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色のない世界。

作者: Ruth@くらいまっくす

折原(おりはら) 麻里奈(まりな)···中学2年の視覚障害者の女の子。小学校時代のクラスメイトによる悪質ないじめにより心の中に2つに別人格がある。ラグエルとサマエルとの会話シーンは心の中のため見える設定。

麻里奈(幼)···麻里奈の小学生時代。目が見えないことについてコンプレックスを抱えている。

ラグエル···麻里奈の別人格の1人。麻里奈の傷付いた心を癒してくれる存在。麻里奈曰く天使。

サマエル···麻里奈の別の人格の1人。麻里奈が現実逃避をしようとする度にきつい言葉を投げ掛け戻そうとする。麻里奈曰く悪魔。

水谷 あかり(みずたに あかり)···麻里奈の現クラスメイト。男女問わず誰からも好かれている。現在、麻里奈の学校で1番仲がいい存在。

内山(うちやま) 慎司(しんじ)···麻里奈の現クラスメイト。正義感が強い。かなりのイケメンで女子の注目の的。

赤坂(あかさか) 礼子(れいこ)···麻里奈の現クラスメイト。クールな性格で人を寄せ付けない。麻里奈にのみ優しい。視覚障害者の姉がいたが、いじめで亡くなっている。

凉音(すずね)···あかりの仲良しグループの一員。女子力が高めの努力家。

梨咲(りさ)···あかりの仲良しグループの一員。スポーツ万能で、あかりには劣るがそこそこの人気者。関西弁。

佳衣(かえ)···あかりの仲良しグループの一員。学級委員で、物事ははっきり言うタイプ。

A~D···麻里奈の小学生時代のいじめっ子たち。

先生···一般的な教師。

モブ生徒···その名の通り、モブ。

【Scene1】


麻里奈の自室にて

麻里奈(幼)、ベットに入り母親が読み聞かせる本を聴く

母親、フェードイン


母「お姫様は思いました。『私は世界一不幸な女の子だわ。ここに一生いるくらいなら、いっそのこと死んでしまいたい。』悪い魔女は、そんなお姫様を見て言いました。『私はお前が憎い。私が必死の思いで手に入れた王子の微笑みをいとも簡単に奪い去ってしまうなんて···。許せないわ‼せいぜい苦しみもがいて死ぬがいいわ‼』」

麻「ひどい···。何でそこまでされなきゃいけないの?」

母「そうね。でも大丈夫。悪いことをしたら、必ず後で倍になって帰ってくるのよ。」

麻「本当?」

母「ええ。悪い魔女はお姫様に向かって呪文を唱え始めました。『カルダ·ルークス…』と、その時です。白馬に乗った王子様が城の窓を突き破って中に入ってきたではありませんか。『姫‼助けに来た‼もう大丈夫だ‼悪い魔女め、よくも姫にこんな真似を‼こうしてくれるわ‼』と、王子様は勢い良く悪い魔女に切りかかりました。バランスを崩した悪い魔女は王子様の剣を防ぎきれず、真っ二つに切り裂かれてしまい、死に際に一言、『···わ、私に、その美しさがあれば···。』と言い残し、跡形もなく消え去りました。」

