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ブランド化③

 売りに出すにしても、まだ島ブランドの小麦は普通小麦と大差ない。

 売却利益の方はそこまで変わらない。


 後は名前を付けてくれと言われた。

 名前が無いと面倒なんだけど、良い名前なんて簡単に思いつくものでもない。

 俺にセンスを求めるな、と言う話だ。


「じゃあ、強力粉の方を『テティス1号』、薄力粉の方を『ダイアナ1号』という事にするか」

「名前の由来を聞いてもいい?」

「どっちも女神の名前」


 それぞれ、海の女神と月の女神だ。

 読み方については気にしないで欲しい。知っている女神のバリエーションはそう多くない、複数の言語で誤魔化す気でいる。





 名前が付いてもやる事は変わらない。

 ただ、同じ環境を用意しつつ育てるだけ……ではない。

 ちょっと、育て方をシャッフルしてみることにした。


「肥料多めのテティス、ダイアナそれぞれ継続して同じ環境で育てるとして。

 肥料多めでダブった畑にダイアナを蒔いて、没にした強力粉の方の畑にテティスを蒔いてみよう」


 環境が変わって変化するのは理解した。

 なら、一回変化させてモノに対し、さらに環境を変える事で新たな可能性が見えてくるというのはあり得ないだろうか?



 また、それはそのうちになるけど、テティスとダイアナを交配させて新しい小麦が出来ないかを試したい。

 交配による新種っていうのは、出来るだけ同じ品種で10世代ほど続けた後にやると品質が安定するらしい。


 テティスもダイアナも、出来たばかりの品種だ。

 10世代も待たなくても5世代ぐらいで何とかなるかもしれない。

 そのあたりは追々試してみればいいだろう。


 上手くすると、二つの品種からかけ離れた小麦が生まれるかもしれない。





「あら?」

「どうした?」


 小麦の新品種についてラルーニャと二人で語り合っていると、ラルーニャは何かを思い出し、不思議そうな顔をした。


「そういえばー、旦那様って、魔法で水やりをしていませんでしたか?」


 ラルーニャの何気ない指摘に、俺の頬がひきつった。

 その反応だけで事情を察したのか、ラルーニャは押し黙る。



 俺は魔法による水やりで何らかの変化が生まれると思っていたけど、なーんの変化も無かった。

 無駄手間である。


 小麦だけで結論を出すのは早計だが、それでも小麦に魔法で水やりと言うのは、意味が無いという結果が出た。

 せめて、ちょっとぐらいの変化は欲しかった。


 我が儘を、言い過ぎなのだろうか?

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