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キャラメイクに失敗して幼女になった僕は、いつの間にか最凶ギルドのマスターに!?  作者: 向原 行人
第4章 幼女護衛ギルド設立

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第32話 聖母の癒し

「一切胸の無いガキに魅了されるなど、我ら聖母の癒しにあるまじき裏切り行為だ」

「まったくだ。巨乳こそが至高の存在。我らの聖母が与える癒しの力こそが最強だと言うのに」

「おい、そこのバシュカー。邪魔だ! 死ねっ!」


 攻めて来た相手ギルドのクルセイダーが、何故か敵に背を向けて僕を見つめて来るコージィさんに向かって剣を振るう。

 というか、コージィさんはGvG中にどうして僕を見ているの!? コージィさんだけじゃないけど、皆完全に戦いを放棄しているよね!?

 GvGが始まるまでの士気は一体何だったの!? これもう、僕も踊る必要なくない? というか、このスキル……勝手にくねくね動き続けているから、ステータスウインドウに集中出来なくて、スキルを止められないんだけどっ!


「コージィさん! 危な……」

「ぐはぁっ!」


 僕が何とか声を絞りだそうとした瞬間、コージィさんが振り向きもせずに裏拳を放ち、流れるように回し蹴りを叩き込む。


「お前らっ! ツバサちゃんの踊りを邪魔するんじゃねぇっ!」

「ど、どういう事だっ!? こいつ、まだ二次クラスの上に、一切こっちを見ていなかったはずなのにっ!」

「あぁん!? ツバサちゃんが踊っているんだぜ!? それを邪魔するって事がどういう事か分かってんのか、お前らぁぁぁっ!」

「ちょ、待てっ! 何だ、こいつっ!? いや、こいつだけじゃねぇ! このギルド、幼女が踊り始めてから、全員目がイッちまってるっ!」


 堀が完成していない箇所が僅かしかなさそうなのと、相手ギルドの前衛職が重装備しか居ない事もあってか、一人ずつしか攻めてこられない。

 一方、こちらは一人しか通れない道の出口を、扇状に取り囲んで居る。つまり、こちら側へ渡って来た途端に、四方八方からタコ殴りにされる状態だ。

 そして更に恐ろしいのが、その取り囲んで居るメンバーが、未だに僕の踊りを凝視している事。皆そろそろ、相手ギルドと真面目に対面しようよ。


「代われっ! 我が行く!」

「おぉっ! 廃課金のリョウさんだっ! 課金パワーでガチガチに固めた防御を見せてくれっ!」

「ふんっ! あのような華奢な幼女など、一刀のもとに切り伏せてくれる!」


 相手ギルド側から、真っ黒な全身鎧に身を包んだクルセイダーが攻めて来た。

 相変わらず僕から目を逸らさないまま、僕たちのギルドメンバーが殴ったり斬ったりしているのだけれど、向こうのヒーラーから回復魔法を受け続け、そのまま僕に向かって突進してくる。

 どうしよう。逃げなきゃいけないのに、踊りスキルが止められない。腰のくねくねが止まらないよっ!


「ふっ、我らが巨乳に比べ、このようなツルペタなど……くぅっ! 何だ、この柔らかそうな太ももはっ! ムチムチしていて、ハリがあって……は、挟まれたいっ!」

「あぁぁぁっ! リョウさんっ! あんた、巨乳フェチだけじゃなく、太ももフェチでもあったのかぁぁぁっ!」

「き、斬れぬ。我に、この素晴らしき太ももは斬れぬ……くっ、殺せっ!」


 その言葉はオジサンが言う台詞じゃないよっ! 美少女ナイトにあるべき言葉だよっ!

 とりあえず助かったので、口には出さないけれど、心の中で叫んで居ると、コージィさんが座り込んで僕の太ももをガン見するリョウさんの肩を叩く。


「な、ツバサちゃんは最高だろ? 太ももも良いが、小さなお尻も良いぜ」

「なるほど。どうやら、私は間違っていたようだ。巨乳こそが疲れ切った中年男性を癒す唯一にして絶対の物だと思っていたが、世界にはまだまだこんなにも優れたものがあるのだな」

「あぁ。だから……ツバサちゃんの正面に座って凝視してんじゃねぇよっ! そこは俺の席だっ!」


 突然コージィさんが叫び声を上げたかと思うと、座り込んだリュウを吹き飛ばして、堀の中へと沈み込む。

 大丈夫かな? あの重装備で上がって来れるのかな?


「さて、じゃあこの特等席は俺が……」

「って、座ってんじゃねーよっ! 俺だってツバサちゃんを正面から見てぇよっ!」

「ツバサちゃーんっ! もっとお尻を振ってーっ!」


 ちょっと待って! せっかくピンチを乗り切ったのに、今度は仲間内で争うのっ!? というか、全く見えてなかったけれど、後ろから見ている人も居たのっ!?

 背後の存在を意識してしまったからか、やらたとお尻や太ももに視線が集まっているような気がして、仕方がない。

 一方で、相手ギルドの陣営からは、「裏切り者!」とか、「ロリコン!」とか「変態!」という言葉に混じって、悲鳴が届いてくる。

 そして、


「ツバサ! ツバサ! ツバサ!」


 こっちはこっちで、突然僕の名前が大声で連呼され始めた。

 どうやら、正面争いは未だに続いているものの、お尻側は仲良く観覧? しているようで、非常に盛り上がっている。

 とりあえず、僕の踊りを止めてよっ!

 僕が何度目になるかも分からない心で叫んだ時、


「ツバサ? 幼女? ……もしかして、ツバサちゃん!?」


 相手ギルド側から綺麗な女性な声が聞こえて来た。


「なっ!? 姫様。ここは危険です。奥へ御戻りください。……おい、近衛兵は一体何をしているんだっ!」

「すみません。しかし、姫様がどうしてもと……」


 姫様? 相手ギルドもオジサンばかりなのに姫様って……あ! もしかして、相手ギルドのギルドマスターなのっ!?

 僕がそう思った直後、相手ギルドのナイトやクルセイダーたちを押しのけ、綺麗なお姉さんが近寄って来た。


「あー! やっぱり! ツバサちゃんだーっ! しかも、ダンサーになってるーっ! 可愛いっ!」


 無防備に近寄って来るお姉さんに、正面で争っていたメンバーも動きを止めて、呆気に取られる。そして、


――むぎゅうっ!


 そのまま僕の許へとやってきたお姉さんが、思いっきり僕を抱きしめた。

 僕の顔が柔らかくて、大きな、そして優しい膨らみに埋められる。

 この声と、柔らかい膨らみを僕は知っている――懐かしくて、温かいこれは、


「育代さん!? 聖母の癒しのギルドマスターって、育代さんだったんですか!?」

「うん、そうよっ! もー、ツバサちゃん。本当に久しぶり。会いたかったよーっ!」


 育代さんのハグには、スキルキャンセル効果でもあるのか、自然と僕の踊りが止まったので、久々の温もりを暫く堪能させてもらった。

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