくると、「穴掘りってなんだろう?」と思う。
確かに鶏糞もスコップで掬って運ぶけどさ……。
深く考えても結論は出ないし、俺はこの件について考える事を止めた。