麻「すごい‼王子様かっこいい‼それでそれで!?」

母「そうして、悪い魔女が消え、世界に平和が戻りました。その後、お姫様は助けてくれた王子様と結婚し幸せに暮らしましたとさ。おしまい。」

麻「良かった!これでお姫様も世界一幸せな女の子だね!」

母「そうね。日頃から良いことをしている人は誰だって幸せになれるのよ。」

麻「···麻里奈も?」

母「もちろんよ!」

麻「でもさ、麻里奈、お目目見えないんだよ?」

母「人には誰でも欠点があるの。麻里奈はたまたま目が見えないっただけ。麻里奈にも、いつかきっと素敵な王子様が現れるわ!」

麻「本当に?」

母「ええ、本当よ。」


話し声、フェードアウト


【Scene2】


麻里奈の自室にて

麻里奈、壁を伝い、ベッドへ倒れ込む

枕元においてある本を片手に持つ


麻「はぁ(ため息)。···王子様、ねぇ。そんな人いるわけないじゃん。私は今のままで十分だし、居場所もある。そうでしょう?···って、誰に聞いてんだかw」


一旦照明を落とし、その間にラグエルとサマエル登場

麻里奈はラグエルとサマエルは見えている設定


ラ〈麻~里ちゃん‼〉

麻「うわ‼ってラグエルか。ビックリしたぁ。」

ラ〈ウフフ、ごめ~ん。つい!ちなみにサマエルもいるよ。〉

麻「そう。」

ラ〈あれれ?元気ないみたいだけど、どうかしたの?ラグが相談のるよ?〉

サ〈はぁ(ため息)。元気がないのはいつもの事だろう、気にするだけ損だ。〉

ラ〈はぁ!?何それ‼そこまで言わなくたって良いじゃん‼〉

サ〈そこまでって言うほど言ってねぇよ。それに、事実だろうが。〉

ラ〈も~う‼〉

麻「ラグ、もういいよ。」

ラ〈よくないよ‼サマったら麻里ちゃんのことたいして見てないくせしてこんなこと言っちゃって‼酷いよ‼〉

サ〈こいつのことをよく見てねぇのは手前の方だろうが!いつもいつも甘やかしてばっかりで、『麻里ちゃんは悪くない』~だの、『麻里ちゃんの味方だよ』~だの。慰めるだけで全然解決してねぇじゃねぇか‼〉

ラ〈違うもん‼解決してるもん‼〉

サ〈してねぇからこうなってるんだろうが‼」〉

麻「だから、もういいって。」

ラ〈麻里ちゃん‼サマに言ってやってよ‼解決してるって‼〉

麻「うるさい‼もういいって言ってるでしょう!?」

サ〈はぁ(ため息)。〉

麻「私は疲れてるの。早くご飯食べてお風呂入って寝たいの。それなのに喧嘩とか勘弁してよ!」

ラ〈ご、ごめんなさい。〉

サ〈っつーかさぁ、だいたいお前が直せば良いだけの話だろ。サマもラグも、お前自身が作り出した人格であってこの会話も全てはお前の妄想に過ぎねぇんだからよ。辛い辛いって言っても慰めてくれる人がいないからサマたちを出出して自己満足s〉

麻「うるさい‼何度言ったらわかるの!?さっさと消えちゃってよ‼」

サ〈はぁ(ため息)。はいはい。〉

ラ〈サマエルは言い過ぎなんだよ‼もう‼〉

サ〈ちっ(舌打ち)!〉


一旦照明を落とし、その間にサマエル退場


ラ〈ごめんね、麻里ちゃん。サマはあんな事言ってるけど、ラグは麻里ちゃんの味方だからね?だから安心していいよ。どんなことが起ころうとも、絶対に裏切らない。ラグは、ずっとず~っと、友達だもん‼〉

