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言論の自由

作者: 樹村 綾人

「いまの我が国の閉塞感は耐えがたい。誰もが言いたいことを自由に言える世の中であるべきだ」


 ある著名人がSNSで発言し、それは瞬く間に周囲の賛同を集めた。


「たしかに。少しでも人と違ったことを言えば炎上し再起できなくなるだなんて、決して健全な社会とは言えない」

「ネット上くらい自由でありたいのに、つねに攻撃的な誰かに監視されているような気がしてしまう」

「思ったことを素直に言える、言論の自由が当たり前に保証される世の中になってほしい」


 そうした賛同の声とともに発言は拡散され続け、やがて10万人以上の人がSNS上で「いいね」ボタンを押した。

 ちょうどそのころ、発言に対し、新たな意見が1件投稿された。


「しかし、時と場合によっては、自由にものを言ってはいけないときもあるのではないか。自由な発言が他者を傷つけてしまうことはないだろうか」


 反対意見とも取れるこの声には、すぐさま抗議が殺到した。


「その発言がすでに私たちを傷つけている。言葉の暴力だ」

「10万ものいいねを集めた声を否定するとは。民意とずれていることを自覚しろ」

「逆張りしたいだけの屑。ネット上だからって何を言っても許されると思うな」


 言論の自由を重んじる人々の一致団結した抗議の結果、反対意見は無事にアカウントごと消去された。

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