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『スキル』と『装備』


ガゼルの大宿おおやど最上階さいじょうかい大部屋おおべやにて、ファーランの過去かこを知った琉偉とポコはファーランの告白こくはくに心を痛めていた。



「ファーラン…辛かったよな?…でも、安心あんしんしろ!これからは沢山の幸せを俺らと一緒に共有きょうゆうしてそんな過去は忘れさせてやるよ!なぁ?ポコ!」


「勿論だよ!」


琉偉はほほに伝ったなみだをゴシゴシと腕で拭いてポコと力強い言葉をファーランにおくる。


「はい…ありがとうございます!…それと…わたしみみあしの話を聞いてもよろしいでしょうか?」



ファーランは、迷宮から助け出されて、ずっと疑問に思ってる事を琉偉に問う。



「おう!そうだったな!ちょっとこれを見てくれ!」



琉偉は魔法まほうかばんを手に取り中に手を入れあるアイテムを取り出す。



「え!?ルイまだ『神薬エリクサー』を持ってるのぉ!?」


深い赤の小さな瓶に入った液体を見たポコが驚き問う。


「『神薬エリクサー』…その様な大変に貴重な物まで…」


ファーランは、己の命を救う為に使用した国宝級のアイテムを観て言葉を詰まらせる。


「いや…この『神薬エリクサー』ってヤツこの鞄に1000個以上入ってるけど…?…だから気にすんなよ!」


「……ルイ…もう驚くのに疲れたんだけど…」


ポコは驚愕きょうがく範中はんちゅうを超え、普通ふつうに接する。


「…1000個ですか……ルイ様…そ…その魔法の鞄の中は把握はあくされてるのでしょうか??」


ファーランも琉偉の言葉を驚きながら聴き、琉偉に問う。



「あぁ…あの宿屋やどや夕飯ゆうはんを待つあいだにある程度は把握したぜ!」


琉偉はあっけらかんとファーランに答える。


「でも…アイテムの名前は分かるがそれをどう使うのかは全く不明だ!」


ファーランの問いに対して、自信満々に琉偉は威張いばる。


「ルイ!その鞄の中には、『装備品そうびひん』とかは入って無いの??」


ポコは改めて琉偉に問う。


「装備品?ん…確かあったぞ!ちょっと待ってろ!…えっと…」


琉偉は鞄に手を突っ込み探る。


「あっ!これは装備品っぽいな!」


琉偉が鞄から取り出したのは銀細工ぎんざいくの小さな指輪ゆびわだった。


「これは…『ランスロットの指輪』ってアイテムらしい…知ってるか?」


「えっ?…『ランスロット』?…それって、昔話に出てくる『錬金術師れんきんじゅつし』の名前だよぉ!!」


ポコは昔、爺様から聞いた物語ものがたりに出てきたある錬金術師の名前を思い出した。


「ねぇ!それを指にはめてみてよ!!何か加護かごか『スキル』が付属ふぞくされてるかも!!」


ポコは眼を輝かせ興奮し琉偉に試装しそううながす。


琉偉はぎんの指輪を小指こゆびに通し、マナを流す。


効果こうかはすぐに出た。


「お?なんかポコとファーランの頭の上になんか出てるぞ!」


「えっと…なになに?『ポコ・冒険者・ランクB・人族・取得魔法しゅとくまほう・土魔法・保有ほゆうスキル・地脈看破ちみゃくかんぱ精霊せいれいの加護・称号・土龍どりゅう』って出てるぞ!?」



「うそぉ…」


「えッ?…スキル!?スキルが見えるのですか!?」


ポコとファーランは常識じょうしきから外れた琉偉の言葉に驚く。


「ん?そうなんだろうな!これやっぱスゲーアイテムなのか?」


琉偉はファーランに問い、ファーランが神妙しんみょうに答える。



「この世界には…『鑑定かんてい』と、言うスキルが存在します、『スキル』と言うのは特別とくべつ能力のうりょくと言うことです。…多くは大商人だいしょうにんや国の門番もんばんなどに携わる人が所有し、かなり重宝ちょうほうする珍しいスキルと言われています。…ですが…その『鑑定』のスキルを持ってしても、他人たにんのスキルまでは鑑定出来ません!!」


