魔法応用(上)
送風以外は普通に仕事を手伝い、鶏舎の様子を見る。
残念ながら、改善はかなり難しそうだ。
リアルもそうだけど、動物が糞をする場所っていうのは制御しにくい。
よって、鶏舎全域が糞まみれになり、それが当たり前の環境になる。
これを清掃しないと、当然のようにニワトリは病気になる。密集させて育てるから、いろんな原因で病気になりやすいんだ。
一般的なニワトリ、安いブロイラーはお薬入りの餌を食べる事で病気対策をするわけだけど、こっちでそんな事をしたくないし、できない。
床掃除さえ頑張っておけばなんとかなるので、人力でどうにかするしかない。
床掃除を機械化・自動化は無理でも省力化できれば良いんだろうけど、まぁ、無理だろうね。
俺に思い付く物が無いし、ネットにも良い情報がない。
使い勝手の良い情報がない時の俺など、こんな物だ。
せめて、もっと使える魔法があれば良いんだけど。
それを期待するのは虫が良すぎるだろう。
――そんな風に、思っていた時期がありました。
「お。魔法が増えた」
それに気が付いたのは、強請られて風を吹かせていたときのことだ。
鶏舎に来ればニワトリたちは「風をちょうだい」と強請ってくるので、いつものように風を吹かせていた。
すると、『魔法のレベルが上がりました』というアナウンス。
あ。
魔法は一括管理されていて、どの魔法を練習していても、属性に関わりなく育っていくよ。
とにかく、使い続けた事で、使える魔法の幅が広がった。
「持続設置型魔法……これはまた、タイムリーなものが」
できるようになったのは、新しい魔法と、魔法の応用技術。
対象を加熱する・冷却する『サーマル』。
今度はちゃんと水を生み出す『アクア』。
つむじ風を作る『サイクロン』。
穴を掘る『ピット』。
これら4つの魔法に加え、魔法を設置する技が手に入ったのだ。
魔法の設置は簡単で、範囲を指定し効果を決めるだけ。
制限は、魔法を設置している間は自分で魔法が使えないという事と、魔法のオフはどこでもできるけど、魔法を設置する時は必ず俺がそこに居ないといけない事。
さらに頑張れば複数の魔法を設置する事もできるらしい。
撤去自由で、使った魔法をそのまま置いておけるようになっただけ。
俺の認識はその程度だ。
だが、これで格段に便利になった。
これまでは俺を中心に風を吹かせていた為、ニワトリたちは俺の後を付いてきた。
が、設置してしまえばいいのなら、俺の後を付いてくるニワトリはいなくなる。
魔法の風目当てなので、すぐにその事に気が付くだろう。
ニワトリが足下に居ると怖い事も多かったけど、これで足下を気にしなくても良くなる。良い事だ。
嫉妬したラルーニャがどうこうという理由は無い。絶対にだ。
この時は風の問題ばかり気にしていたけど、もっと便利な使い方があるのに気が付くのは、後日の話。