麻「···友達?」

ラ〈うん‼友達‼サマの言うことなんて聞かなくて良いから‼信じちゃダメだから‼ね?〉

麻「う···ん。わかっ···た···。」

ラ〈よっぽど疲れてたんだね。おやすみ、麻里ちゃん。ラグの麻里ちゃん。ウフフッ!〉


照明、フェードアウト


【Scene3】


回想シーン(麻里奈の夢の中)にて

照明はピン

麻里奈(幼)、教室のすみにうずくまる

A~D、麻里奈(幼)を囲む


A「えいっ!」


A、麻里奈(幼)のランドセルの中身をぶちまける


A「目が見えないって、大変だよね!」

B「今自分がどんな状況におかれてるのかもわからないんだもんね~!」

C「マジそれな~w」

麻「べ、別に、全盲じゃないし!ちょっとは見えるし!···ぼやけてるけど。」

D「一緒だろw」

A「大草原不可避w」

麻「──て。」

B「え?何て?」

麻「やめてよ!こんな事して楽しい?」

C「そんなん決まってるじゃんw」

D「楽しい人~!」


A~D、一斉に手を挙げる


A~D「は~い‼」

麻「えっ。」

A「当たり前じゃん。自分より弱いものをいじめて優越感に浸る。もう、さいっこう‼」

B「ハハハw相変わらず性格悪いよねw」

C「ここにいる皆そうだよ。もちろん、見て見ぬふりをする奴らもね!」

D「ヤバいヤバいw腹筋が崩壊するわw」


通行人、麻里奈を見ぬふりをして通りすぎる


麻「(鼻をすする)う"ぅっ!だ、だすけで···。」

D「見てみて!泣いてるしっ!何言ってるかわからへんw」

B「ほらほら!もっと言いなよ!『だずげでー』ってw」

A「ヤバw似てるんだけどw」

C「まぁどれだけ言っても助けてくれる人はいないけどね~。」

D「皆自分がいっちゃん大事やもんなぁ!」

麻「···もうやだ。誰か、助けてよ···。」

A~D「(爆笑)www」

麻「お願い‼」


暗転

A~D、暗転後も笑い続けるが徐々に小さくする

次のシーンで麻里奈が起きたらストップ


【Scene4】


朝っぽい音はするが、まだ暗い


麻「助けて‼誰か‼」


麻里奈、急に起き上がる


麻「···え、朝?···またか。もう!朝から最悪な気分だよ。っていうか、あのまま、寝ちゃった?···はぁ(ため息)。」


父、一階から声をかける


父「麻里奈!朝だぞ!できる範囲でいいから準備しなさい!」

麻「は~い。」

父「今日は仕事が早いから兄さんに送ってもらってくれ。」

麻「うん、わかった。」


兄、扉の外から声をかける


兄「麻里奈、昨日飯食ってないだろ。大丈夫か?」

麻「大丈夫、じゃない。お腹すいた。」

兄「もうすぐ7時だから、急ごう。ここで待ってるから早めにな。」

麻「うん。」


一旦照明を落とし、その間にサマエル登場


サ〈あの夢を見たくなきゃ現状を変えなきゃ意味ねぇんじゃねぇの?〉

麻「自分で出来れば既にやってると思うけどね。」

サ〈···気持ちの問題だな。〉

麻「は?」

サ〈そういやぁお前昨日、今のままで十分だって言ってたよなぁ?〉

麻「言ってたけど、だから何?」

サ〈自分に嘘つくなよ。〉

麻「ついてないし。」

サ〈···本当に回りの友達とやらが自分の事を友達として見てると信じてるのか?利用されてるとか思ってるんじゃないのか?〉

麻「思ってないって。もう人間不信じゃないから、大丈夫だから。そこまで疑う必要ないもん。」

サ〈何故言い切れる?〉

麻「···急いでるの。朝っぱらからやめてよ。」

サ〈本当は逃げてるだけだろ。〉

麻「な!?」


一旦照明を落とし、その間にサマエル退場


麻「んん、もう!」

兄「どうした?何かあったのか?」

麻「え?べ、別に。何でもない。すぐ行く。」


麻里奈、壁を伝って扉へ行き、外へ出る


【Scene5】


学校の教室にて

モブを配置し、ざわざわさせる

教師に連れられ、麻里奈入室


慎「おはよう、折原!」

麻「え?あ、うん。おはよう!」

慎「まさか、俺が誰だかわからないってか?w」

麻「え?そ、そんなことないよ‼えっと···。」

慎「気にすんなw内山慎司だよ、よろしくな!」

麻「うん!よろしく、慎司くん!」


慎司、友達に誘われ別の場所へ


あ「おっはよ~!麻里っぺ!」

麻「おはよう、あかりん!」

凉「あ!麻里ちゃんおはよ~!こっちだよ!荷物持つね。」

麻「ありがとう、凉音ちゃん!」

梨「ほんますごいわ!麻里奈って声で誰だか聞き分けてるわけなんやろ?」

麻「まぁ、全部が見えない訳じゃないけど、そうなるね。

佳「それでもすごいよ!私じゃ到底無理かなぁw」

麻「目が見えないと頼れるのは耳ぐらいだから自然と能力も上がっていくんだよね。」

あ「へ~、そうなんだ!って、今日時間割早い日じゃん?さっさと席着かんとヤバいよ。」