ファーランはおのれの知り得る知識ちしきを琉偉に話す。


「…いにしえの錬金術師は、全てを見通す『神眼しんがん』を持っていたって物語にはあったけど…それってこの指輪ゆびわ加護かごって事かな??」


ポコは小さな指輪を見つめ、冷静に分析ぶんせきする。


「これがあれば…ルイはこの世界で、大商人か王国の国賓とか凄い地位を貰えると思うよ!!」


「へぇーっ…こんな指輪でか?…あれ?ファーランって…この短剣たんけんについてる『加護』?だっけ?見えてたよな?」


琉偉は宿での会話を思い出す。


「はい…私は奴隷どれいとされた時に、スキルを封印ふういんされました…でも、私は人族と獣人族の混血こんけつです。…この眼はマナの性質せいしつ天啓てんけい加護かごを感じる事が出来ます。」


そう語るファーランを改めて琉偉はファーランの上に『日本語』で表示ひょうじされた文字を見る。


『ファーラン・冒険者・ランクA・獣人族と人族の混血・取得魔法・風魔法・聖魔法・保有スキル・剣舞けんぶ身体強化しんたいきょうか・称号・救国の黒兎・固有スキル・神降かみおろし』


「ファーラン!ランクAじゃん!!ってかスゲー強そうな感じがするぞ!!」


琉偉はファーランの顔を見つめてはしゃぐ。


「はい…昔、冒険者をしていましたので、その時のランクが引き継がれたみたいです。」


ファーランは顔を近づける琉偉に少し恥じらい、説明する。


「…オイラは知ってたけどね!」


ポコは街入まちいりさいにファーランのランクを確認かくにんしていた。


「なんだよ!ポコ!言えよ!じゃあ、俺がこのパーティーで一番下っ端かぁ…」


琉偉は肩を落とす。


「心配しなくても大丈夫だいしょうぶだよ!多分…オイラ達の中で一番強いのはルイだと思うよ…ねッ!ファーラン?」


ポコが小さい子供の様に、ファーランの名を呼び、それにファーランも言葉を添える。


「はい…迷宮の守護龍しゅごりゅう討伐とうばつしたと言うことは、凄い量の経験値けいけんちがルイ様の体に蓄積ちくせきされてると思います。……通常、守護龍はその迷宮めいきゅう王者おうじゃ、常に迷宮の加護を纏っています。なので、生半可なまはんかな攻撃はかすり傷一つ与えらないという伝承でんしょうです。」


「それを一撃いちげきで…って…本当に凄い事なんだよぉ!ルイ…!その指輪、オイラにも使わせて!」


「ああ!いいぜ!」


ポコはそう言うとルイから指輪を預かり、ポコは中指にはめてマナを流し琉偉を見る。


「どうだ??俺って強い感じになってる??」


琉偉はポコに期待きたいを込めて問う。


『ルイ・冒険者・ランクG・人族・保有スキル・言語共通げんごきょうつう聖龍せいりゅう覇気はき強奪ごうだつ身体覚醒しんたいかくせい・称号????・黄昏たそがれ覇者はしゃ・ただのアホ ・固有スキル・神降かみおろし・危険知覚きけんちかく



「…ルイ…スキルが6つも…しかも1個もオイラの知ってるスキルが無いんだけど…?あと、称号が1つ隠蔽いんぺいされてるよ!」


「やはり聖龍様せいりゅうさまに選ばれし、ルイ様は規格外きかくがいと言う事でしょうか??」


ポコが戸惑とまどい、ファーランが呟く。



「あぁ…なんかトカゲ?聖龍だっけ?そいつが隠し称号をくれるって言ってたな!それだろ!……ってか最後の称号は何かしらの悪意を感じるぞ!…あと、その指輪はポコが付けとけよ!ポコは頭良いし色々知ってるからちょうどいいだろう!」


