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『襲撃』と『最速』


少し文章の長さにバラつは有りますが5,000文字前後で1話を終えるよう頑張ります。



最後のガゼルの話を少し増やしました。


今後とも宜しくお願い致します。


麻倉 虎徹




(なんだ…?…やば…なんか…え?)



(で…今度こんどは、なんだよ…は?俺…死んだの??)



琉偉るいは今まで感じたことのない浮遊感ふゆうかんで目が覚めた、そこは慣れた景色けしきが飛び込んできた。



雑居ざっきょビルが立ち並び、見慣れたコンビニとパチンコ屋の派手はで装飾そうしょく騒音そうおんが聴こえるまち…昔、琉偉に兄弟きょうだいだと言ってくれたともがいた街。



琉偉が生まれ育った地元じもと景色けしきだった。



ただ…1つだけ異常いじょう事態じたいが起きていた。



琉偉には身体からだ存在そんざいしなかった…脳に直接流れ込む映像えいぞうと音だけの感覚かんかくの無い現実世界げんじつせかいだった。



意識いしきだけはあるのか??なんだこれ??たしか…俺はシャールを助ける為に作戦会議さくせんかいぎを開いてて…盗み聞きがバレてファーランに拉致らちられて…ファーランが落ち着いて寝るまであたま撫でて…俺も寝たよな??)



琉偉は既に得意の分類ぶんるいになった『現状把握げんじょうはあく』を行い、最後の記憶きおくを並べていく。



(ってか夢ならリアル過ぎじゃね?…いや…コレって…俺がガキの頃の街じゃねぇーか!?)



琉偉は街の風景ふうけいの懐かしさを感じ、辺りを見渡す。



(!!は?…うそだろ…友也ともや?アレ友也か…友也…なんだよクソ!!生きてんじゃねぇーか!!友也!!)



コンビニの前を一人で歩く琉偉の暮らしていた世界には居ない逝友しんゆう『友也』がコンビニの前を足早あしばやに歩いていた。



(あっ…動ける!!なんだコレ?景色けしき意思いし反応はんのうして移動いどう出来る?)



(いや…そんな事はどうでもいい!早く友也を追わなくちゃ!)



意識だけの琉偉は街を行く友也の後を必死に追っていった。



(何やってんだこんなトコで…?…やっぱりコレは…過去かこなのか??)



琉偉は昔と何一つ変わりのない親友ともやを観て、少し気を落とし過去だとさとった。



(え?先輩達せんぱいたち?ん?何やってんだ?)



そこには、路地裏ろじうらでたむろしている琉偉の先輩達と、集団しゅうだんから少し外れた場所に友也が後ろで手を組み何かを話していた。



「おい!友也!今月こんげつ分が、まだなんだけど?いつまで待たせんだよ!?ちゃんとカンパ回してんのかよ!」



「すんません!なんか皆んな金無いみたいで、全然集まんないんですよ…すんません!」



(はぁ?カンパ?そんなん回ってきてねーぞ!なんの話しだ?コレっていつなんだよ!?)


自分の記憶きおくには無い話に琉偉は戸惑い、友也の言葉を聞き、一抹いちまつの不安が脳裏のうりぎる。



「お前さぁ…すんません、すんません言って金が入ってくるなら俺だって毎日すんませんって言うぞ!?おい!舐めてんのかクソガキ!!」


「すんません…あっ…すみません」


「『ドン!』うっ!…すんません!」


友也の言葉ことばに気を立てた琉偉の先輩は、友也のみぞおちめがけ、こぶしを突き刺す。



「あっ…じゃ、ねぇーんだよ!!言い方変えただけだろボケ!」



「マモル!あんまりいたぶってやんなよ!家に引きこもっちまったら俺たちの小遣い減んだろぉ?大事なパチンコの軍資金ぐんしきんなんだからよぉ!」



琉偉も知る一人の男が友也を見下すように笑みを浮かべ、マモルと呼ばれる男をなだめる。



「…ちッ!今週こんしゅうまでに残りの五万持ってこいよ!…そうだ!!…あと、テメーのあのイカれたツレにもしっかり言っとけよ!?あんまり俺たちを舐めてんと殺すぞって言っとけカス!」『ドン』


「うっ!!…はい!すんませんでした!」


「じゃ、かね集まったら連絡れんらくくれよ!じゃーな!」



マモルが再度、友也を殴りつけ、一人のリーダー格の男がニヤケながら言葉を発した。



「はい…失礼します…!」


(なんだよ…なんなんだよ今の!!なんでやりかえさねぇーんだよ!!カンパってなんだよ!ふざけんな!)


