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第零話 願い
きっと、必然だったというか。
運命とでも言おうか。そう信じたい。
礼拝堂、十字架の下。
ジュリーナはそんな事を思っていた。
"出会いたくなかった"とは思いたくなかったのだ。
きっと、貴方と過ごした日々が私にとって人生で一番幸せであったように、貴方にとっての日々も幸せでありますように。
そっと目を閉じた。
きっと、不幸の星の恋人達もこんなに不憫な想いを寄せ合っていたのね。
ジュリーナの頭の中に幼少期に聞いたある話がよぎる。
再び繰り返すであろう悲劇はきっと少女たちの恋の結末だと今更になって悟った。
「お母様とお父様、ごめんなさい。」
頬をつたった雫は彼女の手の中の十字架に落ちた。