表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホラー短編集~黒き死神が笑う日より厳選~  作者: 神通百力


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/10

エレベーター

「黒き死神が笑う日」のエレベーターと内容は同じです。加筆修正はしていません。

 私は最近できた雑居ビルに来ていた。

 百円均一や飲食店、マッサージ店などがテナントとして入っていると聞き、居てもたってもいられず、行くことにしたのだ。

 私は2Fの飲食店に行くために、エレベーターが来るのを待っていた。

 ようやくエレベーターが来た。扉が開き、私はエレベーターに乗る。その瞬間、ブゥーブゥーと音が鳴った。

 私を含めてエレベーターには三人しか乗っていないのに、どうして音が鳴るのだろうか? この人数で音が鳴るとは到底考えづらい。しかし、現に音は鳴り響いている。これはいったいどういうことだろうか?

 疑問に思っていると、突然扉が閉まった。誰も開閉ボタンを押していないにも関わらず、なぜか扉は閉じた。その間も音は鳴り続けている。

「何で扉は閉まったんだ?」

 右端にいたスーツ姿の男が戸惑い気味に声を出した。

「いったい何なのよ、この音は? 誰か止めてよ!」

 今度は左端にいたスーツ姿の女が怯えた表情で叫んだ。

 私は二人を視界に捉えながら、状況を頭の中で整理した。私が乗り込んだ瞬間、音が鳴り響き、扉は閉まった。エレベーターの故障だろうか? もし、そうなら警備員の人に連絡をすれば助けてくれるだろう。

 私はそう思い、非常ボタンを押した。しかし、何の応答もない。もう一度非常ボタンを押してみるも、何の応答もなかった。なぜ、警備員に連絡が取れないのだろう?

 不思議に思いながらももう一度非常ボタンを押そうとした時、突然エレベーターが揺れ始めた。

 突然の出来事に私はバランスを崩し、尻もちをついてしまう。

 手すりに捕まって立ち上がろうとした瞬間、ベコ、バキ、ボゴと音を立てながら、壁が凹み始めた。

 私は状況を理解することができなかった。これは現実なのか?

「ぎゃあああああ!」

 突然、男の叫び声がした。

 声がした方を見ると、スーツ姿の男はエレベーターの壁に挟まれていた。ベコ、バキと音を立てながら、壁はさらに凹んでいき、男の体を締め付けていく。その数秒後に男の体は爆ぜ、エレベーター内に血肉と血液が飛び散った。

 ベチャリと私の顔にもかかったが、すぐに取り払った。

「いやぁああああああ!」

 今度はスーツ姿の女がエレベーターの壁に締め付けられ、数秒後に爆ぜた。ベチャリと肉片が飛び散る。

 ベコ、バキと音を立てながら、壁は私に迫ってくる。そして私もエレベーターの壁に挟まれてしまった。

 何とか抜け出そうともがくも、体を動かすことはできなかった。

「いだぁああああい!」

 徐々に体が締め付けられていくのを感じる。ああ、私はここで死ぬんだ。

 意識が遠のいていくのを感じた。


 ☆☆


 女の体が爆ぜ、エレベーター内に血肉が飛び散る。

 エレベーターの壁は三人の血肉や肉片、血液で汚れていた。

 ベコ、バキ、ボゴと音を立てながら、エレベーターは元の状態に戻っていく。あとには何も残っていなかった。

 ウィーンと扉が開き、三人の人間が乗ってきた。

 その直後、ブゥーブゥーと音が鳴った。

感想頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