魔方式お手伝い
「家畜の世話に、変な要素はありませんよー」
ラルーニャは俺の手伝いたいという発言後に、釘を刺した。
家畜の世話に一家言のある彼女の言葉ではあるが、俺はそこに真っ向から反論してみせる。
「主に餌の調整はできるだろう?
ニワトリであれば大豆と穀物中心の餌を与える事で卵の産みを良くするとか、そういった改善はできるはずだ」
「もうやってますし? あ~、これ、今のお世話についてまとめたものですよー」
ラルーニャは俺に対し、動じる事無く言い返す。
そりゃあ、相手は専門家様だ。素人が考えるような事はすでにやっているだろうが。
そう思って資料に目を通すが、実際、ラルーニャは頑張っているようだった。
与える飼料は大豆や小麦を中心にしており、一部の鶏舎には海藻類を混ぜてヨード卵にするなど工夫している。
環境にも差を作る事で特殊進化、新品種を作ろうとしていた。
主に水辺に鶏舎を置いた種類と、森の近くに鶏舎を置いたもの。
ある程度の放し飼いをする事で運動量を確保すると共に、適応進化を促進している。
現状ではまだ結果が出ていないが、ニワトリは半年もあれば世代が一つ変えられる。
つまり、もうそろそろ結果が見えてくる頃だった。
ラルーニャが俺に釘を刺すわけである。
このタイミングで俺が何かすると、これまでの苦労がご破算になりかねない。
だからといって、俺が何もしないというのもありえない。
俺は俺で、色々調べてきたのだ。
魔法使いにしかできない、そんな技を見せてやろう。
「それで、送風ですか?」
「ああ。ほとんどの家畜小屋は換気に気を遣っている!」
俺がやってみるのは、排熱を兼ねた送風・換気だ。
調べてみると、夏場の冷房を含め、獣舎には空調用インバーターが使われているらしい。
冬場だと霜対策にもなっているとか。
できれば魔道具に落とし込みたいが、今は無理。人力である。
それでも俺が風を送れば、ニワトリたちは気持ちよさそうにして、鶏舎から出て行こうとしなくなる。
風を送り込むというのは、ニワトリたちにとって心地よい行為であると証明された。
「う~ん。思っていた手伝いと、全然違います」
効果はあるが、ラルーニャは困惑気味である。
まぁ、普通はこんな事をするとか、想像してないだろうから。
鶏糞運びとかそんな手伝いを期待していたんだろうね。




