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嘘つきはだれ?  作者: 金原 紅
番外編
90/100

小話まとめ

過去に活動報告に載せていた小話3個セットです。

存在を忘れていたので、こちらにまとめ。

これだけでは寂しいので、本日もう1個投稿してます。

【クセラヴィーラの日記】:「苦行のお茶会」あたりまでの内容。


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 ○月×日 天気:晴れ


 明日、ついに旦那様が見染めたという奥様がこのお屋敷にやってくるとのことです。

 最近では、お見合い攻勢やら押しかける女性やら、果ては男色といった噂のおかげで荒ぶっていた旦那様が急に元気になったと思ったら、突然結婚だなど……。

 一体どんな女性でしょうか。面倒なことにならなければ良いですが。



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 ○月△日 天気:曇り


 あの奥様は何でしょうか……!

 流行丸無視のダサいドレスに、おしゃれさの欠片もない髪形に、野暮ったい大きな眼鏡!!

 しかもお部屋に引き籠って出ていらっしゃらないなんて! でも旦那様には好きにさせておけ、と言われているので干渉もできないのが歯がゆい……。

 当家の奥様として、あのまま放置なんて許せるわけがないのに!





 旦那様に見染められて有頂天になっているわけではないのは、評価します。



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 ○月□日 天気:晴れ


 本日は良い天気でしたから、奥様の寝具一式を交換しようと思ったのに、入室すら許されないなんて。一体奥様は何を隠しているのでしょうか。怪しすぎます。

 でも旦那様に報告しても、放っておけとだけ。新婚なのに驚くほど無関心ですね。

 前々から思ってましたが、旦那様と奥様は所謂仮面夫婦という関係でしょう。寝室も別ですし。

 わざわざ奥様を迎えたのに、どういうつもりなんでしょうか。チェンザーバイアット家からクレームが来ないことを祈ります。


 しかし、近頃の若い子は慎みがない。お二人の様子を見てあれこれ噂話に興じたり、果ては旦那さまを不能呼ばわりなんて……。あの子たちの処遇はよくよく考えねばなりません。



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 ○月○日 天気:曇り


 奥様の部屋が爆発……。意味がわかりません……。変わった女性とは思ってましたが、とんでもない女性だったようです。

 本当に、なぜ旦那様は奥様を選ばれ、迎えられたのでしょうか。

 とりあえず、奥様を放置しておくのは危ないと分かりました。旦那様の言いつけを破ることになりますが、干渉することにします。

 明日からの奥様が破壊した部屋の掃除等を考えると、頭が痛いです…………。



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 △月×日 天気:晴れ


 もうすぐウィンザーノット公爵令嬢主催のお茶会なので、奥様にドレスなどを確認したら、案の定ダサいドレスで出席する予定だったなんて! 本当に、強気に出て正解でした。

 やはり、奥様を放置しておくのは色々な意味で危険ですね。貴族社会の恐ろしさを知らないなんて、今までどんな生活をしていたのでしょう。

 マリアヘレナさんも含め、よくよく教育する必要がありますね。






 しかし、奥様のあの胸……。羨ましい…………。



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【とある新米騎士の日記】:「犬猿の仲」辺りの内容。



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 ○月×日


 今日から念願の騎士団入団だ!

 といっても、夏の御前試合後までは、王都で第二騎士団第一部隊の元で訓練らしいけど。

 とりあえず、早く一人前の騎士になれるよう頑張ろう。


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 ○月△日


 騎士団まじ怖い。

 訓練量ハンパない。あとメシの量もハンパない。あんなに食えるか!

 体作りが重要なのは分かるけど、吐くまで訓練したあと、あの量のメシを食えなんて、地獄。

 でも、隣のテーブルで女騎士が俺以上の量食ってたから、これが普通なのか……?


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 ○月□日


 昨日のメシの量がハンパない女騎士は、ジルニス家の魔法騎士らしい。

 あの人、美人だけど雰囲気がおっかない。ジルニス家だし、近づかないようにしよう。

 あと、なんかあの人に近づく騎士には、団長からキッツイ睨みが飛ばされてる気がするけど、気のせいかな……?


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 ○月◎日


 アンゼリィヤさんはやっぱりジルニス家の人間だ。毎日ハロイドさんとケンカして、演習場の地面抉るなんて、普通じゃない。

 魔法の威力はさすがだと思うけど、アレはない。こんなんで大丈夫なのかな、第二騎士団って。

 よっぽどのことがなけりゃ、庶民の俺なんかは第二騎士団配属だよな……。不安だ。

 とりあえず、毎日後始末してる副団長の胃とか頭髪が心配。


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 ○月◆日


 団長が出奔したらしい。よくあることらしいが、本当に大丈夫か、第二騎士団!?