「えっ!?良いの?これがあればこれからのアイテムの購入こうにゅう探索たんさくの幅も広がるよ!…ありがとうルイ!」


「おう!無くすなよ!」


ポコが嬉々とお礼を言い、琉偉は気前よく返事をする。


「まだまだいっぱいあるぞ!」


琉偉はそう言うとまた鞄を探る。


「あと…装備品は…おっ!武器だ!」


琉偉が取り出したのは金の細やかな装飾を纏った青と白のさやに入ったソリのきつい『かたな』だった。


「これはファーランに…『天空龍てんくうりゅう太刀たち』って名前だ!ポコ!これにはなんか特殊な力があるか?」


琉偉の問いにポコは、その綺麗な太刀を紅色こうしょくまなこで見つめる。


『天空龍の太刀・ランクS・不壊ふかいの加護・スキル・破魔はま聖域せいいき


「ランクS……これは、『国宝級こくほうきゅう』の武器だよ!不壊ふかいの加護って、折れないって事だと思う…それにスキルが2つも…本当に凄い太刀たちだよぉ!」


ポコは今日、何度目になるか分からない驚きを口にする。


「このような太刀を…ルイ様!一生いっしょう大切にします…この太刀でルイ様を守ってみせます!!」


ファーランは金色こんじきの瞳を輝かせ琉偉にちかいを立てる。


「あとは防具ぼうぐか…おっ?いいもん物が入ってるぞ!」


琉偉が立て続けに取り出したのは全て龍の素材で出来た防具だった。『龍皮りゅうひの鎧』『龍皮りゅうひのフードローブ』『龍核りゅうかくの鎧』


「鞄の口から出るときに元の大きさになるんだな!流石さすがメルヘン魔法!」


琉偉は鞄の口よりも大っきな物をどうやって取り出すのか分からなかったが、普通に出てきた事に少し驚き、笑った。


「ポコぉ!鑑定よろしくぅ!」


琉偉は、またもやポコに鑑定を任せる。


『龍皮の鎧・ランクA・スキル・炎耐性ほのおたいせい


『龍皮のフードローブ・ランクA・スキル・炎耐性・マナ消費軽減しょうひけいげん


『龍核の鎧・ランクS・聖龍せいりゅうの加護・スキル・属性強化ぞくせいきょうか全魔法耐性ぜんまほうたいせい耐呪たいじゅ


「もう…当たり前の様にスキルが付属されてるよ…しかも1つは国宝級…」


ポコは呆れ顔で琉偉に答える。


「よし!この白黒のローブはポコな!そして龍核の鎧ってのはファーランだ!俺はこの動きやすそうな龍皮の鎧だ!お揃いの龍装備だな!」


そう言うと琉偉は2人に防具を渡した。


「オイラこんなに凄い防具を装備する日が来るなんて、夢にも思ってなかったよ!」


「私もまだ夢の中なのでは…?なんて時々思ってしまいます。」


「ちゃんと現実だぞ!!なっ!ちゃんといい事だってなくちゃ割に合わないからな!」



3人は、再度お互いの幸運こううんを確かめ、笑い合う。


その時の『コンコン』っと扉をノックする音が聞こえる。


「おっ!うたげ支度したくが出来たのか?」


その音に琉偉は心を弾ませる。


「失礼します。申し訳有りません…宴の支度がもう少しかかってしまうので、先に湯浴ゆあみの準備じゅんびをしました。貸切かしきりでございますので先にそちらをどうぞ。」


部屋に現れたのは受付の女の子とは違う、琉偉と同じぐらい茶髪の女の子だった。



「俺の話したかった事も話せたし、あらかた装備もまとまったな!じゃあ、風呂でも入ってサッパリしてくるか!」


3人は、顔を見合わせて浴場よくじょうへと向かう。




ガゼルの大宿、一階、大浴場だいよくじょうの前の脱衣所だついじょに3人は居た。



「…えっ?ここって混浴こんよくなの??」




琉偉の驚きの言葉が脱衣所に小さく響く。


「…私の事なら御心配なく…ルイ様と、ポコ様の後に私も入らせて貰いますので…」


「え?いや…そんな悲しそうな顔すんなよぉ!…ファーランが嫌じゃ無ければタオルを巻いて一緒に入るか??」


