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白い蝶

作者: 葉月 立夏



白い(てふ)が舞っております



暗き処で



ひらひら、ひらひら舞っております



じっと見つめておりますと



蝶はこちらへやって来て



私に向かっておっしゃりました



"童は死に絶えもうすのか"



私は驚き、眼をまんまろ丸いたしました



しばらくお答えせずにおりますと



蝶はこうもおっしゃりました



"ならば我について来よ"



そうしてひらひら舞って行きます



私からひらひら離れて往きます



死に絶えるつもりはござりません



しかし私は後を追いかけました



蝶の行方が気にかかります



急いで後を追いかけます



蝶は意外とはよ早舞いて



私は少し小走りです



やがて蝶は止まりました



私はそこで



やっと蝶に追いつけました



夢中で追いかけ追いつくうちに



着いた処は私の知らぬ場所



今度はとても明るい処



辺りをゆっくり見ておりますと



蝶がまたもやおっしゃいました



"童は死に絶えもうすのか"



そこで私は申しました



"いいえ、私は生きまする"



ここまで来たは



単に興味を惹かれましただけでございます



"ならばもう帰りゃ"



しかし私は



帰りの道が分かりませぬ



"先のやうに、私の前を舞っては下さりませぬか"



けれども蝶は否をだします



"我の居場所はここ此処ゆえに童を送って往けはせぬ"



ならばどうして帰りましょうと



私が思っておりますと



しかしと蝶は呟かれます



"しかし帰りは簡単じゃ"



父母(ててはは)思て進むだけ



そう、蝶はおっしゃりました



それはとても簡単でした



私は一人



父母思い歩きます



いつ戻ったかは分かりません



私は眠っておりました



目が覚め



周りを眺めますと



側には父母おりまして



私を見つめて泣いております



私は理由がわかりません



父母泣き止む為ならと



ただただ微笑み浮かべます



その後私は知りました



私は死にかけておりました



はやり流行病で熱が出て



今夜が峠であったそうな



ならば私が先まで居りました



明るい処は



白い蝶は




死した者の






案内役であらせられましょうか




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