 本気で不安だ。

 てかまじで、副団長の眉間のシワが大変なことになってる。とりあえず俺達新米は大人しくしてよう。


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 ○月☆日


 そういえば、アンゼリィヤさんも居なかった。前の任地に呼び戻されたらしい。

 第二騎士団はあちこち飛ばされるから大変だよな……。やっぱり第一騎士団目指すべきかな。でもあっちは、貴族が多いから、俺みたいな庶民には居にくそうなんだよなぁ。

 ハロイドさんは第一騎士団を褒め称えてるけど、どうも俺は合わなそうな気がする。とりあえず、今は訓練頑張るか。


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 ○月□日


 昨日も副団長は家に帰ってないらしい。新婚なのに、かわいそう。

 副団長はほとんど事務仕事してるとこしか見たことないけど、剣の腕も一流らしい。一回は見てみたい。

 とりあえず、早く団長が帰ってくることを祈っておこう。


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【もしも蝶でなかったら】:「始まりを告げる夜会2」の直後の内容。



 ソルドウィンに連れられて移動した部屋では弦楽の四重奏が奏でられており、何箇所かに設えられたソファーに座って休める様になっていた。

 部屋の隅に用意されていた飲み物を取り、人の少ない窓辺のソファーに腰を下ろしたレイティーシアは、一つ大きく息をつく。一応警備の仕事中だというソルドウィンは、流石に飲み物も取ることなく、レイティーシアの側に立っていた。


「姫さん、大丈夫?」

「ええ。ちょっと気疲れしただけだから。……社交が苦手だからと今まで引き篭もっていたツケだわ」


 苦笑するレイティーシアに、ソルドウィンは片眉を上げてニヤリと笑う。


「俺としては、姫さんには引き篭もって貰った方が嬉しいけど?」

「ふふ、そうね。最近は色々あって全然作れてないものね」

「そうそう。あ、そうだ。この前貰ったランファンヴァイェンのおっさんの呪印(しゅいん)を組み込んだアレさ、蝶以外に出来ない?」

「……? なんで?」


 首を傾げながらソルドウィンを見上げると、少し言いにくそうにしながら、言葉を続ける。


「いや、蝶もキレーで良いんだけどさ。蝶ってヒラヒラゆっくりじゃん、動きがさ。鷹とかの方が、速くない?」

「うーん……。運ぶものが複雑な形になると、それだけ呪印が複雑になるの。だから、鷹だと出来ても平たい、絵が飛んでる様な感じになるんじゃないかしら?」

「真っ平ら!? それじゃ、飛んでる感ほぼ無し?」

「多分……?」

「そっかぁ……。じゃあむしろ、生き物に拘る必要もない感じ?」

「どういうこと?」


 きょとん、としつつ問いかければ、ソルドウィンは楽しげに提案する。


「生き物じゃなくて、無機物なら呪印も簡単になるんじゃない? 例えば……、矢印とか?」

「矢印?」

「そう。矢印なら簡単な図形だし、あと矢の意味を持つから、飛ぶスピードも早そうじゃない?」

「そうだけど……。ねぇ、ソルドウィン。想像してみて? あなたがそれを使った時の光景を」

「光景?」


 魔道具に魔力を流し込み、伝達したい言葉を込めた途端、飛んでいく光の矢印。そして矢印は街中など構いなく飛び、伝達相手にぶつかって行くのだろう。矢が刺さる様に。


「…………シュール」

「でしょう? 私、そういうものを作るのは嫌だわ」

「ごめん。やっぱ、姫さんは自分の納得出来る物じゃなきゃ作れないよね」

「ええ。私の名前が付くのだもの。変なものは作れないわ」

「だよね。うん、蝶とかちょっと俺のガラじゃないから言ってみただけだから。ごめん」


 珍しく、しおらしく謝るソルドウィンに、レイティーシアも少し慌てる。


「いいえ、私も試作をそのまま渡してしまったから。改良出来ないか考えておくわ」

「ホント!? やった、よろしくね!」

「ええ、分かったわ」


 あっさり何時も通りの飄々とした雰囲気に戻るソルドウィンに、レイティーシアは苦笑しながら頷くのだった。

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