ゲーム内宗教①
たくさんの建物を壊し、道を敷き直し、区画を整理した。
あとは箱、建物を造っていく訳だけど。
「3階建て……成長したなぁ」
「だけど、住むには怖いですねー」
「たかーい!」
住人の住む場所の一部が3階建てのアパートのような建物になった。
何気に、モブ町人(元村民)の建築技術がレベルアップしていた。
壁には石を多用するけど、床材は木材がメイン。
これまでは平屋がほとんど――2階建てぐらいならそれなりの数があった――なので、3階建てはとてもインパクトがある。
俺はその出来に満足していたが、あとで調べると、じつは技術開発ペースとして俺の町の建築関連は非常に遅く、未熟である事を知る。
「宗教かぁ」
俺はこの大きな問題に、大きく頭を悩ませた。
建築史を紐解くと、宗教色が非常に強い事がよく分かる。あとは戦争関連。
その関係を忘れていたのだ。
戦争関係は横に置く。
このゲームとは無関係だから。
しかし、宗教関連はそういった縛りが弱い。
歴史的に有名な建造物のほとんどが「王様の墓」「宗教施設」「城」となる。
「王様の墓」はある意味では現人神ということで、「宗教施設」の一部と言っても過言では無い。「城」は戦争関連なのでパスするとして、過去の重要な建築物というと、宗教色が非常に濃い。
日本で言えば古墳、寺や神社などが有名だ。
古墳の大きさは言うに及ばず。寺の方も法隆寺の五重塔から東大寺のような物まで色々とある。
西洋なら神殿・教会・大聖堂と名の付く建築物がいくつもある。それこそ一々名前を挙げていけばキリが無いほど保護・保全されている。
例外的な話をすれば、古代ローマの町並みや水道橋などが残っている。
これらは宗教色より生活色の方が強いけど、その素晴らしさから名を知られている訳だ。
……コロッセオは悪名だろうが、ね。
何が言いたいかというと、宗教を町に持ち込むかどうかという話。
メリットとして、宗教を持ち込んだ場合は住人の心の安定と建築技術の向上が見込める訳だ。
宗教建築物により建築技術が成長し、出来た場所に住人が向かう事で精神的に安定する。識学率も上昇する。
それに、宗教を持ち込む事で各種イベント、お祭りが発生するようになる。ここは是非抑えておきたい部分だ。
デメリットは特にない。
宗教関係者がいると汚職が増え腐敗するとかいうのは現実の話。ゲームでは単なるフレーバーだ。
金の無心というか、お布施の徴収は発生するが、メリットの代金と考えれば適正価格。町の規模にもよるが、そこまで多額では無い。
ゲームのシステム上、政治的な対立関係にもならないので、宗教家が俺に刃向かうといった展開も無い。
マニュアルにちゃんと明記されていた。
……リアルの、過去の宗教家がいかに国や政治に悪影響を及ぼしてきたかよく分かる配慮だな。
そしてどんだけ宗教嫌いだ、俺。よくこれまでこのゲームの宗教から目をそらしてきたな。
俺は、「よし」と覚悟を決める。
ちょっと前に町に昇格したので、これはいい機会だ。
俺は、町に宗教を持ち込む事を決めた。