麻「マジかぁ。」

凉「麻里ちゃん、こっちこっち!」

麻「うん!」


麻里奈、凉音に引かれ席に着く

チャイム音

先生、登場


佳「規律!」


生徒たち、バラバラと立つ


佳「気をつけ···礼。」


生徒たち、微かにずらして気だるさを演出


皆「おはようございます。」

先「おはよう。」


生徒、先生の声に返答する者もいれば、返答しない者もいる


先「今日は、昨日も言ったが時間割がずれて、通常より10分早くなる日だ。覚えておくように。じゃあ、プリント配って。その間に出席とるぞ。」


先生、適当に名前を呼ぶ

生徒、それぞれの性格を作り答える


礼「折原さん。はい、プリント。ここに全部まとめておくね。」

麻「あ、ありがとう。いつもごめんね。」

礼「え?あ、あぁ。いいよ、別に。慣れっこだから。」

麻「ごめん。」

礼「あぁ、いや。そういう意味じゃなくて。」

麻「もしかして、赤坂さんって視覚障害者の知り合いいたりするの?」

礼「···あぁ···うん。いたよ。」

麻「そっか。」

先「折原。」

麻「え?···あ!は、はい!」

礼「あのさ、何かあったら頼ってね。絶対···とは言えないけど、力になるから。」

麻「うん、ありがとう。」

先「よし、全員いるな。今日の連絡は先程した通りだ。以上。」

佳「規律!」


生徒たち、バラバラと立つ


佳「気をつけ···礼。」


生徒たち、微かにずらして気だるさを演出


皆「ありがとうございました。」


先生、退場

チャイム音


あ「麻里っぺ!体育だから急ごっ!」

麻「あ、そっか!そうだね!あ、ちょっと待って!」

凉「ちょっとならいいよ~。」

麻「あの、赤坂さん!」

礼「···何?」

麻「あぁ、えっと。さ、さっきの事なんだけd」

礼「(遮って)折原さんごめん、急がなくちゃ。」

麻「あ、うん。ごめん。」

佳「ちょっと赤坂さん!それはひどくない?別にちょっとぐらいいいじゃん!」

礼「は?今言ったでしょ。こちとら急いでんだよ。」

梨「何なん?感じ悪っ!もうええやん、はよ行こ!」

麻「うん。」

あ「あんま気にしなくていいんだよ?」

麻「そうだね、わかった!」


4人、雑談しながら退場


【Scene6】


体育の授業にて

麻里奈、見学のため体育倉庫の壁にもたれて座っている

生徒たち、体操をする(実際には出なくて、声だけでも可)


麻里奈「さっきの、赤坂さんの『いたよ。』って、何だろう。いたってことは、過去形だし···今はいない?って、考えてもわかんないか。···あ、体操、終わったのかな。」


あかり、凉音、梨咲、佳衣の4人、体育倉庫に入ってくる

麻里奈、壁越しに話を聞く


梨「なぁなぁ。ウチ、前から思っとったんだけどさぁ。あかり、何であんなのとつるんでるん?」

あ「あんなのって?」

梨「決まってるやんけ、深海魚のことや。」

佳「っぷっ!深海魚ってw」

梨「あんま変わらへんやろ?目ぇ見えへんし、ずぼらやし、ブスやし?w」

凉「それって、麻里ちゃんのこと?」

梨「せや。」

麻「···え?」

佳「あぁ、確かに。私も、いつもはキラキラ系女子としかつるまないあかりんが何でだろうな?って思ってた。」

麻「···か、佳衣ちゃん···。」

あ「キラキラ系って···。」

凉「まぁ、さっきの梨咲は言い過ぎだと思うけど正直すずも思ってた。」

麻「凉音ちゃんまで···。」

梨「なぁ、何でなん?」

あ「はぁ(ため息)。···あのさぁ。」

佳「な、何?」

あ「···そんなん決まってるじゃん。」

麻「あ、あかりちゃn」

あ「(遮って)好感度をあげるためだよ。」

麻「···え?」

あ「障害がある子でも気にせず仲良くする子ってすごいと思わない?」

梨「まぁ、確かに。」

あ「別にさ、本気で仲良くしてるつもりはないよ?そう見えるだけで。最初のうちは仲良くしておいて、『あかりちゃんってすごい‼』『水谷って優しいし好みなんだよね。』とか思わせてさ、あの慎司くんと付き合えれば、喧嘩とか適当な理由をつけて無視しようかなぁって思ってたの!」

凉「相変わらずだね~あかりん。」

あ「当たり前でしょ!そうでなきゃしねぇよ!wってか、私の慎司を名前呼びするなんて許せない‼何様のつもりなの!?」

佳「···なるほどね。」

梨「そういうわけやったんやね。」

あ「え、何?なんか文句ある?」

佳「全然!?応援するよ‼」

梨「ウチもや‼」

あ「ありがとう‼」

凉「女子って怖~い!(ぶりっ子)」

あ「すずもどうせ一緒でしょ?」

凉「も~う、あかりんったら!人聞き悪いなぁ~。このすずちゃんがぁ~、麻里ちゃんを本気で友達じゃないって思ってるって言いたいの?」

あ「え?逆に違うの!?」

凉「ピンポンピンポ~ン‼私もあかりんと一緒だお!