琉偉はおこった…意識いしきだけの存在そんざいの琉偉は混乱こんらんし、叫ぶように吠えた。


暗い夜道よみちを1人、脇腹わきばらを押さえ歩く友也。



(…友也……アイツ家に向かってんのか?)



友也は街から少し歩いた閑静かんせい住宅街じゅうたくがいに向かい、琉偉も知っている友也の自宅の前に到着とうちゃくする。




「『ガチャ』やばい家に入っちまった…どうする…)


意識だけの琉偉は焦るが、扉を透過とうかした瞬間、意識を前方の視線に集中させた。


夫婦喧嘩ふうふげんか?え?友也んちのかぁちゃんと親父おやじ喧嘩けんかしてんのか?)


食器しょっきが割れ、玄関げんかんにまで破片が飛び散り、リビングでは男女だんじょが言い争う、けたたましい罵詈雑言ばりぞうごんが飛び交っていた。




「お前がしっかりしないから友也があんな馬鹿ばかな連中と付き合うようになったんだ!!」


「なによ!!あなたは仕事を言い訳にして育児いくじとか、家事かじを私に押し付けて…外の女と遊んでるじゃない!!私が知らないとでも思ってるの!?」



「そ…そんな事は今は関係ないだろ!!もうお前とはやってられん!!離婚だ!!」



「ええ!分かりました!…そっちがその気なら私は慰謝料いしゃりょうたっぷり請求せいきゅうして遊んで暮らします!」



「本当、あんたとなんか結婚しなければ良かった!あんな言う事も聞かない子供も欲しく無かった!!」



「おい!友也に聞こえるだろう!!静かにしなさい!!」



「コレが…ずっと…ずっと溜めてた本当の気持ちよ!!」



「お前がそんなんだから………」



友也の父親と母親には亀裂きれつが入っていた…深い深い亀裂が…


そして、今の話を聴いていたであろう友也は俯き、無言で二階の自室の部屋の扉をゆっくりと閉めた。


(友也…引っ越した理由はこれか?何にも言ってくれなかったけど…友也も辛かったんだな…)


「…はぁ……死んじゃおっかなぁ…」


(…やめろ!やめてくれ…友也!!そんな事思うな!!頼む!俺を1人にしないでくれ!!頼む!頼む!!)



琉偉は友也の独り言を聞き…願った…変わることのない現実を知ってる琉偉は必死ひっしに誰かに頼んだ…祈るように。



(この時の俺は何してる!!なんでこんな状態じょうたい親友しんゆうに気付かない?俺は馬鹿か??チクショ…チクショウ…)



琉偉は意識の中で泣いていた…



悔しい想いと悲しい想い、何もしなかった自分と何も出来ない自分に…琉偉は熱さの感じない冷たい涙を流した。




「琉偉の奴…何してんのかなぁ…アイツんちも大変だからなぁ…ははっ…兄弟かぁ…会いてぇな…」



琉偉の事を兄弟きょうだいだと語った少年は、ボロボロに傷付いた心を親友のバカみたいな笑顔を想い出して少しだけ…心を癒した。




(友也……)