ファーランが寂しそうに呟き、それを察知さっちした琉偉は、ファーランに言葉をかける。


「えっ…お背中を流させてもらえるのですか!?本当にいいんですか??」


ファーランは少し興奮して言った。


「おう!ファーランが嫌じゃなきゃなの話だけどな!」


「嫌だなんて!!とんでもない!是非!!一緒に!!」


ファーランは満面の笑みを披露する。


(あら?てっきりファーランは恥ずかしがり屋だと思っていたが…意外と肉食系??ウサちゃんだが…)


「じゃあ、みんなで一緒に風呂ふろ入って疲れを取るぞ!」


「おーーーっ」


「はいッ!」


ポコが応答しファーランが笑い声高く返事をする。



脱衣所でタオル一枚になる琉偉とポコが先に浴場に入る。


「おお!!デカイな!なんかギリシャのパルテノ風だな!」


琉偉の声が大浴場に響く。


「オイラこんなに大っきなお風呂初めてだ!これを貸しきるなんて幾らかかるのか怖くて聞けないよぉ…」


『ガラガラ…』


と、そんな話をしていると浴場の引戸の扉が開く…


「ファーラン…意外と巨乳だな…そして真っ白ですげー可愛いな!」


琉偉は思った事を口にした。


ポコは顔は何処どこかに向けて丸い紅眼せきがんはファーランの胸をチラ見していた。


「失礼致します…ルイ様…どうぞこちらに。」


ファーラン頬を染めてニッコリ笑い琉偉を備え付けの椅子に誘導する。


「あ…あぁ!!よろしく頼むよ!」


琉偉は少し緊張してファーランの元に向かう。


ファーランは石鹸せっけんを泡立て琉偉の背に向かう。


「少しだけ…迷宮で拝見しましたが…改めて見るとやはり凄く美しいです…」


ファーランは琉偉の背中を見て眼を細めじっくり見つめる。


「ん?あぁ!俺が前に居た世界では『刺青いれずみ』って言うんだ!コッチにはそんな文化ぶんかはないのか??」



琉偉は背中せなか一面いちめんりゅうの刺青を入れていた。



「はい…この様な美しいものはコチラには存在しないと思います。」


琉偉の背中を瞬き1つせずに魅入みいるファーラン。


「オイラの知ってる神話にルイと似た人が出でくるお話があるよ!!聞く?」



石の浴槽よくそうに浸かりタオルを頭に乗せたポコが話を始める。



「おう!教えてくれよ!」



「昔、この世界の神を決める大っきな争いがあったんだ!!それはこの世界を作った今の神様と、この世界にマナを提供ていきょうした聖龍様の争いだったんだ…何千年なんぜんねんも争ったんだって!それで多くのいのちはその争いの犠牲ぎせいになったんだ!そこで、その終わらない争いを止めたのが、背中せなかりゅう紋章もんしょうを刻んだ黒髪くろかみ異国いこく騎士様きしさまだったんだ!!」


ポコは語る。


「ふふっ…ルイ様と共通点きょうつうてんがいっぱいありますね!」


ファーランが嬉しそうに笑う。


「それで、多くの命を救われた精霊族せいれいぞく黒髪くろかみ騎士きしをこう呼ぶんだ!!」


「世界を導く者…龍騎士りゅうきしと!」


ポコは期待を込めた紅眼せきがんを琉偉に向けた。


「オイラは初めてルイの背中を見た時…その話を思い出したんだ!!」



「俺はそんな御大層ごたいそう人間やつじゃないぜ!ただのファーランに背中を流してもらってエロい事考え、股間を熱くさせる健全けんぜんな男だ!!」


「ル…ルイ様ぁ!!」『バチン!!』


「痛てぇ!」



突然恥ずかしがったファーランが、琉偉の右腕にモミジを散らす。


「ファーラン…痛てぇーよぉ!」


「もっ…申し訳有りません!!っ…つい!」


「ハハハハハっ…」


ポコの笑い声が浴場に響き幸せを共感する3人だった。



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