あ「やっぱり?だと思った~。」

凉「ってか、あの深海魚って何で常人と一緒の学校に来てるんだろね?」

佳「何かぁ、うちの学校って最近新しくなったじゃん?そんでそういう障害者とかがいてもいいような設備を作ったらしくて。今年から入学許可してるらしいよ。」

梨「正直いらんくね?」

あ「マジそれな!」


先生、遠くから

4人、走りながら話す


先「お~い、そこの女子4人組~!早くしなさ~い!」

凉「は~い‼さ、行こ?」

あ「うん!···あ、今度さぁ、ちょっとしたいたずらしてみない?」

佳「いいねいいね~!」

梨「何する~?」

凉「じゃあ~、あかりんの私物を盗んだっていう設定で···」


4人、声をフェードアウト

麻里奈、息を殺して聞いていたが、耐えられずに泣き出す


麻「う"ぅ"···。···何で?何でよ!信じてたのに。」


一旦照明を落とし、その間にラグエル登場


ラ〈麻里ちゃん···。〉

麻「う"···。」

ラ〈大丈夫だよ、麻里ちゃん!きっと、きっと何かの間違いだよ!そうに決まってる!〉

麻「う"ぅ"。」

ラ〈ね?ほら、元気出してよ!〉

麻「う"ぅ"ぅ"。」

ラ〈麻里ちゃん!絶対空耳だってば!もう人間不信じゃないって言ってたじゃん!友達を信じようよ!···あ!〉


一旦照明を落とし、その間にラグエル退場

礼子、麻里奈の方へ歩いてくる


礼「折原さん!」

麻「ズズッ(鼻を啜る)!···あ、赤坂さん?どうかしたの?」

礼「先生が来てって言ってた。って、折原さんこそどうしたの?目の下腫れてるし···。」

麻「別に、たいしたことじゃないよ。」

礼「···本当に?」

麻「え?」

礼「お節介かもしれないけど···話してくれなきゃ相手には伝わらないよ?そうやって我慢して、自分の中に溜め込んだままだといつかきっと耐えられなくなるよ?」

麻「···。」

礼「私の姉さんだって···。」

麻「お姉さん?」

礼「とにかく、私じゃなくてもいいから、困っているなら相談した方がいいよ!自分に素直になりな!」

麻「赤坂さんには、私が困っているように見えるの?」

礼「見えるよ。」

麻「どうして?」

礼「わかるの。前に、折原さんみたいに目が見えない人が近くにいたから。」

麻「そう、なんだ。でもさぁ、私、困ってないし。大丈夫だよ。」

礼「···なら、いいけど。」

麻「さ、行こ?先生が呼んでるんでしょ?」

礼「うん。」


あかり、遠くから麻里奈の名前を呼ぶ


あ「麻里っぺ~‼早くおいでよ~‼」

凉「あ!今迎えにいくから、そこで待ってて‼」


麻里奈、下を向き、涙をこらえ


麻「うん!ありがとう!」

礼「···折原さん。」

麻「何?」

礼「いや、ごめん。何でもない。」

麻「···そう。」

あ「麻里っぺ!ほら、行こ?」

麻「···うん。」

凉「あれれ?麻里っぺ元気ないね。何かあった?···もしかして、赤坂に何か言われた?」

麻「···う、うん。赤坂さんったらひどいんだよ?私のこと邪魔だなんてっ!」

あ「うわっ!マジか···。気にしなくていいからね!私たちであとで言い返してやるから!」

麻「ありがとう。」


天からサマエルの声


サ《本当は逃げてるだけだろ。》

麻「ん"~もう‼。違う違う!あれは空耳だもん‼」

凉「麻里っぺ?」

麻「あ、いや。ごめん、何でもない。」

凉「ふ~ん。」

あ「ねぇ、麻里っぺ。麻里っぺって、今日は見学してたよね?」

麻「う、うん。」

あ「どこで見てた?」

麻「···校舎側のベンチ、かな?」

凉「あれ?麻里っぺいたっけ?」

麻「うん。ちょいちょい移動してたから。保健室の先生と一緒に。」

あ「なんだ、そっかぁ。」

麻「何でそんなこと聞くの?」

凉「別に。麻里っぺは知らなくていいよ。」

麻「うん。わかった。」


【Scene7】

学校の教室にて

モブを配置し、ざわざわさせる

麻里奈、1人で点字の本を読む

照明、麻里奈にピン(舞台の中心)


麻「違う、絶対違うよ。あかりちゃんはあんなこと絶対言わないもん。凉音ちゃんだって。」


ピンのまま、暗いところからラグエル登場


ラ「そうだよ、麻里ちゃん!友達があんなこと言うもんか!」

麻「でも、じゃあ、あれは何だったの?」

ラ「きっと夢だよ!」

麻「きっと?」

ラ「ぁ!言い間違えたっ!絶対夢だよ‼」

麻「」

えー、見てわかる通り、脚本ですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 色彩の欠落が心情を表すところにこだわりが感じられました。 [一言] 自分も物書きをしている者です。 良かったら自分の作品も適当に評価して下さると嬉しいです。 5ポイント入れさせて頂きました…
2019/01/26 19:53 退会済み
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