そして琉偉は眩しい光に包まれる。



「…イ様…ルイ様?…起きてください!今日は朝からギルドに向かう予定ですので、お早めのお支度したくをよろしくお願いします!」


「……ファーラン??えっ?じゃ…やっぱり…夢か??」



「はい。ルイ様お早うございますッ!」



琉偉はすっかり聞き覚えた呼称こしょうを聴き、少しだけ安心あんしんして上半身をベットから引き離す、そこにはニッコリと笑う金髪きんぱつ天使ファーランがいた。



「…おはよぉ!ファーラン!今日もとびっきりの美人びじんだな!」


「ルイ様もいつにも増して凛々しいですよッ!」


何故か、今日のファーランはいつにも増して明るく、テンションが高かった。



「なんか…頭がガンガンするな?寝過ぎたか?」



「ルイ様!ポコ様はもう朝の入浴にゅうよくに行かれましたよ!ルイ様もお早めに!」



「そっか!よし!じゃ、今日も気合きあいを入れていくぞ!」



ファーランに急かされながら琉偉は一階にある大浴場だいよくじょうに向かい、ポコと合流する。



「おぉ!おはよ!ポコぉ!」



「あっ!おはよ!ルイ!ねぇ!ねぇ!どうだったのぉ?昨日はファーランと一緒に寝たんでしょ?どうだったのか教えてよぉ!」



少し興奮こうふんして普段ふだんは可愛い無垢むくな子供の顔のポコが笑みを含んだゲスい顔で琉偉に問う。



「…ポコ!言ったろ!ファーランに手を出す気は無いって!からかいはするけど家族に手を出すわけねーだろ!ゲスいぞポコ!」



琉偉は両腕を組み両目を瞑りポコに説教する。



「だって…初日は何も無かったって聞いたけどぉ…明らかに今日の朝のファーランの機嫌きげんが良かったんだもん!あれじゃ〜真面目まじめなシャールだって疑うよォ!」



「ったく…お前らガキンチョ同士どうしで朝から何、卑猥ひわいな話してんだよ…」



「あっ!ガキンチョって言ったな!オイラの方が年上としうえだぞぉ!見た目で判断はんだんするなぁ!」


ポコが気にしている事を言われ可愛く怒る。



「…っておい!俺がファーランと一緒って事はポコはあの銀髪巨乳騎士ぎんぱつきょにゅうきしと……………よし!ファーランは近くには居ないな!」


「え?…今、確認したのぉ?」


「ああ!一応いちおうな!……じゃねぇーよ!おい!吐け!朝からそんな卑猥ひわいな話するって事はだな!つまり!アレか!…その……やっちゃったのか!!?」


『ドーーーーーーン!!』


「ええ??うそでしょ?ファーランって今の聴こえるの??」


琉偉がポコに昨日の夜の出来事を問い詰めた瞬間、建物上層付近たてものじょうそうぶふきん爆発音ばくはつおんが鳴り響き、同時に琉偉の頭の中にも警鐘けいしょうが鳴る。



「!?ポコぉ!!なんかおかしい!今の音はファーランじゃない!いくらなんでもあんな音がする程、力を入れるはずねぇー!!上でなんかあったんだ!!すぐ行くぞ!!」



「う…うん!!行こう!」



琉偉とポコが宿の大階段を全速力で走る。



「ルイ!!強いマナを感じるよ!!多分…誰かが魔法を使った!!それも…攻撃魔法こうげきまほうだと思う!!」



「やべーな!!…ポコ!急ぐぞ!!」



ポコの叫びに琉偉は階段を駆け上がる脚に力を入れた。




「ファーラン!シャール!どうした!?大丈夫か!?」


「はい!自分は怪我けがは無いのですが…ファーラン殿が!!」


階段を登りきった琉偉の目に入ったのは寝巻きに細剣レイピアを持つ銀髪の少女と、太刀たちを構える右腕から血を流すファーランが戦闘態勢せんとうたいせいたたずんでいた。



「ファーラン!大丈夫か!?血ィ出てんぞ!!」



御主人様ごしゅじんさま御心配ごしんぱい無く!ただのかすりキズです!」



「…アイツらなんだ??」



「分かりません!!ですが…ぞくのようです!」



「え?ゾク?」



目の前の2人に視線しせんを合わせたまま琉偉と話すファーランは右手に白銀はくぎんの太刀を、左手には琉偉の魔法のかばんを大事そうに抱いてる。




「そのかばん寄越よこせ!!いやしい盗賊とうぞくめ!獣人じゅうじんくせに俺達に武器ぶきを向けるなんて!恥を知れ!」



「おにいちゃん!ヤバイ!敵が増えちゃったよ!しかもアレ盗賊の首領しゅりょうだよ!ここは僕がもう1発撃つ?」



そう強気にのたまうのは全身ローブに包まれた1人と、同じローブをまとったマナの残滓を漂わせる1人………2人とも小さな子供だった。



「…あっ!そっちのぞくな!」



琉偉は少し気を抜いた。



「気をつけて!!ルイ!!魔法を使う気だ!!保護魔法レブロンを使うよ!!」



「ファーラン…俺がやる!!ポコ!すぐ行けるか!?」


「……はい!御主人様!」


琉偉はファーランから太刀を受け取り刃の無い方を小さな敵に向けて構えた。


「じゃあ、早速さっそく披露目ひろめしちゃうかな!…ルイ!行くよ!……《レブロン》!!」



「おお!早いな!じゃサクッとやるかな!」


琉偉は、赤色せきしょくの全身を包む光のたてを纏い、子供の賊との距離を一瞬で詰める。



(なんだ?ランクアップって肉体も強化されんのか??)


御主人様ごしゅじんさま…」



琉偉の動きは速かった…空気が震え、ファーランが目で追えないくらいに速かった。


「なんだ?どこ行った?」


「えっ?消えた?あっ!お兄ちゃん!後ろ!」


「え?は?後ろ?」


小さな賊2人の間を通り過ぎ、賊の背に琉偉は立っていた。



ランクアップにより肉体は強化されたが、その速さは誰が見ても異常いじょうだった。



琉偉は手に持つ太刀を振りかぶる。



「おいクソガキども!!ファーランに怪我けがさせた事を一生後悔いっしょうこうかいさせてやる!おらぁ!『ガン!』『ガン!』


『ドサッ』『ドサッ』


琉偉は振りかぶるった太刀では無くこぶしを硬く握った左腕で拳骨げんこつを1発づつ賊の頭にお見舞いした。



「とりあえず…一見落着いっけんらくちゃく?」



ポコが、倒れた小さい賊2人に紅眼せきがんを向けて見つめる。


「ポコぉ!こいつら一体なんなんだ??」


「…うっそぉ!…ルイ!早く逃げよぉ!!!」


「は?なんだよ?なんで被害者ひがいしゃの俺達が逃げんだよ!」


賊2人の身元を確認したポコは焦り、琉偉は意味が分からずポコに言葉を発する。


「いや…この子達…『龍人族りゅうじんぞく』だよぉ!ラウル王国の『最上級貴族さいじょうきゅうきぞくだよぉ!!」


「なに?痴女アテナと同じって事か?」



焼け焦げたボロボロの廊下で目を回し気を失う2人を琉偉は見つめる。



「御主人様…この者達は最初から、御主人様のこの『かばん』を狙っていました!」



「い…いきなりまどを破り、侵入しんにゅうしてきたところを、私とファーラン殿が迎え打ちました!」



ファーランは琉偉に賊の目的を見定みさだめ、シャールは少し動揺して事の成り行きを琉偉に伝えた。



「一体、何事なにごとじゃ?ワシの店を壊す気かぁ?」


と、そこに1人の黒髪黒眼くろがみこくがんの少年が現れ、年寄りじみた声を上げた。



「おお!食堂しょくどうの少年!いや…こいつらぞくだよ!いきなり襲ってきたんだ!俺達は被害者ひがいしゃだからな!?って…えっ?ワシの店??」



「そうじゃ!ワシは『ガゼル・ディーゼル』この店のオーナーじゃ!お主は『ドワーフ族』を知らぬのか?」



「お…おう!そうなのか!(なんかこの世界は子供の比率高くないか?)」



「それにしても建物の中で廊下をこんなにする程、強力な魔法を使うなど…どこの馬鹿者ばかもんじゃ!」



琉偉は予想外の少年オーナーに少し動揺し、そして小さなドワーフのオーナーは御立腹ごりっぷくであった。



「これをやったのはここに倒れている者達です!」



そこに清廉せいれんな顔の銀髪の寝巻き姿の騎士が店主ガゼルにこの騒動の犯人はんにんさらす。



「なんじゃ…子供こどもではないか!…!!って凄んごいまん丸じゃのぉ!!」



「…おい?ポコぉ…あれってお前の生き別れの誰かじゃないの??」



「多分違うと思うけど…オイラも一瞬いっしゅん親近感しんきんかんが湧いたよぉ!」



黒髪くろかみの少年は倒れてる2人の賊のを見た後、ポコと全く同じ感想かんそうを銀髪の騎士に述べた。






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